それは8年前の事。私があの人に初めて出会った時の出来事。




その日私は、黒い人達に研究所から連れ出された。今まで私の能力で実験をしていた人たちが床で呻いているけど、私は気にしなかった。

それから私は車に乗せられた。そこから二時間ほどかけてどこか別の場所に連れて行かれた。

そこには研究所の様な、それでいてどこか違う建物があった。その建物の中で私はあの人と出会った。


「初めまして。私の名前はホシノ・ルリと言います。ルリと呼んで下さいね?」

初めて出会ったその人は、そう言って微笑み掛けてくれた。

「貴女のお名前は何ですか?」
「…2-04D型」

私は無感動に受け答えていた。

私のいた研究所の第2世代4番目のD型。そして最後の生き残りが私。

その人は、今なら分かる気持ち『悲しさ』を表す顔をして私に語りかけてくれた。

「それは名前ではありませんよ?何か別の名前はありませんか?」

「ナイ」

もっと悲しい顔をしてしまった。なにか変な気持ちになった。

「……では、私が決めて良いですか?」

その人はそう言った。

構わない。呼び名が変わってもやる事は同じ。私はそう答えた。

益々悲しい顔になりながらも、その人は私に名前をくれた。


「…ラピス・ラズリ。この名前はどうですか?」


D型のDはデジタル・ヒューマン・インターフェースのD。コンピュータにアクセスする為だけの存在。

その為の教育しか受けていない私には、初めて聞く言葉だった。

「ドウイウ意味なのデスカ?」

私はすぐに尋ねた。

研究所では後から知らないと言うと怒られた。だからすぐに聞いてみた。


「宝石の、凶事から守ってくれると言われている宝石の名前ですよ。……………日本語では瑠璃と呼びますね」

その人は少し懐かしむ様な目で、そう答えてくれた。

「るり?ホシノ・ルリ?」

「そうですね、同じ意味の名前ですね。(微笑)」

その人は優しく笑いながら私の頭を撫でてくれた。とても不思議な気持ちになった。

「……ソレデいい」

その時は無関心な言い方をしてしまった。でも本当は嬉しかったのだと、今なら分かる。

「では、貴女は今日からラピス・ラズリです。よろしくねラピス?」

その人はとても嬉しそうな顔をしてそう言った。

「ハイ、ルリ。」


やがてその名は、私の宝物になった。ルリとアキト、そしてその仲間たちと一緒に過ごす日々の中で。




それは8年前の事。私がルリに初めて出会った時の出来事…………










優しさの中で

その一・蒼銀天使






懐かしい夢から目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった


ここは何処なのか、今は何時なのか分からぬままに少女は周囲を見回していく。

見渡すと直ぐ傍の机で、よく知っている筈の…だがどこか印象の違う金髪の女性が書類を整理していた。


「あら?」

少女が身を起こしている事にどうやら気づいたらしい。女性はゆっくりと近づき、少女の顔を覗き込む。


「…気が付いたのね。色々と確認がしたいのだけどいいかしら?」

何か聞かれている…それは分かるのだが、その意識はある一つの事に向いてしまう。

「まず、気分はどう?痛いところや痺れたところなんかは在るかしら?」

驚愕している?…そのように感じながらも女性は続けてゆく。

「後、できれば名前を…」

「どうして……………どうして?…………」

「?」なにがあったのかしら、と女性は聞こうとする。

だが、少女の言葉でそんな考えは霧散する。










「どうしてイネスが若いの〜〜〜〜!?」


「なっ?!いきなりなんて失礼なお子様!!」

「あぁっ!、そんな事よりハルナはどこ〜〜〜〜〜?!」

「そんな事とは何?!きっちりはっきりコンパクトにだ〜れがオバサンなのか説明しなさい!!」

女性の言葉の最後の部分に過剰とも言える反応を少女は示す。

「はうぅっ!いや〜!説明はイヤ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

いきなり逃げ出そうとする薄桃色の髪をした少女の襟を彼女は慌てて引っ掴む。


「てっお待ちなさい!もしかして、ハルナと言うのはあなたの抱えていた、蒼銀の髪をした女の赤ん坊のことかしら?」

女性は持ち前の冷静さで無理矢理の自制をする。そして少女を見つけた時から気になっていた事の一つを尋ねてみる。


「っ、イネスっ!ハルナはっ!ハルナはどこ!?」


それまでの雰囲気とはまるで違う勢いで少女は金髪の女性、イネス・フレサンジュを問い詰める。

その剣幕に驚きながらイネスは少女の問いに答える。

「い、今はブリッジで面倒を…」

「ブリッジだね!!それどこっ!」

少女の鬼気迫る勢いに飲まれ、しどろもどろに口にする。

「えぇ〜と、出てまっすぐの所に在るエレベーターに乗れば…」

「わかった!ありがとう、イネスっ!!」

最後まで話を聞くこと無く、少女は医務室を飛び出していく。

その姿を呆然と見送ってしまったが、イネスはとりあえず後を追う事にした。


「そう言えば変ね…まだ名乗って無いのにあの子、私のこと知っていたわね…」

幾つかの不可解な事にイネスは歩きながら考えをまとめて行く。


そもそも少女は艦内でのボース粒子増大と言う異常事態の調査中に見つかった。赤ん坊を放さぬようしっかりと抱きしめた姿で…

そして遺伝子チェックの結果も、遺伝子操作の痕跡が分かる程度。彼女が何者なのか分からない。


(ボース粒子の増大……ボソンジャンプの前兆などの現象……普通の人間では耐えられない……遺伝子操作?……そして私を知っている…)

様々な事柄を彼女は纏めて行く。


「…ふふっ、もしかしたら…もしかするわね」

僅かな情報を元に彼女はある考えに辿り着く。

「そうよ!これよ!これだわ!待ってなさいっ!謎の少女!!私の数々の理論の一つを説明する為に!!」

そう叫ぶと彼女は携帯端末を操作しながら突然走り出したのであった。………自室へ説明道具を取りに。





―――「あれはまるで、獲物を目にした猛獣の勢いでした…」

その姿に遭遇してしまった、食堂勤務のS・Tさん(仮名)は後にそう語ったと言う……



場面は変わって少女が目を覚ます十分ほど前のブリッジである。


「な〜んか、ルリルリそっくりよね〜この子」

「だぁだぁ〜」

なぜか手慣れた様子でミナトはその赤ん坊をあやしている。


「うわぁ〜!か〜わいぃ〜♪可愛いよね!アキト!」

「なんで俺に同意を求めるんだよ…って、なぜ俺に抱かすんだユリカ?(汗)」

「や〜ん♪こうして見ると夫婦♪みたいよね〜♪ア・キ・ト♪(はぁと)」

「何言ってんですか艦長!アキトさんと『夫婦(きゃっ♪)』になるのは私です!ですよねっ!アキトさん!?」

「え?いや、あの、それはいったいどーゆーいみ…」

ミナトの手より赤ん坊を受け取り、そのままアキトに抱かせつつ彼の左右に寄り添うユリカとメグミであった。


…………………本気で意味が分からないのか、アキトよ?


赤ん坊の世話をするユリカ達……その様子を伺いながら、パイロット用待機席で三人娘がお茶を飲んでいた。


「リョーコ〜?いいの?あんな事言ってるけど…?」

『夫婦』の部分を聞きながら、ヒカル嬢がにやにやとした顔で同僚パイロットに話しかけている。


「お、おれに何の関係が…」

明らかに動揺した様子であり、手にしたコップが小刻みに揺れている。

「やせたガマ蛙……やせたガマ………やせ我慢……。ヒャッヒャッヒャッヒャッ♪」

ポロン、ポロンとウクレレ(なぜ?)をかき鳴らすイズミ嬢…

「だぁっ!お前らは食堂行ってメシでも食ってろ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

                      「ミスター、よろしいので?」「まぁ、会長の判断待ちですし…」「ユリカ……(泣)」

スバル嬢は爆発寸前の御様子である。しかし…ここには仕事をしている人間は居ないのだろうか………


赤ん坊の世話を行うその手つき…それが妙に様になっており危なっかしさなどまるで見せはしない…

そんなユリカの姿は普段の彼女とはまた違う雰囲気を醸し出していた。

「おまえ、なんでそんなに慣れてるんだ?」

「えっへん。これでもユリカはベビーシッターのアルバイトやってたんだよ♪赤ちゃんって可愛いよね♪」

この時代、高校教育の一環として『ボランティア』や『介護』といった事柄に関わるアルバイトなどは学校側からも推奨されていた。

そのため様々なアルバイトに付き、この手の経験には事欠かなかったユリカである。

「艦長っ!逆、逆です!服が前後逆です!」

「えぇっ、あれ〜?おっかしいな〜?」

…………………………………………………………おい。

まぁ、概ね問題ない様である。

そんなまるで家族(?)の様なやり取りを横目で見ているルリの、落ちつかなげな様子にミナトは気づいていた。

「ル〜リルリっ♪なにを気にしてるのかな〜♪」

「別に、何も」


(まったく、この子ったら素直じゃないわね〜)

取り付く島もない。そんなルリの反応に内心ミナトは苦笑をもらす。


ホシノ・ルリ…彼女はかつて出会った頃は、人形のようだと思わせる無表情な少女だった。

だがそれも、様々な人たちと接することで彼女は少しずつ変わって行った。

(でもやっぱり、アキト君よね〜)

ルリをもっとも変えた人物…そしてもっともその行動に影響を与えてしまう人物…彼のことを眺めながらミナトはルリに話し掛ける。


「『別に』〜?私にはアキト君や赤ん坊が気になってる様に見えたけど〜」

「そうですか?テンカワさんの事は関係ありませんし、赤ん坊の事なんて良く分かりません。わたし、少女ですから…」

そう言ってルリは、ブリッジ正面を向きながら俯いてしまう。


ミナトはルリが『内心はかなり気にしながらも無関心を装っている』という事に気付いている。

まるでルリの姿を写し取ったかの様な赤ん坊と、それをあやしているアキト。…その事が気にならない筈がないのだから。


(あの目と髪の色。そうそう在るもんじゃ無いわよねぇ〜?)

視線をルリに移しつつミナトは思いついたことを冗談めかして言ってしまう…


「もしかしたらあの子、ルリルリの姉妹かもしれないじゃないの〜」


その言葉にルリの胸の中で何か言いようの無い想いが浮かぶ…


青みのある銀髪…色素の抜けた様な白い肌…そして……金色の瞳………

確かに似ているかもしれない、そう自分も思いはする。だがルリの想いは…


「…ミナトさん、知ってますか?私の受精卵が保管されていたラボは、当の昔に閉鎖されました!

同じ施設のほかの子達は、私を残して皆死んでいます!!姉妹など存在し得ない!!

例え居たとしても、私以外の遺伝子強化体質者の生き残りは幼い男の子一人しかいない!!

……だとしたら、あの子はいったい何処で生まれたというんですか!?今は遺伝子の操作はご法度ですよ!?」

突然立ち上がり、普段の彼女からは想像も付かない勢いで捲くし立てる。その剣幕に流石にミナトも失言だったと思い至る。

「私には姉妹なんていない!両親なんていない! あの子にだってきっといない!

それにっ!あの子と一緒にいた子もどう見たって遺伝子を操作されている!私の調べられる合法非合法の保護施設にあんな子はいません!

もしかしたら、何処かの非合法の研究所から逃げ出したんじゃないんですか?!だとしたらっ!……だとしたら………」


段々と尻すぼみになってゆく言葉…自分に背を向け肩を震わす小さな身体。

その姿に自分の迂闊さを呪いつつ、ミナトはルリを背中から抱きしめていた。


「…何かの実験体だったのかも知れないじゃないですか………」


……その言葉はミナトの胸を強烈なまでに締め付ける…

「ごめん…ごめんね…ルリルリ…」

迂闊だった…この子にとって兄弟姉妹と言えばどう言う意味か…遺伝子操作を受けた者がどう扱われるのかを忘れていた…

彼女の言うとうり今、その技術は非合法…その様な事を行う様な場所では、当然のように『人』としての扱いを受けられはしないだろう。

なのに自分は、よく考えもせずに何て事を……この子には最初から分かっていたのに……今この時代に、一歳になるかならないかの『遺伝子の操作をされた赤ん坊』が何を意味するのか…


そしてその赤ん坊をとても大事そうに抱きしめていたと言う少女が、なぜ『ナデシコ』に紛れ込んだのか…

他に逃げる場所など無い…他に安全な場所など在りはしない…あるとすれば『ルリ』を大切にしている『ナデシコ』のような場所…

そんな場所を求めて彼女達はやってきたのだと…今になってようやく思い至り、ミナトも悲しい気持ちになっていく。

…だがそれと同時に嬉しかった。あれほど人に無関心だった少女が、見知らぬ少女と赤ん坊のためにこんなにも感情を露にしている事が。


そんな泣き出しそうなルリと複雑な想いのミナトに、ゆっくりと近づく優しげな青年が居た………


「大丈夫…大丈夫だよルリちゃん…」

青年はそう言ってルリの頭を優しく、まるで、壊れやすい宝物を扱うかの様に撫でていく。

「テンカワさん…」

ルリは彼の顔を見上げて行く…一粒の涙をこぼして…

「あの子達はもうココに居る……ココに居るんだ!!」

「アキト君………貴方………」

ミナトは何も言えなかった。青年の、アキトの瞳に強い決意を感じてしまったから。あまりにも強い意志を。


「もうっ!誰にも手が出せない、出させるもんか!!…俺たちが絶対に守って見せる…絶対に…絶対にだ!!そうだよなっ!!ユリカっ!リョーコちゃん達!!」

そう言って彼は信頼する仲間達へと振り返る。


「ぐすっ。当然だよっ!この子は!この子達はっ!!ユリカ達が絶対守ってみせるよ!!」「だぁだぁ〜」

涙ぐみながらもその腕に赤ん坊を抱いたまま、揺ぎ無い態度でユリカは力強く宣言した。


「ちぇっ、おれたちは一括りかよ…でもよ!おれだって艦長やテンカワと同じ気持ちだぜ!!ルリが心配することなんか何も無いぜ!!」

「私も私も〜。だからルリルリ泣かないでよ〜〜〜」

「……子供は人類共通の宝……マキ・イズミ、力の限り尽くさせて頂きます。」
                                   「イズミちゃん、マジだね…」「そりゃあ、流石にこういったことはなぁ…」

パイロット三人娘達も同じ意見の様だ…。

「私だけのけ者ですか?アキトさん?」

そう言うは通信士、メグミ・レイナード嬢…

「ご、ごめん!そ、そういうつもりじゃなくて…」

アキトは慌てながら説明しようとする。

「分かってますよ、アキトさん…ただ私を呼んでくれないものですから、つい…。でも、私だって同じ気持ちなんですよ?」

くすくすと笑いながら彼女もアキトにそう告げる。

その言葉にアキトも笑顔を浮かべる。

 「ありがとう…皆…本当にありがとう…うれしいよ。俺…」       「テンカワさん…ワタクシ達は無視ですか?…」「……むぅ」「ユリカ…(感動の涙)」

「テンカワさん…」

その様子を見ながらルリは少しずつ落ち着きを取り戻していた。

「私は……」

ルリは何かを言おうとしている、だが何も言えずに居る。その事に気付いたアキトは微笑みを浮かべながらその背中をそっと押す。

「さぁ、ルリちゃん。ルリちゃんもあの子を抱いてあげなよ!……ナデシコの新しい家族なんだから…さ?」

「えっ?あ……。はいっ!」                        「やっぱり無視なんですね…」「むぅ……」「ユリカ、ぼくも一緒に…」
                                          ……………………ちょっぴり寂しいプロスペクター達である。

アキトの言葉にルリはユリカに近づいてゆく…真っ直ぐに、赤ん坊を見詰めながら…

一歩、一歩、…赤ん坊に近づいて行くたびに胸の奥に何か温かい物を感じて行く…

それが何なのかはっきりとは掴めぬままに、ルリはユリカの一歩手前で立ち止まる。

手を伸ばしながらも引っ込める…そんな、ルリのしぐさにユリカも笑みをこぼしてしまう…


「さぁ、ルリちゃん…しっかりと抱いてあげて…この子は皆の、ルリちゃんにとっても大切な妹になるんだから…」

ユリカが優しく微笑む…その笑顔がルリの…胸の奥に有る暖かい想いを引き出して行く…

「はいっ!」
しっかりと、はっきりと、ルリは笑顔で手を伸ばす……




その時ブリッジの扉が勢い良く開け放たれた。


「ハルナ〜っ!!」


薄桃色の髪をした、十四、五歳程の少女が誰かの…恐らくは赤ん坊の名前を呼びかけながら駆け込んで来た。

「へっ?あれ!?」

気が付けばユリカの腕の中に居たはずの赤ん坊は、少女の胸の中で抱き絞められていた。


「ごめんねっ!ごめんねハルナっ!一人にしてごめんね!」
「だぁだぁ〜、きゃっきゃっ!!」

ポロポロと涙を流しながら少女は赤ん坊に語りかけて行く。赤ん坊もよほど嬉しいのか先ほどまでよりもはしゃいでいる。


「えぇっと?……あぁっ!気が付いたんだぁ〜良かったよ〜〜。その子、ハルナちゃんって言うんだね〜。あっ!そー言えば、あなたのお名前は何て言うのかな〜。」


ユリカは屈みこみ、目の高さを少女に合わせながら優しく問いかける。

少女はそんなユリカを呆然と眺めている。


「えっ?あれっ?ユリカ?でも髪長いし、それに……………若い。何で?」

疑問符を浮かべて、少女はブリッジを見渡していく。なかなか失礼な事をぬかしながら。

「えぇ〜と、とりあえず、自己紹介して貰えるかな?あっ私の自己紹介がまだだったね〜」

少女の言葉はあまり気にしていない様子でユリカは続けていく。


「私はミスマル・ユリカ。このナデシコの艦長さんです。ぶい!!」

その様子を皆呆れ顔で眺めていた。少女は妙に納得顔だが。

「あれ?やっぱりユリカだ。でも若い……」

二度も言うとは実にいい根性をしている。


「うん。で、貴女のお名前は?」

「おい、チョット待てよユリカ。この子お前の事知ってるみたいだぞ?」

いつの間にやら近づいていたアキトが突っ込む。

「あれ?確かにそうみたいだね。何でかな、アキト?」

「なぜ俺に聞く(汗)」

実にボケボケした会話が続く。

そんな二人を気にせず少女は考え込んでいた。


(アキトも若い。それにイネスも若かった……じゃあ、あっちのはミナト?て言うことはあの子は……)

ルリにその視線を向けた時少女はある事に思い至り、ルリに近づいて行く。

「えっ?なぜ私の方に……」

近づく少女にルリは戸惑いを隠せずに居る。

そんな事にはお構いなく、少女はルリの傍まで来ると立ち止まり自己紹介を始めた。


「こんにちはルリ。私の名前はラピス。ラピス・ラズリ。ネルガルのテストオペレータ」

ラピスはそう言うと、赤ん坊の顔が良く見えるように向きを変えてルリに紹介する。


「この子の名前はハルナ。テンカワ・ハルナ。ルリとアキトの大切な赤ちゃんだよ?」


「「「「「「「…………はぁ?」」」」」」」


どうやら誰もその意味が理解出来ていない様だ。


「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」





「「「「「「「なんですとぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」」」」」」」

ラピスのその言葉の意味が理解できたその時が、ナデシコ中を巻き込む大騒動の幕開けであった。





≪続く・・・筈。≫



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《あとがきの様であとがきで無い物》

こんにちはADZです。

このお話は、『それは、旅立ちの日』と同じ世界です。

一応。

しかし、明るいドタバタした話の予定でしたのに、何か違う様な気がしますな。

次回は何時になるかは未定ですが、またお会い出来る事を願いつつ、失礼させて頂きます。(ぺこり)


b83yrの感想

作品の中に悲しい内容が入っていたとしても、登場人物達に、『立ち向かうだけの強さ』があれば笑えるものです

悲しい境遇その物を笑いモノにするようなSSならとても笑えませんが

笑いには、『暖かい笑い』と『冷たい笑い』があって、これは暖かい笑いの作品ですね

次話に進む

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