ユリカさんは変わっていません、表向きは

でも・・・


頑張れ、ユリカさん

第11-1話

「いっ、いや〜〜〜〜〜!!」

夜中に悲鳴を上げるユリカ

「!!」

悲鳴に起こされてしまうルリ

「ユリカさん、また夢をみたんですか?」

心配そうなルリ

自分で自分を抱きしめ、ぶるぶると震えながらコクリと頷くユリカ

「アキトとルリちゃんとラピスちゃんが殺される夢・・・美咲さんに・・・」

「お前の大切な人を奪ってやるって・・・・でも、ユリカには止められなくて・・・止めたかったのに身体が動かなくて・・・」

「大丈夫ですユリカさん、私たちは生きてるから、大丈夫だから」

必死にユリカをなだめるルリ

「私・・・もう駄目かも・・もう・・・」

何度も繰り返される悪夢、それでも普段のユリカは苦しむ姿をアキトやルリ以外には見せずには必死に耐え、親善大使救出等で、実績を積み重ねていった

ラピスも最初の頃は、そんなユリカの苦しみも知らずにいたのだが、共に暮らしている内にその事を知ってしまい・・・・とはいえラピスにどうにか出来る事でもなく

「ごめん、ユリカがこんなんじゃ、みんなの身体が持たないよね、私は一人で居るから・・・・」

精気無く告げるユリカではあったが、今のユリカの精神状態では発作的に自殺でもしかねない、だからこそ、ユリカを一人にしないようにルリ達は交代でユリカの部屋に泊まっている

とはいえ、それもまたユリカを更に苦しめる理由となる、自分のしてしまった事の後遺症がルリ達に迷惑をかけているのだから


 


「ユリカさん、このままじゃおかしくなっちゃいます・・・」

「解ってるよルリちゃん、でも、俺たちに何が出来るんだ・・・俺だってあの時、ユートピアコロニーに行きたいなんて我侭言ったから、こんな事に・・・・」

「でも、それを言ってもユリカさんは益々苦しむだけ・・・・」

「どうすりゃ良いんだ、畜生っ!!」

「・・・・・・」

ルリには答えられない

「ユリカが立ち直るのを待つしかないかも・・・・」

「ラピス・・・・」

今までも何度も話あって来た、だが、答えが出せたためしなど無い

もし、自分が山本美咲の立場なら・・・・そう考えるとユリカを救う言葉など見つからない


 


「はい、睡眠薬」

「ありがとうございます・・・」

医務室で今日の分の薬をもらいイネスにお礼をいうユリカ

「・・・・・元気ないわね、後悔してる?、山本美咲の話を聞いてしまった事」

「・・・・・・・・・・後悔なんて・・・していないって言ったら嘘になりますね、・・・・でも・・・・聞かなければユリカは最低以下でした・・・・」

「・・・私たちは何時元の世界に戻れるんです?、」

イネスに問うユリカ

「そうね、具体的に『何時』とは言えない、『こっちの世界でやるべき事が終わった時』としか」

「やるべき事が終わった時・・・・これからどれだけの事をやらないといけないんだろう・・・」

遠い目をして呟くユリカ

「自信がない?」

「自信なんて、とっくの昔になくなっちゃいました・・・・もし、また美咲さんみたいな人を生み出してしまったらって考えたら・・・・」

「でも、今のあなたは良くやってるじゃない」

「こんなの当たり前の事してるだけです、本当なら最初からやらないといけなかった・・そうすれば美咲さんだって・・・」

こちら側の世界でどれだけの事をしようと、それはユリカにとっては救いにはならない、むしろ、こちらの世界で褒め称えられればられるほど、益々ユリカを苦しめていく

・・・マズイ状況ね、これは・・・

内心で呟くイネス

破裂寸前の風船、爆発寸前の爆弾

・・・遺跡もなんで、艦長にあんな事を知らせろなんていったんだろ・・・

知らない方がユリカは苦しまないですんだだろう、今の精神状態では、『遺跡がユリカ達にやって欲しい事』をしてもらうことが出来るかどうかも怪しくなってくる

・・・なにか考えがあるのか、それとも・・・


 


「今回のナデシコの任務は、テニシアン島に落ちた新型チューリップの調査です」

クルー達に今回のナデシコの任務を説明するユリカ

こんな時のユリカは、悩みを表に出さない、だが、それだけにその反動がかえってユリカの心を蝕んで行く

 

・・・テニシアン島、すこしはユリカさんの気晴らしが出来ますかね?・・・

・・・出来たら良いんだけど・・・

・・・「・・・」・・・

ユリカを心配するアキト、ルリ、ラピス

・・・ともかく、とっとと敵の新型兵器を倒してしまおう、ユリカの為にも・・・

・・・はい・・・

・・・解った・・・


 


「くっ、なんだこいつ、前より装甲が厚い、手強くなってるっ!!」

クリムゾンの屋敷の近くに落ちたチューリップから出てきた巨大ジョロは、以前よりも手強く、苦戦を余儀なくさせられるアキト達

今回は、新型チューリップがクリムゾン製のバリアに守られていると言う事もなく、偵察の為に近づいたエステに反応したのか、近づいた途端にその中から現れた巨大ジョロ

「空戦フレームの火力じゃ、あの装甲は破れないぞ、どうするアキト、ロン毛っ」

「ともかく時間を稼ぐ、クリムゾンの屋敷には近づけるなっ」

「了解っ」

アカツキの支持どおり、巨大ジョロをけん制しつつ、屋敷から少しずつ遠ざけていくアキト達

「ルリちゃんっ、砲戦フレーム出撃させてっ!!」

「了解です、イズミさん、ヒカルさん出撃してください」

偵察に出ていたアカツキ達の報告を聞き、用意してあった砲戦フレームを出撃させるユリカ

「爆発の影響受けさせない為には、屋敷から2キロは離さないと」

「解ってる、ヒカル」

市街地等で敵を倒す場合、ただ、敵を倒せば良いと言うものでは無い

兵器と言うものには通常「火薬」が詰まっている、そんな物を人が密集している場所で迂闊に撃破すれば、どんな悲惨な事になるか解らない

もっとも、戦場ではそんな余裕など無く、より良い選択ではなく、より『マシ』な選択肢しか出来ない事も多のだが、それでも出来る時には被害を0に出来る方が良いのは言うまでもないこと

「アカツキさん、アキト、リョーコさん、作戦N-15に変更、これから指定するポイントまで誘導してっ」

「了解」

ユリカからの支持に従い自らを囮にして、ポイントまで巨大ジョロを誘導していくアキト達

「よっしゃ、来た来た〜〜〜♪」

指定場所で待ち伏せしていたヒカル達の砲戦フレームの火砲に集中砲火を浴びせられ、崩れ落ちる巨大ジョロ

「木星トカゲの兵器は条件反射的な行動しかとらないから楽ね・・・条件反射・・じょうけんはんしゃ・・じょうけんはんしゃ・・・」

イズミは駄洒落が思いつかなかったらしい・・・・・

今回もなんとか被害を最小限度に抑えて敵を撃破する事に成功し、ユリカの名声は高まりはした・・が


 


ブリッジが勝利の安堵感に包まれる中、オペレーター席のルリにこっそりと通信を繋ぐイネス

「おかしいわね・・・・・・」

「何がですか?、イネスさん」

「考えてみてホシノルリ、今回の新型チューリップってなんの意味があるの?、新型チューリップ一個で巨大ジョロ一機・・・効率が悪すぎる、普通のチューリップを使えば、あんなものいくらでも送ってこれるのに」

「・・・確かに・・・」

「特別な理由でも無い限り、兵器は進歩していくもの、中には『失敗作』と呼ばれる兵器だってあるけど、いくらなんでもこれは・・・、」

「つまり、特別な理由があるとしたらそれは何か?って事ですね」

「ええ、そういうこと、何か、裏がありそうよねこの話には」

 

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後書き

今回の話は、書いた本人がかなり違和感感じてました

理由はユリカへの周りの人間の態度

「あんな人の殺し方してしまったユリカに対して、周りの人間はこんなに優しくなれるもんだろうか?」

これって、この連載だけでなくて、「TV本編からずっと続く違和感」です

ユリカへの好き嫌いの問題じゃなくて、「話の流れの納得の出来なさ」からくる違和感なんですよ、これって

ユリカが一度信頼を失って、そこから失った信頼を取り戻していく、というような話を『TV本編の時点で』ちゃんとやってくれていたなら、まだ納得出来たのかもしれないけど

この手の話って、時期を逃すと、どうしても『何を今更』って感じが拭えなくなるし

それでも、たとえ『今更』って気がしても、『ユリカ本人がしてしまった事を真っ向から突きつけて乗り越えさせる』方がユリカを変に美化するよりも、よっぽどユリカを見直させる事が出来るかもしれないんじゃなかろうか?って事で、こんな話にしてますが

でも、やっぱ書いた本人も納得してないというか、何度書き直しても納得出来る話に出来ないというか・・・・

だから、劇ナデアフターでも、ユリカ×アキトって書かないというよりも『書けない』んですよ、どうしても違和感ばかりが膨らんできて

それゃ、『現実』ではない『物語』なんだから、『物語の中の人と人との関係』には大なり小なり違和感を感じる事はありますが『でもまあ『物語』なんだから』って事で自分を納得させます、でも、ナデシコの場合は違和感が大きすぎてそれが出来ないんですよねえ

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