アクア・クリムゾン

なんでも、悲劇のヒロインに憧れていたとか

・・・・悲劇のヒロインなんて、見てる分には面白くても当事者はたまったものじゃないんですが

 

アキトさん、私がまだ恋人じゃなくて、妹だった頃にこんな事を話してくれました

『アクアは俺にとってのアクアマリンなんだ』

そんな事言っちゃったけど、今にして思えば、なんでそんな風に思ったのか全然解らないって

今回、私もアクア・クリムゾンに会う事になるんですが


瑠璃とルリ

第五話


テニシアン島に落ちた新型チューリップの調査の為、現地に向かうナデシコ

 

そんな中久しぶりに、ゲキガンガーを見ているアキト

『第33話 聖少女アクアマリンの微笑み』

の回なのだが

 

「アキトさん、以前は、このアニメにはまっていたんですね」

何気なく呟く瑠璃

「うん、今はそうでもないけどね、精々昔好きだったアニメぐらいに戻ってる」

 

今度の任務はテニシアン島に落ちたチューリップの調査

未来の事を知っているアキト達としては、今回もどう動くべきかを決めかねていた

 

「アキトさん、以前言ってましたよね、アクアさんの事」

「・・・・あんまり、思い出したくないけど、テニシアン島辺りの事は」

「ユリカさん達に殺人料理は食べさせられるわ、痺れ薬入りの料理は食べさせられるわ・・・ですか?」

「・・・よく生きてたもんだよなあ、俺(汗)」

本気で、真っ青になりながら思い出しているアキト

「考えてみれば、アオイさんって実は相当の大物なんじゃ?」

「そうだよなあ、あの、ユリカの料理の味見を自分から引きうけるんだから」

 

前回の料理の後も、アキト達はユリカに料理を教えたのだが、ユリカの料理の出来には相当なムラがある

自分達が料理を教えている時は良い

だが、問題はユリカ一人で料理を作る時

ユリカ一人で作る時は常に駄目かと言えば、そんな事は無く、まあまあの料理を作る時もある

・・・・・・・・・・・・・・らしい、ジュンの話によると

ただ・・・相当の確率で、『殺人料理』が混じる

その事を承知の上で、ユリカの手料理の味見をしているのだ

・・・・・・・ジュンって本当に、無茶苦茶大物かもしれない(汗)

 

なんて事を考えつつ、ふと思うアキト

 

「そういえば瑠璃ってアニメとか好きじゃなかったんじゃ?なんで、自分から見たいなんて言い出したの?」

「聞いてみたかったんです、私ってアキトさんにとってのアクアマリンになれてるのかなって、それで」

「瑠璃はアクアマリンじゃないよ」

「・・・そうなんですか?」

すこしがっくりしてしまう瑠璃だが

「だって、俺にとってのアクアマリンって事は、所詮はアクアマリンの代わりって事だろ、瑠璃は瑠璃で代わりなんて居ないんだから」


 


ルリ、ストップ

「どうしたの?オモイカネ」

何時ものように、アキト達の部屋に向かうルリだったが、オモイカネに止められる

今は行かない方がいい

「どうして?」

テンカワアキトと瑠璃さんが良い雰囲気

「えっ(赤)」

どうするルリ?

羨ましさとわずかな胸の痛み・・・・

ほんの少しだけ、二人の仲を邪魔したい気持ちも浮かぶが、ぶるぶると頭を振って、その気持ちを追い払う

「・・お邪魔しちゃ悪いですね」

ルリは、仲の良い二人が好きなのだ

寂しさもあるが

 


 


時間は経過し真夜中のブリッジ

ムネタケサダアキが、キーキーわめいている

 

・・・・交代まだかなあ・・・

既に心ここにあらずで相手にする気にもなれず、黙って操舵席についてるミナト

ブリッジのドアが開き、交代のエリナが入ってくる

「お疲れ様」

「じゃあ、後はお願い」

ミナトはムネタケには目もくれずに、そのまま出て行こうとする

それが、余計にムネタケの癪に障り、わめき散らすが

ふと、落ちている写真にミナトが気づく

「あれっ、この写真?」

そこに写っている人物は

ムネタケサダアキと、その妻子の写真らしい

 

 

「提督、この写真は提督のものですか?」

「あっ、そっ、そうよ、返しなさいっ」

慌てて、ひったくるように写真を奪うムネタケ

その態度に少々ムッとしながらも、からかってやろうと思い尋ねてみるミナト

「・・提督って意外と愛妻家なんですか、ご家族の写真を肌身離さずもってるなんて」

「家族を大切にするなんて、当たり前よっ」

即答するムネタケ

そこに嘘偽りは見えない

からかうつもりが、これではからかい難い

それに、少しはムネタケを見なおしても良いのかとも思うミナト

そんな中、今度はユリカがブリッジインしてくる

「あっ、提督、少し相談があるんですが」

そして、ムネタケと相談を初めて・・・・

 


 


そして、朝

 

「では、今回の作戦の概要を説明します、この説明は艦長の役目なんで、イネスさんの出番はありませんよ」

先に釘をさしておくユリカととっても残念そうなイネス

 

「テニシアン島・・・サンゴ礁・・青い海・・砂浜・・・・」

ユリカはまるで、作戦と関係の無さそうな事を言い出す

「ですが、近くには敵の新型チューリップ、これでは何時動き出すかわからないチューリップの為に満足に楽しむことが出来ません」

クルー達も、なんとなくユリカの言いたい事が解ってくる

「とっとと、チューリップを撃破して、後顧の憂いを絶っちゃって」

ユリカの次の言葉に期待して、ぐっと拳を握り締めるクルー達

「折角の、テニシアン島を目いっぱい楽しみましょうっ!!」

「おおっ」

やたらと盛り上がりまくるクルー達

「・・・馬鹿・・」

少々呆れながらも、まんざらでもなさそうなルリ

「では、提督からも一言」

「あたしだって、クルーがやる事やってれば、うるさい事言ったりしないわよ」

ユリカに促され、不機嫌そうではあるが、中々話せる所を見せるムネタケ

何があったのかは知らないが

 


 


仕事が終われば、テニシアン島の海が待っている♪

となれば、クルー達の気合の入り方も違う

空戦エステで、新型チューリップの偵察を敢行し・・・

「なんだ、ありゃ?」

リョーコが、何かを発見する

「バリア?、でも」

今度は、アカツキ

敵の兵器にバリアがある事自体は、別に良い

現に、木星トカゲには、「ディストーションフィールド」と言うバリアの一種を持ってる

それだけの事なら、「新型チューリップに新型バリア?」ですむ話だろう

だが、

「・・・・あれって、クリムゾン社製のバリア発生機だぞ、なんで?」

 


 


「クリムゾン社製のバリア?」

アカツキのエステからの通信を聞いているユリカ

「ああ、理由は解らないが、クリムゾンと軍の方に確認してもらえないか、チューリップだけなら破壊すりゃおしまいでいいんだが」

「解りました、提督、今回の任務でクリムゾンについて何か聞いてませんか?」

「あたしは、クリムゾンの事なんて全然聞いてないわよ」

本当に知らなそうなムネタケ

「では、メグミさん、軍とクリムゾン関係の方に連絡とって確認して貰えますか」

「はい」

 

「少し、調べて見たんですけど、この島は最近、個人のオーナーの物になってますね、欧州圏最大のバリアメーカー、クリムゾン社の」

ルリが、調べて見た事を報告する

 

「こんな場合、考えられそうな事は・・・・」

 

1、危険を避ける為チューリップが動き出さないように、バリアで捕獲している

2、クリムゾンは、自社でチューリップを鹵獲、研究し何かをやろうとしている

 

辺りが考えられますが、どう思います艦長?

 

「でも、1の場合普通ならすぐに軍に報告する、2の場合としても新型チューリップなんて物が地球に落ちてくれば、軍の調査が来る事なんてすぐに解るよね、ルリちゃん」

「ええ、私もその辺りが解らないです、1で単に軍への報告が遅れているだけなら話は簡単なんですが」

 

・・・・・・ルリちゃんも優秀だけど、まさか、アクアクリムゾン一個人の我侭の為なんて、普通想像出来ないか・・・

 

実は、真相を既に知っているユリカは内心そんな事を思いつつ

「ともかく、軍やクリムゾンからの返答が来るまでは、各人待機しておいて下さい」

 


 


今回のチューリップのバリアについては、クリムゾン本社は関知していない

そんな返答が届く

「おそらく、テニシアン島に居るアクア・クリムゾン一人の判断」

「軍への連絡が遅れた理由は、クリムゾン社が絡んでいればすぐにでも軍に連絡を入れただろうが、あくまでアクア個人の判断の為、そこまで思いつく事が出来なかったのではないかと言う事です、艦長」

「解りましたメグミさん」

ユリカは少し考えて

「さてと、では・・・・まずアクアさんの安全の確保か、さっき見せて貰ったエステからの映像じゃ居住地域とチューリップはそんなにに離れていないし」

「もし、戦闘になれば相当の高確率で巻き込まれます」

ルリが後を続ける

ユリカは、新型チューリップ周辺で監視にあたっているアカツキに連絡を入れる

「では、アカツキさん、まずアクアさんとの交渉をお願いします」

「僕?」

「ええ、女性の扱いなら、一番得意そうですから」

悪気のある訳では無いユリカだが、あちこちからくすくすと笑い声が漏れる

「場合によっては、ナデシコで保護すると伝えて下さい、この島はそんなに大きな島じゃないし、戦線が拡大するような事があれば一番安全な場所はナデシコの中って事も考えられますから」

「了解」

「アクア・クリムゾンを艦内で保護するのは賛成出来ないわね」

いきなり現れたイネス

「どうしてですか?」

「この間社交界にデビューしたアクア・クリムゾン、でも、社交場での料理に痺れ薬を入れたり、自分の為だけに少女漫画を描かせる為に漫画家の誘拐未遂を企てたり・・・クリムゾングループにとっては、唯一の汚点とも言われている、そんな相手をナデシコで保護したりしたら、余計なトラブルを招きかねないわよ」

「はあ、アクアさんってそういう人なんですか」

知らない振りをするユリカ

「でも、だからと言って、人命を余計な危険に晒す訳にはいきませんから、それに、ナデシコ艦内で保護した後、きちんと監視しておけば良い事ですし」

「まっ、艦長がそう言うなら止めないわよ、でも、十分に気をつけてね」

「はい」


 


アカツキさんが、どんな説得をしたかまでは解りませんが、今、アクアさんはナデシコの食堂に居ます

 

アクア・クリムゾンをそれとなく監視してください

 

それが、私達、食堂勤務のクルー達に頼まれた仕事でした

独房に放り込んでおくって意見も出たそうですが、欧州圏最大のバリアメーカーの令嬢をそんな扱いをしたとなっては、後々面倒な事になるかもしれないと言う事で却下されたそうです

今の所は、特に問題も無く過ぎています

ただ、油断の出来る相手では無い事は、私とアキトさんはよく知っていますから

ちなみに、今はアキトさん達エステのパイロットは、新型チューリップ撃破の為に出撃しあっさり仕事を終え、帰艦の途中です

今回のチューリップも、前回と同じ新型のバッタの運搬用でした

アキトさん達が戻って来たらアクアさんを返し、後はテニシアン島の海を楽しむだけ・・・

となってくれれば良いんですが

 

 

 

第6話

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後書き

いやね、なんか本編での、

『チューリップをそのままにして、テニシアン島で遊ぶ』

事にずっと違和感を感じてたもので

この話では、『先にチューリップを片づけてからテニシアン島で遊ぶ』

ように順番変えてみました

 

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