2199年10月、地球と木連との間に和平条約が成立した。
これまで『木星蜥蜴』と呼称してきた謎の相手の正体は地球の住人にとっては衝撃的な物であった。
しかし100年前の政府の犯罪、すでに誰をとがめることも出来ない。
真相をひた隠しにしてきた現政府・軍首脳へのバッシングは起こったが、所詮はヒステリックな物にすぎない。
まもなく落ち着くべき所に落ち着き、民間レベルでの交流も徐々に始まっていった。
条約調印の翌月、ナデシコクルーは解散となった。
ネルガルとしては戦争が終わった以上高い給金を自社で払ってまで運用する理由がないからである。
当初の目的であるスキャパレリ・プロジェクトはとうに達成している。
ネルガルの技術の証明も出来、最大のライバルであったクリムゾングループも吸収した。
目的を達せたのならプロジェクトは解散する。
至極当たり前の論理であろう。
もっともクルーの継続確保にはかなり熱心だった。
ほぼ全員がネルガルに残ることを全員強く薦められ、残った者も少なからず居たが、多くは船を降りそれぞれの生活を始めた。
軍でしかその技能を生かせない者・・・例えばリョーコはパイロットとして、ジュンやユリカは士官候補生として軍に移籍した。
ウリバタケは家に帰り、メグミは声優に戻り、ホウメイは小さな食堂を開店する。
これからの生き方は違えども、ナデシコでの日々は全員が誇りに思っていた。
後年振り返ったとき、あの日々こそが青春だったと人に自慢できる、そんな日々だった。だから全員が晴れ晴れとした気持ちで船を降りた。
「 | ・・・・・・だけど結局俺は何も出来なかったな・・・・・・」 |
アキトが自嘲気味に言う。
ナデシコ解散3日前。
久々にアキトの部屋に集まったユリカやルリを前にいろいろな話をしている中、ついこぼれた本音だった。
どんな決心をしようと、どんなに足掻こうと、どんなに苦しみ藻掻こうと、結局自分の出来たことはごく僅かだったと思う。
艦が無事に任務を全うできたのはユリカやジュンの運営のお陰だろう。
あの未来から考えれば理想的とも言える終戦を迎えれたのはガイのお陰だ。
ルリやウリバタケ、リョーコやミナト、そしてルリ。
自分以外のクルーは皆能力を見込まれ、職務を全うした者達だった。
自分だけが最後まで中途半端だったとアキトは思う。
そんなアキトにユリカは言う。
「 | アキトが何もしなかったら、きっと『夢』のままだったよ。 アキトが『夢』と戦おうとしたから、だからみんなも戦えたんだと思う。 一人一人の出来る事なんて、こんなにちっちゃいんだから。」 |
指でほんの小さなわっかを作って。
「 | 人間の出来る事なんてあがくことだけだよ。 でも、アキトがあがいたから未来は変わったよ。 だから、胸張ろうよ。」 |
そう言うユリカの笑顔がまぶしかった。
この笑顔のために『夢』での俺は修羅にもなれたのだと思い出すほどに。
そしてルリが言う。
「 | アキトさん、アキトさんは何になりたいんですか?」 |
・・・・・・
自分は何になりたい?
改めてアキトは自問する。
ガイのように強くなりたかった。
しかしそれはみんなを護りたかったからだ。
戦争は終わった。
なら、俺は何になりたい?
「 | ・・・・・・コックだ。」 |
火星で魔法使いのように思っていたコックさん達。
不味い食材も彼らの手に掛かればすばらしくおいしくなった。
あんな魔法使いみたいなコックさんになりたい!
それがアキトの原点だった。
「 | 俺はコックになりたいよ。」 |
そしてそれは、自分を待つ家族の元へ帰ることでもあった。
「 | 帰ろうか、『家』に。」 |
アキトはネルガルを退社した。
ネルガルは強く引き留めたがアキトは断った。
「 | 俺、コックすから!」 |
ルリはネルガルに残った。
もっともルリの勤務先はサセボである。
実験体ではなく研究員として、次世代AIインターフェースの開発に携わることとなった。
住居はアキト共々雪谷食堂。
「 | お帰り!お兄ちゃん、お姉ちゃん!」 |
喜んで駆け出し二人に抱きつくアイ。
「 | 「ただいま。」」 |
二人は帰ってきた。
この我が家に。
土日ともなればこの店は大繁盛した。
旧ナデシコクルーの誰か彼かがこの店に集まり、いつの間にか宴会になるパターンが定着したからだ。
充実した日々をいきなり忘れることは出来ない。
ナデシコの日々を振り返るとき、真っ先に思い浮かべるのはみなアキトであったようだ。
年が明けて2200年2月、アキト達は休暇を取りピースランドに行った。
ネルガルが妙に気を遣ってチャーター機まで用意してくれたが、これはネルガルなりの打算があるのだろう。
メンバーは主立ったナデシコクルーがほぼ全員参加。
ちょっとした同窓会のようなルリの初帰郷だった。
買い物を済まし皆で食事。
何気なく入った店の食事は不味かった。
ホウメイなどは苦笑していたが、如何にナデシコの味が良かったかを改めて知った。
ルリの親子対面とその後の流れはほぼ『夢』の通りだった。
違うのはルリがもう14歳であり、またアキトから話を聞いていたことでかなり冷静だったことだろう。
そんなルリを見守りながらアキトは彼女を眩しく感じた。
平和な日々は淡々と続く。
変わらない日常、変わらない毎日。
それでも少しずつ変化している。
ユリカはほぼ毎日のように顔を出す。
軍での仕事も順調なようで、充実した笑顔はますます輝きを増した。
ふとしたときに「こいつ、こんなに綺麗だったけ?」とアキトはどきりとした。
こんな日々がずっと続けばいい。
そう思っていたアキト達の関係が変わるのは1通の招待状が届いたときだった。
6月、ミナトは木連優人部隊の雄・白鳥九十九と挙式。
一体何時の間に?
周囲の者誰しもが驚く電撃結婚だった。
なんでもガイと一緒に九十九がナデシコに来たときに出会い、なぜだかお互いに好印象を持ったらしい。
九十九はミナトの、派手な外見の奥にある女らしさ、優しさに心惹かれた。
ミナトは九十九の、純朴で不器用な優しさと芯の強さに惹かれた。
惹かれ合った者達がくっつくのは早く、また九十九の中途半端を嫌う性格もあり、周りが気が付く暇もない早さでの挙式となったらしい。
式が終わり、アキトはユリカと久しぶりに2人だけで歩いていた。
いつももう一人誰かが一緒にいるので2人だけという事はまず無かった。
たわいない会話。
しかし次第にお互いに無口になり・・・・・・
ユリカが、言う。
「 | もしかしたら、今までちゃんと言ったこと無かったかもしれない・・・・・・」 |
言いにくそうに。
それでも思い切って、ユリカは言う。
「 | 私はアキトが好き・・・・・・」 |
真剣に、顔を真っ赤にして、不安げに震えながらの。
ユリカの告白だった。
「 | ユリカ・・・・・・」 |
アキトの胸に様々な思いが去来する。
ユリカのことを嫌いなはずはない。
こみ上げる愛しさに、何度抱きしめたいと思ったか解らない。
まっすくで、純真で、ちょっと思いこみは激しいけど。
それでもユリカのことが好きだと思う。
でも、まだ幼さの残る少女の顔が浮かぶ。
挫折しそうになったとき、何度も小さい手で自分を支えてくれた少女。
家族の幸せを自分に教えてくれた少女。
その少女の顔が浮かんだとき、アキトはユリカに答えることが出来なくなった。
「 | ・・・・・・ごめん、ユリカ。」 |
「 | 解った・・・・・・」 |
ユリカには何となく解っていた答えだった。
だから、体中から集めてきた元気で精一杯の虚勢を張って、笑顔で言う。
「 | アキト、理由も何となく解るから・・・・・・ 応援してあげるね。 それじゃ!」 |
そう言って笑顔のまま手を振り、走って帰っていくユリカ。
ユリカには解っていた。
だから不安で、怖くて、はっきりさせたくて告白したのだ。
「 | ただいま〜♪」 |
家に帰り、笑顔で父親と話し。
自分の部屋に入って鍵を閉めて。
気が付いたらユリカは泣いていた。
そのままベッドに潜り、枕を抱きしめ、何とか涙をこらえようとしたが駄目だった。
「 | ! ・・・・・・うっ・・・・うう・・・・・・」 |
その晩ユリカは、一人声を押し殺して泣いた。
「 | ユリカお姉ちゃん、最近来ないね・・・・・・」 |
アイが寂しそうに言う。
あの晩以来ユリカは来なかった。
ルリは何かを感じたが、何も言わなかった。
7月の夜。
気持ちの良い風が吹く中、アキトとルリは散歩していた。
「 | ・・・・・・ユリカさんと、何かあったんですか?」 |
聞き難そうに、それでもルリは思い切って聞いた。
いつも、自分に何かあったときはユリカが親身になってくれた。
だから今度は自分の番だろう。
そうルリは決心していた。
アキトはしばし押し黙った。
言いにくいことだからだ。
あれから自分の気持ちを自問自答した。
迷いに迷った。
しかし・・・・・・
答えは決まっていた。
「 | ・・・・・・ユリカに告白されたんだ。」 |
その言葉にルリは鼓動が早くなる。
自分から見てもお似合いの二人。
本当に幸せになれそうな二人。
いつかは結ばれると思っていた二人。
その日を思うたびルリの胸は何故か痛みを思えていた。
その日が、いつの間にか来ていた・・・・・・
「 | でも・・・・・・断った。 迷ったし、悩んだけど、俺には好きな人が居るから。」 |
その意外な言葉は、さらにルリの心をえぐった。
「 | ・・・・・・誰・・・・・・ですか? 私の知ってる人ですか?」 |
震える声で聞くルリ。
アキトも、鼓動が聞こえるような緊張をしながら思い切って言う。
「 | ・・・るりちゃんが、すきなんだ。」 |
声が裏返りそうだった。
何故か体も震える。
ルリが立ち止まった。
「 | 俺、ルリちゃんより7つも年上だし、ルリちゃんはやっと15歳になったばかりだし。自分が変に思えたりもして、悩んだけど・・・・・・ それでもルリちゃんが好きだ!」 |
「 | 一緒にいて、いつも一緒にいたいと思う。 俺、自分でも情けないところがあるし、みっともないやつだと思うけど、ルリちゃんと一緒なら、前に進める。 でもそんなことよりも、とにかく気が付いたらルリちゃんが好きだったんだ。」 |
思い切って告白した後、アキトは自分でも解らない内にいろんな事を話していた。
ルリは固まったまま立っていた。
アキトさんが私を好き・・・・・・?
考えもしなかった。
顔が熱い。
頭が真っ白になった。
混乱して、訳が解らない。
「 | あ、あの! 私先に帰ります!」 |
気が付いたら家に向かって走っていた。
アキトはただ立ちつくした。
「 | そうだよなぁ・・・・・・」 |
寂しげにつぶやいた言葉が風に溶け込んだ。
ルリは帰るなり布団に入り、混乱する頭でそれでも考えた。
しばらく後、アキトが帰って、同じようにすぐに部屋に戻った。
2人ともに眠れぬ夜だった。
一睡も出来ないまま、アキトは朝の仕込みを始めた。
気が重い。
何もやりたくはない。
でも、せめてコックの夢くらいは掴みたい。
何もかもなくしたような気分の中、子供の時からの夢だけは裏切りたくない。
その思いで厨房に立つアキト。
支度が終わりふと気が付くと、ルリが立っていた。
「 | おはよう。」 |
挨拶くらいは元気にしたい。
そう思ってアキトは無理にでもにこやかに挨拶した。
「 | おはようございます。」 |
ルリもぎこちなく挨拶を返す。
そして、一息おいて話し始める。
「 | 昨日は済みませんでした。 私、気が動転して・・・・・・」 |
「 | ああ、気にしないで良いよ。 俺の方こそごめん。 ルリちゃんを困らせたいわけじゃなかったんだ。」 |
「 | 違うんです!」 |
「 | ・・・・・・」 |
誤解されたくない。
その思いでルリは叫ぶ。
「 | 嬉しかったんです。 でも、諦めていたから・・・・・・だから、考えても居なかったから、頭がパニックになって・・・・・・」 |
「 | ・・・・・・」 |
「 | 自分の気持ちなんて考えたこともなかったかもしれないです。 でも、あれから考えました。」 |
アキトをしっかりと見るルリ。
「 | 私・・・・・・私もアキトさんが好きです! それが、昨日できなかった私の返事です。」 |
その言葉に最初はポカンとするアキト。
やがて、信じられないと言うような、喜びと驚きの混じった表情に変わり。
気が付いたら、ルリを抱きしめていた。
「 | ア・・・・・・アキトさん?」 |
戸惑うルリにかまわず抱きしめる。
「 | ・・・・・・好きだ、ルリちゃん!」 |
その言葉にルリも安心し、自らもアキトを抱きしめる。
「 | 好きです、アキトさん・・・・・・」 |
長い長い2人の抱擁。
それを止めたのは。
「 | お前らの気持ちはよく解ったけどな・・・・・・ いい加減腹が減ったんで、そろそろ朝飯にしてもらえないか?」 |
「 | アイもおなかぺこぺこ・・・・・・」 |
いつの間に来ていたのか、呆れたように頬杖を付きながら2人を見ていたサイゾウとアイに声をかけられたからだった。
あわてて離れ、真っ赤になる二人。
そんな二人にサイゾウは、
「 | ま、とりあえず飯にしようや。 その後でまた続きをやってくれ。」 |
そう言って笑った。
歳の離れたカップルはこうして誕生した。
周りも2人を暖かく祝したが、なぜかアキトを見る目に
「 | やっぱりねぇ・・・・・・」 |
という思いが加わっていたという。
また年が明け、2201年7月7日。
ルリ16歳の誕生日のこの日、アキトとルリの結婚式が行われた。
とっくにお互いの気持ちが決まっている2人にとってこの日が来るまではずいぶん長かったという。
しかし16歳の誕生日であるその日に結婚、そのことに苦笑しない者は居なかったという。
新婦側の待合室は暖かい祝福の声に満ちていた。
「 | 綺麗よ〜、ルリルリ!」 |
ミナトは目に涙を浮かべながら祝福した。
結婚後1年ちょっと、すでにおなかが大きかったりするのは、九十九の実直な木連軍人ぶりと夫婦仲の円満さをさわやかに証明するものであろう。
「 | ホント、うらやましいなぁ」 |
メグミの祝福。
最近ではアイドルとしても成功し、ホウメイガールズを芸能界に引っ張り込んで、着実に成功している。
そこに。
「 | わあ、ルリちゃん、きれ〜い♪」 |
「 | ユリカさん!」 |
1年ぶりの再会となるユリカだった。
「 | 嬉しいです! もしかしたら来ていただけないかと思ってました・・・・・・」 |
感激のあまり涙が溢れるルリ。
「 | そんな、私が可愛い妹とアキトの誕生日に来ないわけないでしょ?」 |
そう言って笑うユリカ。
何か、以前よりもしなやかな美しさが加わった様だ。
「 | ほら、泣いちゃ駄目だよ、せっかくの結婚式なんだから♪」 |
新郎側の待合室は手荒い祝福に溢れていた。
「 | よ! このロリコン!」 |
「 | 大したもんだ、この外道!」 |
既にアキトはへろへろだったりする。
そこに。
「 | やあ、おめでとう!」 |
「 | アカツキ!」 |
今の今まで筆者にも忘れられていたアカツキがやってきた。
「 | おめでとう。君がルリ君と結婚するなんて驚いたよ。」 |
そう言って人の悪い笑い方をするアカツキ。
「 | うるせえ!」 |
すでに少しグレかけていたアキトはそっぽを向く。
「 | それはそうと、少し話があるんだが、5分くらい良いかな?」 |
「 | うーん、それくらいなら・・・・・・」 |
一瞬時間を気にするが、式まではまだ十分な余裕があることを確認し、アキトは席を立った。
「 | 実は君の見た『夢』について解ったんだよ。」 |
アカツキの言葉はアキトを動転させた。
「 | ・・・・・・あれは、なんだったんだ?」 |
「 | 結論から言おう。 あれは遺跡の演算ユニットが計算した途中経過で生み出された、ただの可能性だ。」 |
神ならぬ身である古代火星文明の人間が作り出した遺跡は、絶対的な未来予測などは出来ない。
しかしボソンジャンプが時間を扱う物である以上は、ある程度の未来予測が必要になる。
そこで、膨大な過去のデータから可能性のある未来を幾つもシミュレートし、その中で取捨選択をして未来予測をしているのだ。
アキトは古代火星文明が消えて以来の、実に久しぶりのボソンジャンパーである。
ボソンジャンプに適合したナノマシンを体内に持っていることもあって、偶然遺跡とシンクロ、その際に遺跡の演算した「可能性としての未来」の一つが脳裏に焼き付けられたのではないか。
それがネルガル研究班の結論だった。
「 | 少なくても人間一人には歴史を変えるなんて出来ないよ。 それでも君がきっかけで、君の言う『未来』と今とはここまで違うものになった。 だから僕も彼らの結論に納得したよ。」 |
奇しくもアカツキの今言ったことがアキト自身の考えと同じだったので、アキトも納得した。
「 | まあ、僕が会長職を投げ出してまでエリナ君共々ナデシコに乗るというのはあり得なかったと思うけどね。」 |
最後にアカツキはそう言って笑った。
「 | ありがとう、アカツキ。」 |
心からアキトは礼を言った。
胸の支えが無くなるような、嬉しいアカツキからのプレゼントだった。
待合室に戻るとユリカが居た。
「 | ユリカ!」 |
「 | アキト、久しぶり〜♪」 |
久々にあったユリカはビックリするくらいに綺麗になっていた。
「 | 綺麗になったな、ユリカ・・・・・・」 |
「 | そう? アキトにそう言ってもらえて嬉しいな♪」 |
そう言って頬を少し染めるユリカ。
「 | でも駄目だよ〜、ルリちゃんに怒られるから。」 |
そう言って笑う仕草1つ1つが、本当に綺麗だった。
あの後、ユリカと会えなかった1年間。
その間に色々あったのだろう。
俺は、少しはマシになれたかな?
自らを振り返り、そんなことをアキトは思った。
皆の祝福の中、慎ましくも晴れやかに二人の結婚式は終わった。
しばらく立った頃、ルリの妊娠が明らかとなった。
「 | アキトくぅん? なんか、結婚式から計算があわないんだけどぉ?」 |
ミナトのツッコミにルリは赤面し、アキトは汗を掻いた。
それでも、幸せな日々。
2202年4月。
ルリは、双子を出産した。
二卵性双生児で、上が女の子、下が男の子だった。
アキトは女の子の方を見るなり驚いた。
「 | ・・・・・・ラピス・・・・・・」 |
あの『夢』では、ラピスを始めとするマシンチャイルド達はルリのクローンとして生み出された。
ナデシコにおいて卓越した能力を見せた唯一の成功例、ホシノルリ。
その能力を安定量産させることが目的だったという。
しかしネルガルはそのプロジェクトを行っていないとアカツキは明言した。
企業とは世論を恐れる。
特にクリムゾンを風評から突き崩したネルガルとしては、人体実験などという危険を冒せないと言うのだ。
だから存在しないのだと思っていた少女、それがラピスだった。
しかし、彼女は生まれた。
自分とルリの娘として。
「 | 絶対に幸せにしてやるからな・・・・・・」 |
あの夢での少女を思い、アキトは固く誓う。
命名、姉:らぴす、弟:玻璃
ファザコンの娘とマザコンの息子、新たなる家族が加わり数年後テンカワ家は非常ににぎやかで騒々しくなる。
「 | ルリ。」 |
「 | はい、あなた。」 |
未だに「あなた」と言うときに照れが入る妻を抱きしめ、アキトは言った。
「 | 幸せだよ、俺。ありがとう。」 |
「 | 私もです、アキトさん。」 |
ダンシング・イン・ザ・ダーク全27話
完
ながかったああああああああ!!!
ラストなんてとっくに決まってたのに、やっと書けましたよ。
書き始めてから1年以上経つんだなぁ・・・・・・・
もう長期連載はうんざりかも。
まあ、もう一つ残ってる連載の「空白の3年間」はプロット書かないでも良いから楽だけど。
とにかく終わりました。
連載開始当初からずうっと読まれている読者さんが何名残っているのかも不明ですが、とにかく終わりました。
書き始めた作品が完結しないと言うのだけは絶対に恥ずかしくて嫌だったので、ほんと、ほっとしました。
これで私の作品、完結した連載物は2つですねぇ。
いやあ、良かった良かった(笑)
DDって結局どんな話だった?といえば、主人公最弱で、未来を知ってても秘密もクソもなくて、ルリ×アキトで、って所でしょうか?
ぶっちゃけた話、TV版及び劇場版を、単なる前振り、夢落ち扱いした話です。
ユリカは私が萌えているキャラなので、アキトに振らせるのは辛かったです。
途中何度も3角関係物にしようかとさえ思いましたが、初志貫徹をしました。
ただ、振られて当然なライバルなんてライバルじゃないし、居ない方が良いんですよ。
振られたことに納得できない読者が居て、何でユリカが振られなきゃならないんだ!納得いかねえ!っていう読者が居るくらいでなければ読んでいてつまらないと思うんです。
あだち充さんの漫画って(最近のは読んでいないですが)、ライバルと言うことでは見事だと思います。
DDが皆さんにとってどうだったか、それは解りませんが、私としては読みたい物=書きたい物が書け、完結も出来たので大満足でした。
それでは、最後までお読み下さった皆様、ありがとうございました。
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