日々からの続きになります

ルリとアキトが結婚して数年後

・・・・・相変わらず、ルリの尻にひかれているアキト

元々、性格的にそうなりやすい上に返している金の事もある

しかし、今日は

「くっくっくっ、待ってろよルリ」

なにやら、何時ものアキトには似合わない邪悪な笑みを浮かべてながら帰路についていた


数年後・・・


「あの、どうしたんです?、このお金(汗)」

アキトから渡された貯金通帳

そこには、借金を払い切れるだけの金額

「アキトさん・・まさか・・・・・・・・・・なにか悪い事を・・・」

アキトに似合わないこんな大金見せられれば当然心配になってしまう

本当はもう、金の事などどうでも良かった、それでも夫の面子を考えて金を受け取っていた

しかし、もし、この金が犯罪によって手に入れたモノならば・・・

・・・・もし、このお金が犯罪絡みだったら・・・もっと、強く断っておくべきだった・・・こんな事になってしまったのも、私のせいだ・・・

不安に苛まれてしまう

しかし

「ルリ、以前言ってたでしょ、プログラムの特許料や株式投資でお金を貯めてたって俺も必死に勉強したんだ、だからそのお金は犯罪絡みじゃない」

「それだけあれば、ルリが俺を助けてくれる為に払ってくれたお金、返せる筈、受け取って欲しい」

「・・・・・・はい」

そう言われてはそう答えるしか無いが、ルリ的にはなにか現実味が無い

ルリの内心の不安とは別にアキトは今、とても嬉しかった

これでやっと、ルリに借りを返せた、これからは・・・・

「これでやっと、縛られずに済むんだ・・・」

心底ほっとしたアキトが、何気なく呟いた言葉

アキトとしては、特に意味も無い言葉だった

しかし

その言葉を聞き、ピクッと震えるルリ

ルリにはずっと不安だった事がある

・・・アキトさんの私への気持ちは本物なのだろうか?・・・

アキトは、ルリに感謝していると言ってはくれる、だが元々最初の頃の厳しさは、アキトの為を思っての事ではなく、『アキトを追い出す為』のモノ

もっとも、自分の所から逃げ出したとしても、その方が結果的にアキトの為になると思っての事なのだから、『アキトの為』である事に間違いは無いのだが・・・・ルリはその事に気づいていない

アキトが惹かれたのは、ルリのそんな所で

だというのに、ルリ自身がそこに気づいていない為に、結婚後でもどうしても不安から逃れられない

「・・・・縛られずに済むって、どういう事ですか・・・・・私は・・・アキトさんを縛っていたんですか・・・」

ルリには自覚がある

自分がお金の力で、アキトを縛ってしまっていたという・・

「えっ」

なにやら、ルリの様子が変わり驚くアキト

「あの、何を?」

悪い想像は・・、しかも、自分が不安に苛まれている時には益々、悪い方向へ悪い方向へと転がりやすい

「これで縛られず済む・・私から縛られずにすむって事ですか・・・・・」

ずっと俯いたままのルリ、その表情は見えないが、その身体はブルブルと震えている

「アキトさんは、本当は私の事なんとも思ってなかったんですか、お金の為に愛してくれている振りをしていただけで、本当は縛られてるって思っていたんですか・・・だから・・・・」

「えっ(汗っ)」

そんな事はない、アキトはルリを心から愛していればこそ、苦労して勉強して、こうして金を貯めたのだ

アキトが説明しようとするが、先に

「別れません・・・・・私はアキトさんとは別れません、たとえあなたが私をなんとも思っていなくても、内心、本当は嫌っていたんだとしても・・・・・私は・・・・」

アキトの意思とはまったく逆の、何故か別れ話のように

「ちょっ、ちょっと、ルリ、俺の話を」

アキトの言葉もろくに聞かず、ふと、ある事を思いつくルリ

「お金・・・全然足りません、貸したお金には利子ってモノが付くんです・・」

「あっ、あの、ルリ(汗)」

「それだけじゃない、アキトさんはこの家に住んでるのに家賃だって払ってない」

「それ・・は・・・・」

確かにアキトがルリに払って来た金は、借りた金を返す事が精一杯の金額、その中には諸々の生活の為に必要となる金は入っていない

とはいえ、ルリが本当にそんな金の事を気にしている訳が無い

「だから・・・・・・払ってください、そのお金も、アキトさんが私を嫌っていたとしても・・・・あなたは私のものです、だから・・・・・・・私の前から居なくならないで・・・・・」

「ちょっ、ちょっと(汗)」

とうとう泣き出してしまうルリ、そんなルリを見て右往左往してしまうアキト

アキトの考えは、ルリの勘違いとはまったく逆

むしろ、自分が金を返せない事で、ルリに『お金の為』と思われてしまうのが嫌だった

だからこそ、必死に勉強したというのに、こんな事になってしまうのだから、男と女の仲は難しい

ともかく、ルリの勘違いをなんとかしなければ、どうにもならない

「ルリ、顔を上げて俺の話を聞いて欲しい」

「嫌です・・・・・」

考えが悪い方向へ、悪い方向へと転がってしまっているルリには、これから嫌な話を聞かされるとしか思えない

「ええいっ、話を聞けっ」

「嫌っ」

「じゃあ勝手に話す」

ビクッと震えるルリ

「『アキトさんが私を嫌っていたとしてもあなたは私のもの』いいかっ、冗談じゃない、それはこっちの台詞だっ、『ルリが俺を嫌っていても、お前は俺のもの』だっ」

「これから利子も払うっ、家賃も払うっ、それも払い終わったら、今度は俺がルリを金で買うから覚悟しておけっ」

「えっ」

アキトの思わぬ言葉に驚くルリ

「ルリを金で買ったら、今度は思いっきり可愛がってやるから覚悟しておけっ、「駄目、許して」とか言っても許してなんかやらないっ」

「あの・・・・」

ようやっと顔を上げるルリ

「何か文句でも?(にやり)」

「それって、今までと変わらないんですけど・・(赤)」

テンカワアキト、彼は普段尻にひかれている反動か夜は鬼畜であった・・・

「変わらないのは嫌?」

「いえ・・・・・(赤)」

ルリもようやっと落ち着いたようだ

「でも、確かにルリの言う通りだ、利子とかも払うべきだよな俺は・・・」

「ごめんなさい、私、そんなつもりで・・」

「いや、そんな事は良いんだ、ちゃんと払うモノは払う、そんな事よりもっと大きな問題は・・・・・・」

「・・・?」

「そんな事を気にするって事は、俺の事全然信じてくれて無かったって事?」

「えっ(汗)」

「まったく、寂しいよなあ、ルリが俺の事信じてくれてなかったなんて・・・」

思いっきり某読みのアキトの台詞、普段のルリならアキトが何を言いたいのか解りそうなモノ

「そっ、そんな事はありません、私はアキトさんの事信じてますっ(汗っ)」

たが、今はそこまで頭が回らない、故に今度はさっきとは違う理由で焦り始めるルリ

「今更、そんな事言われても説得力が無いなあ・・・・」

「それは・・・・その・・・・・・・(汗)」

くすりと笑うアキト

「ねえ、『ルリが俺を嫌っていても、お前は俺のもの』なんて言い出すような男が、それぐらいの事でルリを嫌うと思う?」

「まったく、お金を返し終わったら、感激して抱き着いて来てでもくれるかとでも思ったのに、計画が無茶苦茶、本当はこの後クリスマスプレゼントも渡そうと思っていたのに、今まで全然受け取ってくれなかったでしょ」

「ごっ、ごめんなさい」

「い〜や、許さない、夫を疑うようなルリには、おしおきが必要(にやり)」

「あっ、あの(汗)」

ルリは身の危険?、を感じてさっきとは更に焦りの内容が変わる、そして・・・


 


「夢・・・・・・・・・・・・」

「どっから、何処までが夢だったんだっ(汗)」

慌てて、自分の横を見てみると、隣で寝息をたてているルリ

「良かった・・・・・・」

どうやら、ルリと結婚した所までは夢ではなかったようだ

「大体、そう簡単に物事が進む訳が無いんだよなあ、ルリがこうやって俺の隣に居るって事自体が夢みたいなもんだし・・・・・・・」

「・・・・・・本当に現実なのか?、今、こうしてる事自体が『夢』なんじゃないのか?」

本当に、今までの事全てが夢のように思えて来る

アキトは、今までもこの手の夢を何回も見ている、それだけ不安なのだ、ルリを想えばこそ

「12月24日・・クリスマスイブ・・・また今年もプレゼント買う余裕が無かった・・ルリは今のままじゃ受け取ってくれないだろうけど・・・・・・」

「でも・・・何時か必ず・・・・」

決意を新たにするアキト

自分がルリと一緒になったのは、お金の為なんかじゃない、それを何時か必ず証明したい、それが今のアキトの一番の望み

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後書き

アキト「今時、夢落ちかいっ、しかもクリスマスSSでっ!!」

ん〜、だって、世の中そんなに都合良く進むと思う?

アキト「・・・それゃ、進まないだろうけど」

だろ、作者が言うのもなんだけど、そもそも、ルリに助けて貰った事自体が、都合が良過ぎる、はっきり言ってご都合主義だし

何故、ご都合主義と解っていてそれでもやるかと言えば、『物語』ってモノは、出来るだけご都合主義は無くした方が良いと同時に、『ご都合主義を楽しんで貰う』という、矛盾したモノでもあるから

だから、『現実と物語』は別けて考えないといけない、『現実』にご都合主義は無い、無条件で助けてくれるような人もまずいない、もし、助けてくれる人が居るとすれば、助けてくれるだけの理由がある、こんな事は『当たり前』で今更言うまでもない筈なんだけど・・・

アキト「でも、なんで、そんな当たり前の事をワザワザ?」

時々、「当たり前だから言わなくて良い」じゃなくて、『当たり前の事だからこそ、あえて言っておいた方が良くないか?』 って『危機感』を感じる時があるんだよね

でまあ、真面目な話はここまでにして、何故、夢だったのかといえば、

『アキト君は、貧乏な方が似合うからっ』だっ

アキト「おいっ!!」

更に、このシリーズ続けたい気持ちもあるんで、今、借金を返させてしまうと、この後で『私が』困るという、とっても正当な理由が

アキト「そんな理由かいっ!!」

あっ、ちなみに、アキト君がルリに「駄目え、許してぇ」と言われても許してあげない鬼畜野郎だって所は、『夢』じゃなくて現実だから(笑)

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