ユキナさん・・・

何で、ユリカさんの口からその名前が?

今にして思えば、ユリカさんには『的確過ぎる指揮』も多かった気がします

まるで、将来が解っているかのような

ということは、やっぱりユリカさんも、私たちと同じように・・・・・


瑠璃とルリ

第七話


アオイジュンは、ユリカに尽くしてきた

そりゃ〜もう、尽くしてきた

なにせ、『あの』ユリカの料理の味見を自ら引きうけるぐらいなのだと言えば、どのくらい尽くして来たか解るだろう

そして、ジュンはユリカ一筋・・たとえ、ユリカに振り向いてもらえなくても・・・・だった

 

「ユリカ・・ユキナちゃんって誰?(汗)」

はっきりと言って、その名前にはまったく心当たりが無い

自分はユリカ一筋なのに、振り向いて貰えないだけならまだしも、別の女性との仲を勘違いされるなんて、あまりにも悲しい

 

「・・・あなた、二股かけてるの?」

ジュンから離れ、じと目でジュンをみるアクア

「ちっ、違うんだ、誤解なんだ、僕は!!」

焦るジュンではあったが

「・・・・・ジュン君をちゃんと見ててくれてたのはユキナちゃんだもん・・ユリカじゃないもん・・・・」

涙目になってそんな事を呟いてるユリカをみて、心当たりもないのに罪悪感に苛まれてしまう

自分の知っているユリカは何時も明るい笑顔で、こんな悲しそうな泣き顔など見たことが無い

 

・・・・なんだ、一体なにがどうなっているんだ?(汗っ)・・・

だが、心当たりのある女性ならまだしも、聞いた事も無いような名前

当然、ナデシコのクルーの中には居ないし、ナデシコに乗る前の交友関係のある相手にも居ない

「女泣かせるなんて最低・・・・」

ぼそっと、呟くアクア

「うっ(汗)」

どうなってるのかは解らないが、ともかくその、『ユキナちゃん』とやらと、自分の事でユリカが泣いている事だけは解る

そして、アクアの心中

・・・・・・ますます面白そう、この二人は・・・・・

アクアもユキナのことなぞ当然知らないが、ともかく『面白そう』な事だけはその嗅覚が嗅ぎ付ける

「とっ、とにかく僕はその、ユキナちゃんなんて知らないしユリカは何か誤解してるんだ、僕は・・(赤)」

・・・・僕はユリカの事だけをずっと見続けてきたんだ・・・

と続けようとするのだが、後の言葉が出てこないジュン

 

 

 

 

そして、ユリカ達のいる場所へと到着した瑠璃、アキト、ムネタケ

そこでは、ユリカが嗚咽していて、ジュンが困っていて・・

しばらく様子をうかがった後、背後からユリカに語りかける瑠璃

「ユリカさん、後でちゃんと聞かせてもらえませんか、その話」

「瑠璃・・さん・・」

背後からの瑠璃の声に振りかえるユリカ

 

そして・・・

「あっ!!」

ユリカは、瑠璃達の姿をみて、唐突に正気に戻る

 

「ああっ、ぱれちゃた〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!(汗)」

 

そして、自分が何を言ってしまったのか気がつき叫ぶのであった

 


 


「えっ、え〜〜と、聞かなかった事にしてくれるって言うのは・・・駄目かな?(汗)」

困り笑顔で、瑠璃たちに頼んでみるユリカ

「え〜と、どうしましょう(汗)」

・・・・・・・・・・・ユリカさんが大声ださなければ、私とアキトさんで誤魔化しておく事も出来たのかも知れませんが・・手遅れかも、皆さん興味津々って顔してるじゃないですか(汗)・・・

こちらも困っている瑠璃

「ねっ、ねえ、ユキナちゃんって?、皆からも言ってよ、僕はその名前は聞いた事もないし、ユリカはきっとなにか誤解してるんだ(汗っ)」

なんとか、ユリカの誤解を解こうとしているジュン

しばらく、黙ってジュンの事を睨んでいたムネタケ

「あたしにも、その話詳しく聞かせてもらうわよ、艦長と副長がそんな状態じゃ、この後のナデシコの運営にもかかわるし」

等と今回は、提督らしい事を言う

アクアはにやりとしている

アキトはというと・・・

「・・・・(汗)」

なにか、嫌な事を思い出してしまったらしい

なにせ、『女難』に関しては、ジュンの大先輩である(苦笑)

瑠璃はどうやら、皆の関心はジュンの二股に集っているらしい事に気づく

・・・これなら、なんとか誤魔化せるかも・・

と内心思った途端

「ごめんねジュン君、ジュン君がユキナちゃんの名前知ってる訳なんてないもんね」

とすまなそうに謝るユリカ

・・・ユリカさん、なんで余計な事言っちゃうんですかっ・・・・・ただの、『アオイさんの二股って誤解した』って誤魔化しておく方がよっぽど話は簡単だったのに(汗)・・

更に困ってしまう瑠璃

「皆さんごめんなさい、ジュン君は二股とかするような人じゃないです、信じてあげてください」

が、『ユキナ』というのは当のユリカが言い始めたことで、瑠璃、アキト以外には何がなんだかわからない

というより、ユリカがジュンを庇おうとしているようにすら見えるのだ

ムネタケやアクアの冷たい視線に、ジュンの肩身はますます狭くなっていく・・・・

 


 


アキト達の帰りを心配そうに待っているルリ

やがて、帰ってきたアキト達だが、どうも様子がおかしい

何がなんだか解らないという顔のジュンと怒っているムネタケ、すまなそうな顔のユリカ

「まったく、二股なんて最低よっ、解ってるの副長?」

「だから、誤解なんです、ジュン君の事信じてあげてください、提督(汗っ)」

「ふんっ、あなたがこの男の事を庇っているのはみえみえよ、まったくこんな最低男の何処がいいのやら」

等とぐちぐちと言いつつ、3人はナデシコへと戻っていく

 

「あの・・どうしたんです?、何かあったんですか?二股って?」

アキト達に尋ねてみるルリ

「いっ、いや、大人の事情だから、ルリちゃんは知らないほうが(汗)」

「そっ、そうですね(汗)」

・・・何かを隠している・・・

ルリは二人の態度から、なんとなくそう感じたのだが、これ以上の追求は止めておく事にする

艦長と副長の仲の事は気になるが

「二股・・・・最低ですね、それが本当なら」

ぼそりと呟くルリ

「いや、ジュンはそんな事はしてないよ、信用してあげなきゃ」

とジュンを庇うアキト

「でも、」

「理由は言えないけど、私達はアオイさんの潔白を知っているから、信じてあげて」

と瑠璃に言われ

「はあ、お二人がそうおっしゃるなら・・」

と怪訝そうな顔で、納得出来ない事を納得することにするルリ

 

 

「二股・・か・・・」

と小声で呟き

そして、ふと想像してしまう

・・・・・もし、アキトさんが、私と瑠璃さんを・・・・

・・・・・だっ、駄目です、何を考えているんですか、私は(赤)・・・・・

真っ赤になるルリ

頭をぶるぶると振り、想像を振り払う

幸いにも、その時は、アキトも瑠璃もジュン達の後ろ姿を見ていて、気づかれはしなかった

 

そして、アクアは

「ナデシコ・・ミスマルユリカ・・アオイジュン・・・・・・・・・・・・・・・面白そうな戦艦ね(にやり)」

なにやら、自宅で良からぬ事を企んでいるようだ(汗)

 


 


その後、悩みましたけど・・・・

でも、話したんです、ユリカさんとアオイさんに

ここまで来たら、下手に隠すよりも全て包み隠さずに言って、協力を求めた方が良いような気がしたからです

アオイさんは驚いていました

ユリカさんにも色々と聞いてみました

ユリカさんは・・・・・やっぱり私達と同じように・・

でも、何故こんな事になったのかは、解らないそうです

そして

 

 

 

「まっ、まあなんだ、自分の気持ちははっきりとさせておかないと、後で困るぞ、うん」

アキトが心底実感のこもった言葉をジュンにかける

・・・・アキトさん、あなたがそれを言いますか(苦笑)・・・・

瑠璃は少し呆れつつも、アキトの話を黙って聞いている

もっとも、瑠璃以外の相手には、気持ちをはっきりとさせる事が出来なかったアキトが、瑠璃にだけは気持ちをはっきりとさせていればこそ、瑠璃は『天河瑠璃』となったのだが、そこに至るまでの経緯では、随分とやきもきさせられたのだ

・・・・アキトは瑠璃以上にやきもきしていたのだが

『愛』というのも厄介な感情で、『愛する人の幸せ』を望みつつも、『自分以外に愛する人を幸せにされる』事が最も嫌だったりすることも有るからややこしい

アキトの言葉にジュンが答える前に真剣な表情で答えるユリカ

「ごめんなさい、ジュン君・・ジュン君の気持ちは解ってる・・解ってるけど・・・今は応える事は出来ない・・今は」

 

元の世界のジュンは、何時も自分よりもユリカの幸せを優先していた、たとえ、自分が辛い思いをしたとしても

そして、そんな姿をみて最初はからかっているだけだったユキナはジュンに惹かれていった

アキトがはっきりと瑠璃を選んだ時も、自分を慰めてくれたジュン

だが、そのジュンの事を自分はちっとも見てはいなかった

・・・・・・・・・・・・私なんかジュン君には相応しくない・・・・・・・・

そう思い知らされてしまったのは・・・・

「今、ジュン君の気持ちに答えたりしたら抜け駆けになっちゃう、だからジュン君がユキナちゃんと会うまでは・・・・」 

それが、ユリカなりのせめてものけじめ・・・・・・

 

第8話

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後書き

さて、そろそろユキナの登場かな、それともまだかな♪

 




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