最近、私もアキトさんも不機嫌になるような事が続いています・・・でも
瑠璃とルリ
第12話
今日のアキトは、荒れていた
何時もはこんな事もないのだが、ともかく荒れていた
そして、それを何処にぶつけていたかといえば木星トカゲの無人機たち
普段からは考えられないような積極性でバッタ達を撃破していくアキト
「なっ、なんか鬼気迫るものがあるな、今日のテンカワ(汗)」
「瑠璃さんと、夫婦喧嘩でもしたんだったりして」
(汗)なリョーコとは対照的になにやら楽しそうなアマノヒカル「こらっ、アキトっ、俺より目立つんじゃねえっ!!」
ガイことヤマダジロウは、そんなアキトに対抗意識を燃やしまくっている
・・・よくも、良い所で邪魔してくれたな、おまえら(怒)・・・
これが、今アキトの怒っている理由である
ここの所色々と忙しくて、瑠璃との夜の・・・まあ、これ以上の詳しい話は止めておこう
ともかく久しぶりに『さあこれから』という時に木星トカゲの敵襲
コック兼『パイロット』のアキトとしては出撃せざる得ない
1度や2度ならともかく、最近、こんな事が続いているのだ
・・・地獄に落ちろっ、バッタどもっ!!・・・
無人機に落ちる地獄があるかどうかは疑問だが、ともかく、それが今のアキトの嘘偽りの無い心境
こんなアキトを止められる人間が居るとすれば、二人しかいない
「アキトさん、突っ込みすぎは危険です、ちゃんとフォーメーションを維持してください」
オペレーターのルリの言葉に、はっ、我に返るアキト
「あっ、ごめん、ルリちゃん」
もし、瑠璃がオペレーターだったとしても、アキトは我に返っていただろうが、瑠璃は食堂勤務で戦闘行動中のアキトに通信を繋げる事は出来ない・・・『こっそりと』なら繋げている事も多いが
その後、アキトは瑠璃とルリの二人に怒られてしまう事になる
「ありがとうございますね、ホシノさん」
ルリにお礼をいう瑠璃
「いえ、当然の事ですから」
すこし、照れくさそうなルリ
そして
「アキトさん!!」
完全に怒っている口調、アキトの顔を黙ってじっと見つめる瑠璃
「いっ、いや、あの(汗)」
焦るアキト
とは言え、瑠璃にだってアキトが荒れた理由は解っている、実は瑠璃もバッタ達を次々に撃破していくアキトをみていて、すっきりとしたというのが本音なのだ
だからこそ、普段なら「こっそりと」繋いでいる通信で真っ先にアキトを止めている筈の瑠璃が、今回は止めなかった・・・いや、止める事が出来なかったのだから
瑠璃の怒りは、無茶をしたアキトへの怒りでもあるが、半分はそんな自分自身への怒りでもある
・・・私が冷静さを保てなくて、どうするんですか・・・
アキトは元々いざとなれば無茶をする所がある、ましてや、ここはほんの少しのミスが、即、死に繋がる戦場、そんな場所でそんな自分の夫を守る為には妻の自分は常に冷静さを保っていなければならない、それが瑠璃の想いであり覚悟
瑠璃がナデシコに乗った最大の理由は、確かにアキトと一緒にいたかった事かもしれない、だが、アキトを守りたいということも決して小さくは無かった筈だ、それなのに・・・
とはいえ、人が人であり人に感情というものが有る以上、それはとても難しい事でもある
「アキトさんに、もし、なにかあったら、瑠璃さんはどうするんですか」
自己嫌悪に陥っている瑠璃よりも先に口を開いたのはルリの方だった
・・・アキトさんになにかあったら、私だって・・・
その言葉を心の中にしまって
アキトには、何も言い返せない、瑠璃もルリも自分の事を心配していてくれればこそ、こうやって怒っている事が解るからだ
とはいえ、こんな風に怒られてしまった後ではどうしても気まずくなり・・・
数日ほど、口をきかないというか、きけない事になってしまうのだが
噂が広がるのは早い
なにか何時もと違う雰囲気のテンカワ夫妻をみて、『最近、あの二人は上手くいっていないらしい』という噂が広まるのは左程時間はかからなかった
こういう時、人という物はやっかみから嬉しがる人間と心配する人間に別れる
まあ、やっかみうんぬん以前に、その手の事その物が面白いというタイプも居るのだが(苦笑)
ちなみに
「やあ、瑠璃さん、テンカワ君と喧嘩でもしたの?、いっそのこと僕に乗り換えない?」
と、人妻にアプローチをかけて、あっさりと撃破された元大関スケコマシ等も居たりする
もっとも、元大関スケコマシ的には軽い冗談のつもりでもあったのだが、その後、アキトに睨まれるようになってしまったのだが
さて、ユリカはどうかというと・・・
二人の仲がおかしいらしいという噂をきいて、正直、すこし嬉しくなってしまった
瑠璃とアキトがこのまま別れて、アキトは自分の元に・・・などという想像までしてしまい、我に帰って頭をぶるぶると振り、自分の考えを追い払う
「はあ、駄目だなあユリカって・・・・やっぱり、まだ少しはアキトに未練があるんだ・・・」
普段は気づかない、いや、気づかない振りをしているが、こんな時になれば思い知らされる
ジュンの気持ちを知っていながら受け入れる事が出来ないのは、確かに『ユキナ』の事が最も大きいだろう、だが、アキトへの未練も小さいとは言えない
未練を断ち切る為に、いっそのことジュンの気持ちを受け入れてしまおうかと思った事も一度や二度ではない
「ユキナちゃん・・・はやく来ないかな・・・」
自分の気持ちに整理をつける為には、ユキナと会わなければ、なにも始まりはしない
カレンダーのある日を指差し呟くユリカ
「もうすぐ、会えるはずだよね・・・」
それは、逆行前の世界でユキナがナデシコに来た日
「あっ、そうだ、その前に」
ユリカはふとある事に気づく
「オモイカネの反乱ですか」
「うん、歴史通りだとそろそろでしょ、瑠璃さん達はどうする気なのかなと思って」
「対処済みです、おそらく今回は大丈夫な筈」
答える瑠璃
「歴史の修正力の事も考えましたが、もう、そんな事を考えている場合では無くなってきているような気がして・・・だったら、必要以上に軍に睨まれる必要もないかなと」
と言いつつ瑠璃の表情には、「本当にこれで良かったのだろうか?」という不安が見え隠れしている
「ねえ、それってアキトは知っているの?」
「いえ、私一人で、近い内に知らせますけど」
先の事を知っている瑠璃にとって、その程度の事はアキトの手助けがなくても簡単な事
「でも、もう一度オモイカネの中にダイブしてみない?、アキトと一緒に」
「何故です?、なんでわざわざ」
怪訝そうな瑠璃
「歴史も変わってきてるし、前回大丈夫だったからっていって今回も大丈夫って保障は何処にもないから」
確かにその通りだと頷くアキト
ユリカは言う
戦闘の最中に、戦艦のメインコンピューターが反乱など起こすのは危なっかしくて仕方が無い
前回はそれでもなんとかなったが、今回も大丈夫だという保障は無い
味方を攻撃するような暴走をしたナデシコが、被害を最小限度に抑える為に、味方から攻撃され撃破されても文句は言えない
そうなれば、それはアキトと瑠璃だけの問題ではない、ナデシコのクルー全員の生死に関る重大な問題、避けられる危険ならば早めに対処しておきたいと
「では、またオモイカネの中にダイブしてみましょう、今回は暴走する前に」
と瑠璃の提案
賛同しようとしたアキトがふと思い出した事がある
「・・でも、考えてみれば、前回はセイヤさんの力も借りた筈、今回は大丈夫なの?」
「大丈夫です、『こんな事もあろうかと』準備はちゃんとしておきましたから、今回は私達だけでなんとかなります」
「あ〜〜、瑠璃さんウリバタケさんの台詞取っちゃった」
悪戯っぽく笑うユリカ
「そうは言っても、こういう時に使う台詞といえば、やっぱり『こんな事もあろうかと』でしょうし(苦笑)」
冗談っぽく答える瑠璃
ここの所気まずくて、瑠璃と話せなかったアキトにとってはこの雰囲気はありがたい
まさか、瑠璃とアキトの事を心配したユリカが、わざわざこうなるように仕組んだ事であるとは、まったく気付かないアキト
・・・瑠璃さん、最近アキトと気まずいの?、だったら、瑠璃さんがアキトの事を最初に意識しはじめた時の事をもう一度やってみない?・・・
自己嫌悪もあり、最近アキトと話せなかった瑠璃は、ユリカのその提案に飛びついてしまった、だから、本当はオモイカネの中にダイブする必要などないのだ、知らないのは、アキトだけである
「じゃあ瑠璃さん、たまには二人きりでデートでもする気分で楽しんで来て」
さあ、これからオモイカネの中に、という直前にユリカにこっそりと耳打ちされ、こくりと頷く瑠璃
そんな理由で、今回は危険などまったく無い筈だったのだが・・・・
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後書き
ここの所、感想全然来ない〜〜〜と嘆いてみたり(笑)
TV本編12話のオモイカネの反乱辺りの話です
本編のルリって、アキト争奪戦に参加すらしていないのに、TV本編12話→18話→19話と、アキトの事を意識していてもおかしくない『流れ』が一番しっかりとしているキャラなんですよね
他の女性キャラの場合、特に、エリナ、リョーコ辺りなんて『いつ、何処で、なんで』アキトの事が好きになったのかさっぱり解らないんですが
そういう意味では、『流れ』が一番しっかりしているルリ×アキトは一番書きやすかったりします
ルリ以外の女性キャラの場合、『流れ』にまで至っていないような印象があります、特にユリカ、メグミ辺りには、むしろ『マイナス方向への流れ』すら感じる事が多々ありますし
とはいっても、TVの時点で11〜13歳ぐらいのルリと、いきなりルリ×アキトになってしまうのは変ですが(笑)
だから、TV版ラストの時点では、『アキトは誰も選ばない』事が一番自然にみえる私
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