ナナフシは、簡単に破壊出来ました、でも・・・・
瑠璃とルリ
第10話
「うりゃっ」
襲いかかってくるバッタをかわし、銃撃を加えるリョーコ
ナナフシを撃破はしたが、それだけでは話は終わらない
ナデシコに、次に下された命令、それは
『破壊したナナフシの回収の為、軍と共に、残存兵力の掃討を行う事』
ナナフシの周辺に存在するバッタ等の数から推定すると、少なくとも5つ以上のチューリップが、掩蔽されている筈
ナナフシ回収作業中もバッタ達は襲ってくる、だから、空中からの探索ではそう簡単に見つからないように、巧妙に隠されたチューリップを人海戦術で見つけ出し全滅させてからゆっくりと回収しようと言うのだ
「しっかし、軍はなんであんな欠陥兵器なんて欲しがるんだ?」
「兵器としては欠陥品でも、『マイクロブラックホール』なんて物を作り出す技術は魅力的って事でしょ」
リョーコの疑問に、意外と真面目に応えるイズミ、なにか、駄洒落を考えていたのだが思いつかなかったようだ
「木星トカゲって、時々訳の解らない事するよねえ」
ヒカルの意見に同感するリョーコとイズミ
『戦力の逐次投入』はもっともやってはいけないとされている物の一つ
今回の、ナナフシも考えた末に送り込まれたというよりも、『とりあえず送っておけ』的な物を感じる
地球側の軍も、木星トカゲとの初期の会戦の時には、かえってその、常識を外れた戦術に戸惑ったが経験を積みある程度相手の出方が予想できるようになってきた事で、負けっぱなしと言う事もなくなった
現に、『月の奪還』を果たしたのは『軍』なのだ、敵の兵器の性能と数の為に苦しい戦いを強いられているとは言え
とはいえ、地球側も楽観視はしていない、木星トカゲ側の戦術の不味さがあってようやっと対抗出来ているという現実、もし、敵が『当たり前の方法』を使ってくれば負ける事は目に見えている
タタタタタタ
近くでアキト達の隊の銃声が聞こえてくる
「あっちも頑張ってるね、そろそろ敵との遭遇数も増えてきたしそろそろ目標も近いかも」
「しかし、この砲戦フレームって好みじゃないんだよなあ・・・」
愚痴をもらすリョーコ
「愚痴らない愚痴らない、砲戦フレームの火力が必要になるかも知れない敵だって居るんだから」
「いや、それは解ってるんだけど、なんだかなあ」
元々、白兵戦を好むリョーコとしては火力は強力でも機動力に劣る砲戦フレームは好ではない
では、何故リョーコが砲戦フレームなのか?
「でも、ほんとリョーコってじゃんけん弱いよねえ」
「うるせえ」
心底悔しいリョーコ、そして
「砲戦・・砲戦フレームで戦闘なんて、ほうせん(もうせん)・・・くくくく」
相変わらずのイズミ
さて、アキト達はというと
「なあ、アカツキ(汗)」
「なんだい、テンカワ君?(汗)」
「ブロスさんって、『性格は問題はあっても、腕は一流』のメンバー集めたんだよな(汗)」
「ああ、そのはずだ(汗)」
ガイの戦い方を見つつ、(汗)な二人
「いや、ガイが強い事は認める、撃墜数は確かにトップだ確かに・・でも・・・なんであれで撃墜されないんだ?(汗)」
「さっ、さあ?(汗)」
はっきりと言わせて貰えば、ガイの戦い方は『無茶苦茶で危なっかしい』
アキトは、瑠璃を守れるだけの力が欲しくて必死に訓練を積み重ねてきた、その時に教えられた内容をガイの戦い方は全て否定するような代物なのだ
「でも、あの戦い方はマネしない方が良いよ、テンカワ君、あれは彼にしかできないから(汗)」
「あんな危なっかしい戦い方する度胸なんて、俺には無いぞ(汗)」
・・・でも、瑠璃さんが絡めば彼以上に無茶をしそうだけどねぇ、テンカワ君は・・・
内心で突っ込みを入れるアカツキ
「さて、ヤマダ君ばかりに活躍させてる訳にもいくまい、僕達も給料分は仕事しておかないと」
「あっ、ああ(汗)」
ちなみに、こちら側ではアキトが砲戦フレームに乗っている
その気になれば補給も直ぐに出来る状態なので、以前の世界の時に比べても楽なのだが、まだ、アキトは前回程弾薬を使っていない
・・・前回は、俺が馬鹿やったせいで、ギリギリだったんだよな、下手すりゃ俺のせいで瑠璃もナデシコの皆も一緒に死んでた所だったんだ・・・
過去の自分の馬鹿さ加減を思い出すと背筋がぞっとするアキト、だからこそ、必死に訓練を積み重ねて来たのだ
「そういえば、瑠璃さんってIFS付けてるけど、何処でそんな物を?」
厨房で一緒に仕事をしているサユリが尋ねて来る
「火星では珍しくないんです、IFS付けてる人」
「アキトさんとも火星で?」
「はい、一緒の食堂で働いていて、それで」
自分の経歴を偽造してナデシコに乗りこんでいる瑠璃、聞かれそうな事を予め纏めておいた為に、返答が早い(笑)
「前に皆で話してたんだけど、もしかして瑠璃さんもエステバリスの操縦とか出来るの?」
「やった事は無いですけど、多分出来ると思います、でも、『動かせる』と『戦える』は天と地の差がありますから」
「ねえ、瑠璃さんってアキトさんを戦場に出していて怖くないんですか?」
「・・・怖いですよ、凄く、でも・・・」
「でも?」
「私が余計な事いって、あの人に余計なプレッシャーかけたら、かえって危ないかもしれないから・・・」
辛そうに応える瑠璃
・・・この人は、本当にアキトさんの事を大事に思っているんだ・・・
そう思うサユリ
「瑠璃さんって、アキトさんに何かあったら、我を忘れてエステで飛び出しちゃったりして」
「しませんよ、そんな事、私なんかが飛びだしたらかえって足手まといになるだけです」
サユリに対し苦笑いで応える瑠璃
・・・・でも『エステでは』飛び出したりしないけど・・・・・・
内心でそんな事を考えている瑠璃
実は、戦闘の時はブリッジや敵影の状況をオモイカネに頼んで、こっそりと知らせてもらっているのだ、いざという時の為に
いざと言う時に追い込まれない為にこっそりとサポートしている時も多々有る
さて、ブリッジである
実は今回、ナデシコ単独での戦闘ばかりして来たほとんどのナデシコのクルー達にとって『軍と共同歩調での戦い』は初めての経験となる
こんな時には、『横』との連携が重要になる為、今までの戦い以上にブリッジのクルーは忙しい、いや、いざ戦いとなれば今までも忙しかったのだが、『忙しさの内容』が違うと言うべきか
ある戦闘での記録にこんな話もある
『突撃の時の死傷者の約3割は味方に後ろから撃たれている』
乱戦になれば、『誤射、誤爆』も付き物、それを防ぐ為には他部隊との連携は重要な事
そして、ナデシコはただでさえ軍に睨まれている、『味方への誤射、誤爆』ともなればナデシコをつるし上げる材料としてはかっこうの理由だろう、そして、『誤射、誤爆』との名目でナデシコが狙われる事もありえない話ではない、それが解っているからこそ、今回のユリカは慎重だ、
ひっきりなしに、通信が入り休む暇もろくにないメグミ
常に変わる敵と味方の状況を考えながら指揮をとっていくユリカ
常に敵に襲われる事を考え、警戒を怠らず慎重にナデシコを航行させていくミナト
そして、火器管制、レーダー管制その他諸々の他に、ブリッジクルーの補佐まで勤めているルリ
瑠璃は、その全ての役割を一人で担う、ネルガルの『ワンマンオペレーション』の実験の協力をしていた事もある
たが、アキトは瑠璃にもルリにも、そんな事はさせたくない
確かに瑠璃は、『兵器として優秀』かもしれない、だか、アキトはそれがたまらなく嫌なのだ、自分が好きになったのは瑠璃という『人間』がそんな風に見られる事が、せめて、『兵士として優秀』なのであればここまで嫌では無かったのかもしれないが
約半日後・・・
「艦長!!」
他の部隊が3機目のチューリップを撃破したとのメグミからの報告
この調子なら、今日一日で全てけりがつくかもしれない
クルーに、やや安堵の空気が流れる
ユリカにも、少しだけ安堵の気持ちが芽生えるが、すぐにその気持ちを追い払い、クルーの気持ちを引き締めようと注意しようとした矢先メグミからの次の報告
「艦長、敵のマイクロブラック砲らしき物の攻撃で旗艦が大破だそうです」
「マイクロブラックホール砲?、そんな、ナナフシは破壊したはず、なんで?」
後書き
ちなみに、『突撃の時の死傷者の約3割は味方に後ろから撃たれている』って言うのはどこで聞いたかは忘れたけど、本当に例がある話だそうで
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