自分にとって一番見たく無い物、そして人に見られたくない物はなんでしょう?
それは人それぞれでしょうが、『過去の自分』と言う人も多いはず
つまり、オモイカネが次に選んだ手段はというと
瑠璃とルリ
第14話
「これは・・・・」
目の前に現れた映像を見て、冷や汗を垂れ流すアキト
『これは過去のお前自身、テンカワアキトがゲキガンガー見て泣いてる情けない姿♪これ、瑠璃に見せちゃおっかな〜♪』
「ばっ、ばっ、ばっ、馬鹿っ、やめろっ、オモイカネっ(汗っ)!!」
今更こんな物を見たくは無いし、人に見られたくも無い、ましてや瑠璃に
『いや〜、テンカワアキトって男の本当の姿を知ってもらう為には是非瑠璃に見せてあげたい』
「やめろ〜〜〜(汗っ)」
さっきまでのテンカワアキトは何処にいったやら、少々情けなさの混じった悲鳴を上げる
「アキトさん、今更そんな事を気にされても・・・(苦笑)」
オモイカネにその映像を見せられていた瑠璃は思わず苦笑い
『過去のアキト』がゲキガンオタクだった事などよく知っている、だが瑠璃が好きになったのは『今』のアキト、『過去から今に共に歩んで来た』アキト、そして『これから未来に向けて共に歩もうとしているアキト』
そして、今のアキトにとってはゲキガンガーは『昔好きだったアニメ』でしかなく、今の瑠璃にとっては、たいして気になる事でもない
そんな瑠璃へのオモイカネからの突っ込み
『でも、瑠璃だってこの世界のルリ、過去の自分を見た時、どう思った?』
「それは・・凄く恥ずかしかった・・・けど(赤)」
『次に出す敵に負けたりしたら、瑠璃にこれみせちゃうよ』
「くっ・・・」
瑠璃に見られている事も知らず、『絶対に負けられん!!』と決意を新たにするアキト、理由が少々・・・な気もするが
『じゃあ、第2ラウンド開始〜』
「夜天光!!」
第2ラウンドの敵は夜天光、アキトが今まで戦った中で、最も厄介な敵
タタタタ・・タタタタッ
様子見にラビットライフルを横薙ぎにはらい、夜天光に威嚇射撃、ジャンプしてかわす夜天光、だが、そう動くのアキトも予測済み
ジャンプした夜天光へ弾丸を送り込む
だが、通常なら直撃するはずの弾丸は、フィールドに阻まれ夜天光本体にはダメージを与えられない
「くそっ、ライフルの威力が足りないっ」
エステバリスよりも、夜天光の方が新しい機体、フィールドの出力も機動性も勝る
「なら格闘戦か・・だが・・・」
一瞬躊躇するアキト、その隙を見逃さず一気に間合いをつめてくる夜天光
「くっ」
突っ込んでくる夜天光をギリギリでかわし自分の横をすり抜けていった夜天光の背中を振り向きざまに狙って撃つが、体勢が崩された状態での射撃は中々当たらない物
機体の不利以外にも、アキトには気になっていることがある
「北辰っ、あいつは1対1で素直に戦う奴じゃないっ」
今は敵の姿は一機だけ、だが、余程の事がない限りは北辰は六連と共に戦う
北辰は『戦いの内容』ではなく『相手を葬るという結果』を最優先させる男、『数の優位』を自ら捨てるようなマネはしない
不意打ち、だまし討ち、人質をとる、勝つ為にならどんな手段でも使う
もっとも、『戦争』と言う物を考えるのならば珍しくもない話、だからアキトはそんな事を卑怯だとは思わない、いや、卑怯だと思っても泣き言は言わない、そんな甘い考えでは瑠璃を守る事が出来ない
一応、地球の国家間の戦争には『戦時国際法』という物はある、名目上はそれを守って国家間は戦うが、それを馬鹿正直に守ると考えるのはお人好し過ぎる
自分達は平気で汚いマネをしておきながらそれを隠蔽し、、相手の汚い部分が少しでもあれば徹底的に非難して自らの正当性を主張する国家など珍しくもない、そして、臆面も無く『正義』を主張する、まあ、国家に限らず個人にもそのタイプは居るが、そして『勝てば官軍』となる事など、珍しくもない
だが、やはり『程度』の問題はある、『火星の後継者』の正義は、とても受け入れられるような物ではなかった
・・・正義を愛する熱血漢、理想の為なら死ねる男、ただ、問題は自らの理想が他人にとっても理想だと固く信じている所・・・
火星の後継者のリーダー草壁春樹への評価だが、このタイプはある意味もっともタチが悪い、このタイプの政治家が人類に対して大きな惨禍をもたらした事も少なくない、現に草壁を実質ナンバー1にしていた木連はなんの罪もない、ただ火星に暮らしていただけの人達を、ほぼ全滅にまで追い込んだ
そして、アキトのようなジャンパーや瑠璃のような遺伝子操作をされた人間、『自分達の強力な敵になりそうな能力』を持った人間に対して、火星の後継者が何をしていたか、アキトも瑠璃も、ただ、『普通の生活』をしたかっただけだというのに
運良く二人はその毒牙から逃れる事が出来たとはいえ、とても許せるような代物では無かったのだ
色々と言って来たが、要は近代の戦争において『まともな一騎打ち』をする方がおかしい、もしそんな事があるとすれば、何か罠があるか・・・・それとも、そうしなければならない状況に追い込まれた時
ただ、アキトは気づいていない事がある
『なんだか戸惑ってるね、あの敵は普通に一騎打ちをするのに』
「あいつには、苦労させられたから」
嫌悪感の混じった台詞をはく瑠璃
『でも、パイロットが北辰だなんて、一言も言ってないよ、瑠璃もアキトも夜天光だから北辰だと思ったみたいだけど』
「えっ」
「くそっ、何を考えているっ」
再び突っ込んでくる夜天光を今度は余裕をもってかわすが、一騎打ちをしてくる『北辰』に戸惑うアキト、敵への疑心暗鬼から集中しきれない
一撃離脱
敵が複数いる時の基本、だが、一撃離脱戦術の欠点
「あとほんの少し」攻撃を続ければ夜天光のフィールドを破り本体にダメージほ与える事が出来るかもしれないというのに、「見えない敵」への警戒から、攻撃が中途半端な物になってしまう
ライフルを撃っている間は、フィールドも解かなければならない、そんな時に「伏兵」に狙われてしまえば致命的
だが、「居もしない伏兵」を気にして、しかも性能で夜天光に劣るエステバリスでの戦い
二つの不利が重なっているアキトの状況は悪い
「まてよ、ここはっ」
ここは、オモイカネ内部の擬似空間、昔の事を思い出すアキト
以前は、ゲキカンガーをドラゴンガンガーで倒した
「ならっ、サレナっ」
アキトエステはアキトサレナへと変わる、これで性能的には
ブラックサレナは特殊な用途に特化された機体、特徴は異常な程の加速力と異常な程の防御力、たとえ六連が伏兵として隠れていたとしても、多少ならば敵の攻撃をその防御力が防いでくれる
エステバリスがサレナへと変わった事で、不利と判断したのか、逃げ始める夜天光、追いかけるアキト
「くっ、相変わらずキツイっ」
サレナの加速力に耐え夜天光との距離を一気に縮め、そして
「おらぁっ」
逃げる夜天光の背後からパンチというよりも体当たりに近い一撃を加える、それでアキトの勝利が確定した
『おお〜、たいしたもんだ』
パチパチと拍手の音をわざわざ合成してアキトを褒めるオモイカネ
「オモイカネ、いい加減に瑠璃を返したらどうだ?」
虚空を睨みつけるアキト
「まだまだだ、今回はサレナを使ったけど、今のナデシコにサレナは無い、もし、今北辰が現れたら、君はエステだけで瑠璃を守らないとならない筈、瑠璃を守るだけの力の無い相手には返せない」
「オモイカネ・・・お前・・・」
アキトにも、なんとなくオモイカネが言いたい事、やりたい事が解ってくる
『大体、君が知ってる北辰はそんなに楽な相手じゃないでしょ』
「確かに・・な・・・」
『それに、サレナみたいに無茶な機体使ってまで戦ったのは何の為?、みんな瑠璃を守る為だった筈、なのにそれを忘れて、もしかしたら瑠璃を悲しませるかもしれない所だったんだ、アキトは、はっきりいってまたまだ虐めたりない、何かあってからじゃ遅い』
「オモイカネ、だったら私だってアキトさんを止めなかったんだから」
見ていて罪悪感を感じてしまう瑠璃
『アキトには、自分の事を言われるよりも瑠璃を絡めて話をした方が何倍も効くから』
『どうする?、まだ続ける?、今度は『北辰らしい北辰』がお相手するけど、しかも次回からはサレナは無し、今はエステバリスで戦うしかないんだから』
「・・・解った、いい機会だ、この際徹底的に自分を鍛え直そう・・・」
「あれっ、ルリちゃんどうしたの?」
「オモイカネに呼ばれました、でも艦長こそ、なんでここに?」
「いっ、いや、それは・・あはははは(汗)」
笑って誤魔化そうとするユリカだが
『あがってルリ、ルリも本当の事を知るべき』
「オモイカネ、あなた」
『これから先の戦いの事を考えるなら、そろそろルリにも本当の事を知ってもらった方が良い、それにユリカにも知ってもらいたい事がある』
「くそっ」
『どうしたの、そんなんじゃ瑠璃を守り切る事なんて出来ないよ』
ルリとユリカがオモイカネに見せられている、アキト対夜天光+六連の1対7のあまりにも不利な戦い、アキトは何度も負けた、それでも何度も何度も立ち向かっていく
「必死ですね・・・アキトさん」
「うん・・必死だね・・」
「アキト・・・ユリカの為にあんなに必死になって戦ってくれたりしないんだろうな・・・」
「艦長?」
寂しそうに呟くユリカに驚くルリ、自分も同じ事を考えていたからだ
・・・もしかして、艦長もアキトさんの事?、そんな筈は、だって今までそんな素振りなんて見せなかったのに・・・
不安になってくるルリ、ただでさえ瑠璃には勝てないと思っているというのに艦長まで・・・
そんな二人にオモイカネが問いかける
『アキトがなんで瑠璃の為にあんなに必死になれるのか見たくない?、二人の過去に何があったか』
次の話へ進む
後書きというか、雑談というか
次回は過去編と
時々、劇ナデアフターでアキトに想いを寄せるルリがユリカには勝てないって悩んでいる話って見かけるけど、かなり違和感を感じてたりします
確かに、本編ではユリカ×アキトだったし劇ナデではアキトはユリカを助け出す為に必死だったんだから、『その観点』で見る分には、ルリが悩んでもそれは当然の事
でも、『TV本編のユリカ×アキトに至る過程の納得出来ない流れ』からの観点でみると・・・『ん?、なんだこの違和感は?』って話に
というか、『アキトはユリカの為に』って所から、違和感を感じてしまう、SSではなくて、『元の劇ナデという作品』から、既に違和感のある話になって、SSでは更に違和感が加算されてしまうという・・・
こういう人って、どのくらい居るんだろ?
ルリがユリカに勝てないって悩んでいるような話って、「その話だけ」でみる分には、結構面白い事も多い筈なんですが・・・
この事に限らず、ナデSSの場合って、ユリカ×アキト絡みの話の場合、「その話だけ」で見る分には内容的には面白い筈なのに、「TV本編からの流れ」でみると、面白さよりも違和感の方が勝ってしまう事って多くないですか?
私が、ユリカ物のSSを全然読まなくなってしまった理由の一つだったりします、その『違和感』は
ルリ×アキトとかに違和感を感じるっていうのは、別に良いんですよ、だって、ルリってそもそも『TV本編ではアキト争奪戦に参加すらしていなかったキャラ』なんだし、SSはどこまでいっても『IF』であって、『IF』に違和感を感じる人が多くたって、そんなのは当たり前の事
でも、ユリカ×アキトっていうのは『公式カップリング』なんです
公式カップリングを公式カップリングらしく扱おうとすると、『IF』の筈のルリ×アキトよりも違和感を感じてしまうっていうのは、なんなんでしょう?
『IF』に違和感を感じる事と、『公式カップリング』に違和感を感じる事って、意味も重みも全然違う
私がSS書いてる時、しょっちゅう突き当たる問題がコレなんですよねえ
読者の視点からみて、この瑠璃とルリってSSの世界観の中でのユリカってどう見えているのか?、とか、ラストの方でもルリが「もしかして、艦長も・・・」って不安を持つ事はどう感じるのか?、その事に違和感を感じさせていないか?
どうなんだろ、私のSSって
次の話へ進む
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||