思わぬ展開でユリカさんに料理を教える事になってしまいました
料理を作れば、「味見」もしなければいけない訳で・・・
今回のユリカさんの料理・・・見た目だけはマトモそうなんですが(汗)
瑠璃とルリ
第四話
「不味い」
「不味いです、それもすっごく」
「香辛料の使いすぎ、質もよくない、なんでも舌を刺激すれば良いってもんじゃない」
「あっ、あはは、ルリちゃん厳しい(汗)」
瑠璃とアキトが躊躇している事に気が付かず、真っ先にユリカの料理を味見したルリの評価
だが
・・・・おかしい、俺の知っているユリカの料理の破壊力はそんなシロモノじゃない、大丈夫なのかルリちゃんは(汗)・・・
内心、そんな事を考えているアキト
なにせ、アキトは『直接の被害』を受けた事がある
瑠璃はといえば、直接の被害を受けた事が無いせよ、元の世界でユリカの手料理による惨状を見てきている為、やはり、アキトと同意見になる
「でも、ルリちゃんみたいに正直に言ってもらえると有り難いな、ありがとう」
正直にルリにお礼を言うユリカ
「いえ、艦長、正直な感想が欲しいって言ってましたし」
ルリがそんな評価を下した事に違和感を感じながら、恐る恐るユリカの料理に手を伸ばす瑠璃
アキトは慌てて止めようとするが、ユリカの料理は既に瑠璃の口の中へ
「・・・えっ」
「どうしたの?」
心底心配そうな顔をしながら尋ねるアキト
「いえ、不味い事は不味いんですけど、『普通に不味い』です」
「えっ、嘘っ」
今度はアキトが恐る恐る
「ホントだ、普通に不味い・・・・」
「あの、お二人とも何を?、『普通に不味い』ってどういう?」
怪訝そうな顔をしたルリ
「あっ、いや、なんでもないんだ、こっちの事だから(汗)」
「う〜ん、やっぱりユリカの料理は不味いのか・・・」
難しい顔で考えこんでいるユリカ
「でも、艦長はどうして料理を教えて貰いたいなんて思ったんです?」
ルリが尋ねる
「んっ、ジュン君がね、ユリカの補佐で何時も頑張ってくれてるから、せめてお礼ぐらいしたいなって」
「はあ、それで艦長の手料理でもと」
「うん、でも、まだまだだなあ、ルリちゃん、アキト、それに琉璃さん、これからも不味い時には素直に不味いって言ってね」
「はい、その方が艦長の為になるみたいですから」
と答えるルリ
『相手の事を思えばこそ、厳しい事も言う』
今のルリは、何時の間にかそれが出来るようになっていた
「そっ、そうだな(汗)」
「そうですね(汗)」
そして、あまりに意外な結果に、答えに窮するアキトと琉璃
「それと、アキトさんも瑠璃さんも、私の料理が不味いと思ったら素直に言ってください、お願いします」
今度は自分の料理を差し出し、ぺこりと頭を下げ、二人にお願いするルリ
ルリは、二人が羨ましかった
アキトと瑠璃は、お互いの料理に付いては喧嘩とまではいかないにしろ、厳しい事を言い合う事がある
二人が元の世界に居た頃、最初、瑠璃の料理に付いては、つい甘い評価をしていたアキト
最初は、アキトの優しさが嬉しかった
だが、瑠璃自身が、何時の間にか、それを拒むようになっていった
『私は、『コックの』アキトさんと共に歩みたい、だから、ちゃんと悪い所は悪いと言って欲しい』
それでも、つい瑠璃の料理に甘い評価を下してしまうアキトに瑠璃自身が怒った事さえある
・・・私は信用されていない・・・
むしろ、その事が悲しく感じられたから
まあ、色々と紆余曲折があった上、結局二人は元の鞘に収まる
『だって、瑠璃ちゃんだって俺の料理に甘いし・・・俺はまだまだ半人前のコックなんだから素直に言って欲しいんだ、半人前のままじゃ君を養っていけないから・・・』
アキトのその言葉で
世の中には生活苦から別れる夫婦だっているのだ
二人ともそんな事にはなりたくなかった
だからこそ、それ以降、アキトは瑠璃の料理にも厳しくなる
そして、瑠璃もアキトの料理に厳しく
ルリはそんな二人の昔の事を知っている訳ではない
それでも、二人にとって御互いの料理に厳しいのは、むしろ愛情ゆえ
変にベタベタと甘いのではなく、お互いの為を想えばこそ厳しい本音を言い合える関係である事が解かるからこそ、ルリには二人が余計に羨ましい
『優しくしてもらっているだけ』の自分と瑠璃との差を感じてしまうのだ
そして、二人は艦長の料理に対しても、「不味い」と言った
艦長は『一人前の女性』として扱われていればこそ、『不味いものは不味い』と言って貰えたのではないか?
そんな気がしてしまう
だから、自分の料理も、不味い時には素直に不味いと言って欲しい
もっとも、アキトと瑠璃はルリのそんな気持ちにまで気が付いている訳ではないし、ユリカの料理に対しての『不味い』と言ったのは全く別の理由だったりするが(苦笑)
ただまあ、なんだかんだと料理が好きなアキトと瑠璃
やはり、『向上心』がある相手に料理を教える事は楽しい
この後、ルリだけではなく、ユリカも共にアキト達に料理を教えてもらう姿が時々見受けられるようになる
そして、『ユリカの料理』の事で、『強力な悪印象』を持っていた二人が思った事がある
・・・『あの』ユリカ(さん)が、不味いとは言え、『食べられる』料理を作るなんて、やっぱりここって平行世界?
余談ですがその日の夜の出来事
「瑠璃、どうしたのそんなに不安そうな顔して?」
「いえ、少し嫌な事を思い出してしまって」
「嫌な事?」
「はい、ピースランドでの事・・・」
「瑠璃・・まだあの時の事・・・」
悲しそうな顔になるアキト
「あっ、違うんです、私の生い立ちとか、そんな物もうどうでもいいんです、そんな事じゃなくて」
「ユリカさんの料理を試食した時のあの子の台詞・・・あの時の私と一緒、でも、あの時の私は・・・自分の事しか考えてなくて・・・」
「アキトさん、私の為に酷い目に・・・・・それで・・・私って随分アキトさんを酷い目に遭わせてる女なのかもって思ったらなんだか・・・」
しばらくの沈黙の後
「そんな事気にしてたの?それで?」
「もしかしてそれで俺が怒ってるとか瑠璃の事嫌いになるとか思ってる?、信用ないな俺は」
悲しそうなアキト
「いっ、いえ、そんなつも、えっ(赤)」
瑠璃の台詞の途中で、アキトは瑠璃を抱しめ耳元で優しくささやく
「俺の事を信じてくれないような悪い子には、『おしおき』が必要だよね」
「・・・・・・・・・・・・・・・は・・い(赤)」
瑠璃は、そのまま身体から力を抜き・・・・・・・これ以上は、読者の怨みを買うだろうなと確信しつつ、書きませんよ(にやり)
・・・・・・そしてそのしばらく後のある日の事
「アキトさん、やっぱり、過去なんでしょうかここは?(汗)」
「今まで教えた事はなんだったんだ・・・・(汗)」
「いや〜〜、ジュン君っ、ジュン君っ、死なないでっ(涙)!!」
ユリカの手料理を食べ、泡を吹いて倒れてしまってタンカで運ばれていくジュンに泣きながらすがりつくユリカを見ながら二人
結局、二人はここが過去なのか平行世界なのか、ますます解からなくなってしまったとさ(苦笑)
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後書き
とっても珍しいかもしれない、『普通に不味い』料理を作るユリカ
でも、『殺人料理』もやっぱり作ったりして(笑)
それと、前回の事で、ユリカがルリ×アキトに介入してくると思った人
実は、ユリカの恋敵は、瑠璃じゃなくてユキナだったり
いや、ユキナの出番はまだ先だけどね(笑)
ユリカって、一度振られた方が良い女になると思ってるんだよね、私
でも、今の時点じゃユリカのジュンに対する気持ちは
『大好きだけど愛してる訳じゃ無い最高のお友達』
ぐらいだけど
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