ラピス・ラズリの怪説ナデシコ

  第十五章 フラッシュバック

  アキトは夢を見ていた・・・白衣を着た科学者がアキトに近づき、
 アキトの口の中に、巨大な丸薬を、無理矢理入れる。
 アキトは丸薬が大きすぎて飲み込めない、その丸薬を吐きだす事も出来ず息を詰まらせる。
 何を思ったのか、アキトの顔に、その科学者の顔が近づいてくる。
 そして、アキトの口と科学者の口が接触する、そして丸薬を取ろうと舌をいれてくる。
 アキトは為す術もなく、科学者を見る、科学者は小柄な女性、
 そして、顔は、アキトが良く知っているルリの顔だった。

 (ルリちゃん?・・・)
 (アキトさん・・・アキトさん・・・)
 (ルリちゃん?・・・何をしているの?)
 (何?って・・・人工呼吸です・・・・・・貴方は誰なのですか?)
 (誰って・・・アキトだけれど・・・)
 アキトもルリも、口がふさがっている為、直接相手の頭に言葉を送っていたようだが、
 アキトは理解しながら、そしてルリは無意識に送っていたようである。
 (・・・・・・・・・)
 (ルリちゃん、ありがとう、もう大丈夫だから・・・・・・)
 (?・・・?・・・?)
 (何て言ったらいいのか・・・、でも、もう人工呼吸は、やめても大丈夫だから・・・)
 今の会話の間もルリは、休むことなくアキトに人工呼吸を施していたのである。

  ルリは、おそるおそるアキトから顔を離してゆく。
 人工呼吸をやめても、アキトがしっかり呼吸をしているのを確認したルリは、
 「アキトさん・・・・・・生きてますよね?」
 アキトは、ルリの問いかけにどう答えて良いか分からず、
 「・・・・・・死んではいないようだが。」と、答えた。
 「良かった! 私・・・アキトさんが死んでしまったら・・・
 アキトさん・・・ごめんなさい!」
 ルリは、玄関から外に出れないと分かると、直ぐにアキトの所に引き返してきて、
 先程の人工呼吸を始めたようである。
 それでも、何時の間にか、ルリの身体にはバスタオルが巻きついていた。

  ルリとアキトは、今迄の事を話し合いながら、それぞれの服に着替えていた。
 ルリは、用意していた服に、アキトは、家の中を捜して、見つけた黒いマントに。
 「ルリちゃん、ボソンジャンプのジャンプ先をイメージする場合、
 似たような場所が沢山ある場合は、その場所が特定出来るように、位置情報とか、
 他には無い特徴等を、イメージの背景として取り入れなければ、ジャンプ出来ないよ!」
 ルリは、なるほどと思うが、明人とユリカ、そしてラピスの事が気になってしまう。
 「明人さんとユリカさんを、追いかけないと・・・」
 そして、その理由を話す。
 二人は、ラピスを捕まえに行く、と言って出て行った。
 その時に、明人は拳銃、ユリカは何かかさばる機械のような物を持っていた。

 「ルリちゃん、少しだけ待っててくれないか。」
 アキトは、そう言いながら、コミュニケを作動させようとするが、機能していないのか、何も写らない。
 アキトは、コミュニケが機能しないので、それを外し、和室の隅に置いてある荷物の側に置いた。
 「多分、我々のシステムが復旧すれば、この部屋が写り、
 ボソンジャンプで来れるようになると思う。行こうか?」
 「はい。」
 ルリの返事を待って、アキトはルリの手を握る。
 そして、二人でイネスの居る医務室迄、ジャンプで戻った。

  二人が医務室でジャンプアウトしたとたん、イメージが襲ってきた。
 ユリカが居る場所に行く、というイメージ、いや、強い意志が、二人に押しつけられる。
 アキトは考える。・・・・・・ これはユリカの想い?
 昔から、ユリカの元に行けばトラブルばかり起きていた。
 行こうか? どうしようか迷っている間に、
 アキトの側に居たルリが、ボソンジャンプしてしまった。
 その事に気付いたとたん、アキトは、ユリカの意志から開放される。

  アキトは考える。
 ユリカが送り出した想い、強力な意志が込められている想い!
 ユリカは、火星の後継者達にイメージを送り出していたように、
 想いや意志を、同じ様に送り出しているらしい。
 そして、その想いや意志を受け取った人、又は、人達はその意志を実行しようとする。
 そうすると、ルリちゃんは、ユリカの元にボソンジャンプしたのだろうか?
 確認するには、其処にボソンジャンプすれば良い。
 そして、アキトは其処にボソンジャンプした。

  アキトがボソンジャンプした所は、オモイカネを設置した場所である。
 アキトの横にルリが居た、そして、二人から少し離れて、明人とユリカが立っている。
 明人とユリカは、ルリとアキト達には、背を向けて反対側を見ている。
 その見ている先には、子供達が夢遊病者のように、歩いて来ていた。
 その中に、イネスとラピスの姿もあった。

  アキトは、子供達、ルリそして、イネスを助けなければと思うのだが、
 助ける為の方法が、何一つ思いつけないでいた。
 「アキトさん・・・・・・」
 「何故だ! 何故、お前達が此処にいるんだ!」
 ルリの呟きと、明人の叫びが同時に聞こえてくる。
 「ルリちゃん・・・・・・」
 アキトが、ルリを見る。
 「又、俺の前に現れるのか・・・」
 「明人! この子達とは初対面じゃ無いの?」
 明人の言葉に、ユリカが訝しげに聞き返す。

  明人は、ユリカの言葉は無視して、
 「お前達がいると・・・、俺は、俺は・・・」
 ユリカは、明人が、子供達に拳銃を向けようとしたので、その手を掴んで言った。
 「明人! 何を、何をしようとしているの?」
 「俺は、お前達の、お前達の為に・・・・・・」
 明人は、子供達から目が離せないのか、ユリカの方を見もせずに喋る。
 アキトもルリも、明人の切羽詰まった様子に、会話を止めて二人を見つめる。
 「明人は、この機械を使って何をしようとしているの?」
 ユリカが、自分の足元に置いている機械を見ながら明人に尋ねる。
 「このままでは、俺は・・・、ルリちゃんを救った事にはならない・・・」
 明人は、まるで子供達に心を抜き取られたように、呆然とした表情になる。
 そして、周りを混乱させたまま、明人とユリカはボソンジャンプして消えてしまった。
 ユリカの足元にあった機械も無くなっていた。

  二人がジャンプした後、残っていたのは、アキト、ルリ、イネス、ラピス、と、子供達であった。
 皆、此の場所に来た所で、本来の自分を取り戻したようだが、
 アキト以外は、何故この場所に来たのか、皆目分からないようである。

 ・・・・・・・・・

 「起きたら、今迄の事を説明して。」と、ルリとアキトに言った後、
 イネスは、ラピスと子供達を寝かせる為に、それぞれの部屋に向かった。
 イネスは、皆が寝るのを優先したようである。
 それから、アキトとルリは、明人とユリカがどうなっているのか調べる事にした。
 コミュニケが使えるようになったのを確認して、コミュニケに明人の住処を映し出させ、
 明人の住処に二人でボソンジャンプした。
 ジャンプ先に、明人とユリカが居るのではないかと調べている最中に、
 二人の前にウインドウが現れた。
 そのウインドウには、
 『ルリさん、アキトさんとユリカさんがどうなったか教えて下さい。』
 と表示されている、鐘のマークも一緒に表示されている。
 アキトとは明人の事だと思い、ルリが、二人がボソンジャンプで消えた事を話した。

 『アキトさんとユリカさんは死んだものと判断します。』
 アキトとルリは、何がなんだか分からないので、オモイカネに説明を求めようとした。
 『アキトさんの遺言により、オモイカネの管理者をルリさんに変更します。
 状況を説明しますので、屋内駐車場の車迄、来て下さい。』
 屋内駐車場の車とは、最初にジャンプアウトした車だと考える。
 「鍵が掛かっていて出られません。」
 『セキュリティ・ロックは全て外しました。』
 オモイカネの返答に、今迄の苦労は、全てオモイカネの所為かと、ルリは考え、
 怒りがわいて出るが、今は車に行く方が先決だと考え、アキトと二人で、屋内駐車場の車に急いだ。
 そして、その車に備えつけられたIFSで、オモイカネから、衝撃的な話を聞いた。

  これからの話は、オモイカネに記憶された内容を、
 ルリが、想像力と推測で補い、その内容を、更に要点のみに簡略化したものである。

  その内容は、明人の悲劇の物語と言っても過言では無いものである。
 始まりは、二人のラピス・ラズリー(一人は未来から来たラピス・ラズリ)
 との話し合いの結果から始まったと思われるが、
 その時の状況は、最早、誰にも確かめられないものになっていた。
 結果として、この時、ラピス・ラズリーがナノマシンの投与を受けなかった。
 そして、この時から、火星の後継者達がナノマシンの作成方法を知った。
 その二点が、分かっているのみである。

  そして、火星の後継者達は、そのナノマシンを、ラピスに適用。
 ラピスを調査した結果、彼女は超A級ジャンパーの能力がある事が分かる。
 超A級ジャンパー=CCを用いずにボソンジャンプ出来る人間である。
 さらに、北辰が超A級ジャンパーになり、ラピスとペアとなる。
 ペアとなる為に、北辰とラピスは、男と女の関係になったのである。

  火星でのアキトと北辰の対決は、アキトが北辰を倒すも、
 傷ついた北辰は、ボソンジャンプでラピスの元へ避難する。
 そして、ルリは引き続き火星の後継者の残党刈りを行う事となる。
 この後暫くして、明人も、火星の後継者から盗み出したナノマシンにより、
 超A級ジャンパーとなる。

  そして、アキトと明人の運命を、大きく隔てる、運命の別れ道。
 ナデシコCにホシノ・ルリが乗せられ、宇宙に引っ張りだされ、撃沈される。
 その時、ルリは、なんとか、オモイカネをエアロックから、飛び出させ、
 一緒に宇宙空間を漂流する事になる。
 そして、明人が宇宙空間を漂流するルリを助けに現れる。

  しかし、その時に明人の頭に、
 ミスマル・ユリカの助けを求める思考が明人の頭に送られてくる。
 明人は、その思考を感じると、ルリの事は後回しにして、
 ユリカの思考元を探し出す為に、思考を感じた方向に向かった。
 その思考元は、地球から火星に向かう、火星の後継者達の艦隊であった。

  その艦隊には、ルリが逮捕した元木蓮中将草壁春樹他、
 ミスマル・ユリカと、ルリが助け出した遺伝子細工をされた少女達が、拉致されて捕まっていた。
 戦艦数隻なので、なんとか出来るかと考えていた明人だが、
 その艦隊から、こちらに向かってくる機動兵器を確認し、急いでユーチャリスへ帰還する。
 ユーチャリスの側に、ボソンジャンプして現れるブラックサレナ。
 そして、その近くにボソンジャンプして現れる夜天光。

  夜天光の中の北辰は、ジャンプアウトして直ぐに、ユーチャリスを指し、
 「其処だ!」と叫ぶ。
 直後に、ユーチャリスのブリッジ辺りが爆発、続いて、ユーチャリスが大爆発を起こす。
 (この時、ユーチャリスを操縦していたのが、誰なのかは不明である。)
 おそらく、北辰がラピスにユーチャリスの位置を教え、ラピスの指示に基づき、
 ユーチャリスのブリッジとエンジン部に、ボソン砲で爆弾を送ったものと思われる。
 そのユーチャリスの爆発を呆然と眺めている明人。
 今度は、静止しているブラックサレナに向かって来る夜天光。
 その夜天光に気づき夜天光に向かうブラックサレナ、
 そして、夜天光とブラックサレナが交差した後、
 夜天光の進路に、ボソンジャンプして現れたブラックサレナ。
 夜天光の錫杖にコクピットを突き刺され弾き飛ぶブラックサレナ。

  明人は、夜天光とすれ違った後に、夜天光の突進コース上にルリの身体が
 漂流しているのに気づき、夜天光の前にブラックサレナをボソンジャンプさせる。
 そのボソンジャンプがブラックサレナの敗北に繋がってしまった。
 その後、駆けつけてきた、六連に蛸殴りにされ、ブラックサレナは大破し、機能を止めてしまう。
 そして、ルリも火星の後継者達に捕らえられてしまう。

  火星の後継者達の艦隊が去った後、宇宙軍の艦が現れる。
 ブラックサレナは大破し、機能を止めていたが、
 明人は、アサルトピットの中で、重症であったが、生きていた。
 そして、明人とオモイカネは、宇宙軍の艦に助けられ、ネルガルへと送られた。

  ルリは、火星で超A級ジャンパーにされ、草壁のペアにされてしまう。
 遺伝子細工をされた少女達も、それぞれ、火星の後継者達とペアを組まされた。
 草壁はルリとペアを組んだ後、
 ルリに自らの意思を押しつけ意のままに操れる力がある事に気づく。
 そして、ミスマル・ユリカは、多数の者にイメージを送る事が出来る。
 その事から、草壁は、自らの意思を多数の者に分け与えられるように、
 その方法を捜す事に、火星の後継者達に全力を尽くすように指示する。

  明人はネルガルの病院で、傷を直すと同時に、あちこちに頭を下げてまわっていた。
 その苦労が報われてやっと、オモイカネにコミュニケのシステムが搭載されたのだ。
 オモイカネは、当分の間、取り付ける戦艦が無いので、
 仮の場所として、自動車に設置し、その自動車に、コミュニケのシステムも搭載されたのだった。
 明人とオモイカネが助けられ、地球上に連れて来られて直ぐに、
 明人はオモイカネを作動させ、ルリの状況をオモイカネに教えた。
 そのオモイカネの明人への返答が、オモイカネにコミュニケの機能を取り付けておけば、
 必ず、ルリからの通信が来る、との返答である。
 そして、期待したルリからのメッセージが来たのである。

  残念ながら、そのメッセージはルリからの直接の通信ではなかった。
 オモイカネのメモリー上に何時の間にか保存されていたデータという、メッセージである。
 その内容は、ルリが草壁に操られながらも、IFSで戦艦のオペレートをしている時は、
 草壁にはオペレートの内容が分からない、という事を利用して、書かれていた。
 そして、ルリが、IFSでのオペレートをやめる時は、自己催眠により、
 オペレート中の事は忘れ、草壁に気づかれないようにしていた。

  メッセージの内容は、草壁達が現在何をしているか、
 ルリ達の現状、ルリ達の意志に関わらず、火星の後継者達に協力させられている事。
 その野望を打ち砕く為には、ユリカ、ルリ、遺伝子細工をされた少女達と、
 彼女達のペアが全て死ななければならない。
 という内容である。
 そして、その死を実行出来るのは明人だけである、と。
 それから、その死の実行方法が、簡単に認(したた)められていた。

  ルリが、超A級ジャンパーが全員集まる時に、
 その光景を、オモイカネのコミュニケに放映されるように細工するので、
 その映像を利用して、明人が其処にボソンジャンプして、
 そこにいる(ルリも含め)全員を殺して欲しい。
 それから、もうルリからのアクセスが出来ないように、
 オモイカネに、ルリ専用プロテクトをかけたので、
 (これは、ルリが操られて、今迄の内容を削除したり、
 変更したり出来ないようにする用心である。)
 ルリからのメッセージはこれで最後である。
 最後に、明人さん、こんな事になってごめんなさい! とあった。

  明人は、その内容を知ると、
 バッタを4体とサバイバルセットをオモイカネの車に積んで、火星にジャンプした。
 火星で、ルリが言った放映があるのを待った。
 ルリが言った放映が、何時あるか不明だが、明人は、それまでずっと待機していた。
 十日間位の間であるが、その間、明人は、食事も殆どせず、
 睡眠も、たまに2〜30分眠るだけだった。
 そして、待っている間は、殺さないですむ方法がないか、
 自分のどんなミスでこうなったのか?
 或いは、自分は本当にルリ達を殺せるのか?
 様々な考えが頭の中で渦巻いていた。
 その所為か、明人の髪は、白髪になり、眼は落ち窪み、頬は痩せこけ、
 顔の輪郭が変わり、まるで別人のようになっていった。

  とうとう、その放映が始まった。
 オモイカネに映像を映してもらいながら、ジャンプする好機が来るのを待っていた。
 その好機が訪れたと考えた瞬間に、ウインドウの光景に向かってジャンプした。 
 そして、ジャンプアウトと同時に、車の外側に張りつかせていたバッタが、飛び出していく。
 4体のバッタが、散開し、ミサイルを次々に発射させていく、
 次々に爆発、そんなに広くない場所が、灼熱の閃光に、包まれてゆく。
 その閃光の中に、明人は、ルリ、ユリカ、少女達が、苦しむ様を目撃する。
 ルリの側に草壁、ラピスの側に北辰が居た事に気付くが、何も出来る事はなかった。
 少女達が非常に若い事に気づき、衝撃を受けるが、明人には、何も出来なかった。
 明人に出来る事は、ボソンジャンプで、其処から逃げる事だけであった。

  その後、明人はネルガルへは帰らなかった。
 ユリカが遺跡に捕らわれていた時に、使用されていた機械を探し出して回収。
 そして、地球に帰り、オモイカネが自動車なのを利用して、
 街で、ルリの洋服とか日用品を買いあさり、過去にジャンプしてしまった。
 ルリを助ける為、過去にジャンプしたのだが、
 明人の想いが、ルリを助けたいが為に、ルリを助ける事が出来る過去に来てしまった。
 ようするに、明人は、ルリを助ける事が出来る異世界に来てしまった、という訳である。

  オモイカネによると、明人は、この頃から、現状把握能力が奇怪しくなってきたらしい。
 この世界が、明人の住んでいた世界とは違う異世界だと説明されても、
 頑に信じようとせず、自分の過去の世界と違う事は、無視するようになった、らしい。

  明人がこの世界に来て、最初にしたのは、ユリカに逢って、
 ユリカが遺跡に捕らわれていた時に使われていた機械が思うように使えるかの実験である。
 ユリカは、明人の顔が変わっていても、アキトと認識した。
 そして、明人は、ユリカに機械の説明をして、ユリカに協力してくれるように頼んだ。
 ユリカは、単純に未来から来た明人の為なら、と、協力するようになった。
 ユリカの能力を利用して、軍での待遇改善や、明人の為の住処を、彼等のものにした。
 ユリカの能力は、(機械の力を借りて)他人にイメージや、意志等を送る能力である。
 ユリカがその能力を使っている間は、ユリカ本来の人格が記憶マージャンの部屋に行くらしい、
 と、ルリは推測しているが、真実かどうかは不明である。

  そして、ルリのナデシコC撃沈のさいに、インターネットで細工し、
 オモイカネにコミュニケを隠し、最終的にアキトやルリ達の所にジャンプした。
 この時、明人は、顔をアキトそっくりにしていたようだが、理由は不明。
 それからの事は、ルリ達が目にした通り。
 最後のジャンプは、ルリやラピス、遺伝子細工をされた少女達の最後の場面のイメージが呼び覚まされ、
 そのイメージの元へボソンジャンプしてしまった、と考えられる。
 ミサイルが次々に爆発している所に、生身でジャンプアウトして、生きていられるとは考えられない。
 アキトとユリカが、其処に飛び込み、死んでしまった、というのが、予想される結末である。
 オモイカネによると、明人は、そのイメージを何かの拍子に思いだす事が多く、
 いずれは、そのイメージの元にジャンプするのではないかと怯えていたようである。

 ・・・・・・

 「アキトさん・・・私は、敵には捕まりませんから・・・」
 ルリは、言うと、布団を手繰りよせた。
 布団にしては、変な手触りだと思い、見てみると、アキトの頭であった。
 「うっ・・・・・・、ル、ルリちゃん・・・」
 「・・・・・・」
 アキトの言葉に、ルリが、アキトを見つめ返していると、
 「ルリちゃん・・・、今、何時?」
 「? 今コミュニケを外しているので・・・でも、何故?」
 「イネスさんへの説明は、頭を整理してからでないと・・・」
 「ああ、そうですね。イネスさんは、説明する時も、説明される時も、
 細かい事までしつこいですから。」
 「・・・・・・」
 「アキトさん? 急に黙って、どうしたんですか?」

 「そろそろ、アキト君の頭を放してあげたら?」
 ルリは、アキトの頭をルリの胸に押しつけたままの状態である。
 そして、ルリとアキトが寝ているベッドの横にイネスが立っていた。
 「・・・・・・イネスさん。」
 ルリは、力なく呟いた。
  アキトとルリは、オモイカネから話を聞いた後、
 とりあえず、イネス達の所まで帰る。
 そして、アキトは自室で、ルリは医務室のベッドで寝たのだが、
 何時の間にか、ルリのベッド迄、ボソンジャンプしたようである。
 「それじゃあ、二人に、懇切丁寧に説明してもらいましょうか。」
 イネスは、ラピスを自分の部屋で寝かせ、自分は医務室で眠ったようである。
 イネスの言葉に、アキトとルリは、別々に寝るんじゃなかった、と、思ったらしい。

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b83yrの感想

草壁、北辰、殺す(怒)

が、読み終わった後真っ先に感じた感情だったり

いや、このSSは異味さんのSSだから、こっちは異味さんに任せるとして、私のSSの方でね(苦笑)


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