最近、悩んでる事があります

えっ、胸のこと?

違います、たとえ世界中の人にどう言われようとも、アキトさんだけが好きだと言ってもらえれば良いんですから(赤)

私の身も心もアキトさんだけのモノですし(赤)

そうじゃ、無くてですね

私とアキトさんは、いわゆる『逆行』と言うモノをしてきました

本編のナデシコと違い、私とアキトさんのパッピーエンドで終った世界からです

でも・・・・私は、18歳の身体を伴った逆行だったのに、アキトさんは何故か『精神だけの逆行』をしてきてしまったんです

それだけなら良いのですが、こっちの世界には・・・・

過去の私(11歳)が平行して存在する事になってしまったんです

そして・・・・・・

最近、11歳の私がやたらとアキトさんに懐いています

わかるんです、11歳の『私』の気持ちも

やっぱり、『私』ですから

それに、私がアキトさんに『奪って貰った』のは・・・いえ、なんでも有りません(赤)


正直、少し・・いえ、かなり嫉妬の気持ちもあるんです・・でも

一寸想像してみたんです、こっちの世界の『私』がアキトさん以外と・・・

嫌なんです、なにか嫌なんです、やっぱり『私』ですから

アキトさんも、『こっちの世界のルリちゃんと言えど、ルリちゃんがおれ以外とは何か嫌だ』

って、言ってました

でも

『だからと言って、二股は好きじゃ無いし・・俺が愛しているのは瑠璃だけだから』

とも言ってくれました(赤)

私達は、どうすれば良いんでしょう?

 

 


瑠璃とルリ

第一話


「ご馳走様でした」

食事を終え、アキトに挨拶をするルリ

「どうだったかな?」

おそるおそる尋ねるアキト

「美味しかったです」

ほんの少し優しい表情でルリが答える

「そっか、よかった」

嬉しそうなアキト

そんな様子を複雑な表情で厨房から見ているルリ

話がややこしくなるが、厨房から覗いているのは、逆行してきた18歳のルリ

食事を終えたのは、この世界の11歳のルリである

以後ヤヤコシイので、11歳のルリはルリ

18歳のルリは瑠璃とします

作者の都合で(笑)

 

自分達にも理由がよくわからないが、何故か逆行してきてしまった2人

 

最初に考えた事は、『なんとかして元の世界に戻る』事だった

 

所が、CCを手に入れなんとか帰ろうとしたのだが、どうしても元の世界に帰れない

 

困ってしまう二人

 

この世界が平行世界なのか、過去なのかは解からないが・・・

ともかく、下手な行動は歴史を狂わし、自分達に災難を振りかからせる事になりかねない

『歴史の修正力』なんてモノが本当に有るかどうかは解からないが、『無い』と言い切る事も出来ない

仕方なく、『出来るだけ歴史に干渉しない』方向でナデシコに乗る事にした二人

乗らない事も考えたのだが、それはそれで歴史を狂わすかもしれない

だが、『未来を知っている』自分達が動きすぎれば、それも歴史を狂わせかねない

そこで、アキトと瑠璃はナデシコの戦いの結果には影響の出難い『コック』としてナデシコに乗りこむ事にしたのだ

瑠璃の料理の腕も、未来ではアキトの店の手伝いをして行く内に相当なモノへとなっていた

そして、もう一つナデシコに乗らざる得なかった理由が有る

TVの第一話を良く思い出して欲しい

ウリバタケがヤマダジロウに呼びかけたシーン

「お〜い、パイロットは3日後に・・」

そう、本来ならナデシコにはパイロットは誰一人・・・

ヤマダジロウことダイゴウジ・ガイすら本当は居ない筈だったのだ

こちら側の世界を調べた結果は、この世界にはアキトは一人しか居ないが瑠璃とルリが平行して存在している

ここが過去だとすれば、ルリに何かがあれば瑠璃にも何があるか解からない

アキトとすれば、瑠璃をそしてルリを守る為にナデシコに乗らざる得ない

もっとも、ルリの事が無かったとしてもナデシコの他のクルー達を見捨てる事の出来るアキトではない

そういう所が瑠璃がアキトに惹かれた所・・・そして、もっとも苦労させられる所なのでもあるのだが

最初、瑠璃をナデシコに乗せたくは無かったアキト

『戦艦』であるナデシコに大切な瑠璃を乗船させる事は心配

元の歴史では、瑠璃がナデシコに乗っていた史実など無い

等々の理由で

しかし、

「歴史の変更って事なら、未来を知っているアキトさんが居る事自体、私が平行して存在している事自体が既に大きな変更です、私がナデシコに乗る事と乗らない事のどっちが歴史の大きな変更になるかなんてわかりません」

瑠璃にそう言われて悩んでしまうアキト

結局、2人は一緒にナデシコに乗る事になる

もっとも、なんだかんだと理屈を付けても、最大の理由は2人とも『一緒に居たかった』からなのだが

 


 


ナデシコに乗船して最初にするべき事・・

それは、最初にユリカとの決着を付けておく事

未来の世界では自分の優柔不断さのせいで、ユリカを悲しませてしまった事がアキトの胸に重くのしかかる

あの頃は、瑠璃ではなくメグミがユリカの恋敵だったが

自分がはっきりとしないせいで、ユリカは多くの失敗を犯してしまった

だから今回は・・・・

 

自分達が逆行してきたせいなのか、少し歴史が変わっているらしい

ユリカは、木星トカゲの襲撃より数日前にナデシコに着任して色々と準備をしていた

 

食堂に下見に来ていたユリカを見かけると、アキトの方から話かける

本当は知ってるのだが、知らない振りをして

「え〜と、もしかしてユリカ?」

「えっ」

食堂のコックに自分の名を呼ばれ驚くユリカ

だが、アキトの顔をみている内に、アレ?っという顔をする

「あの、不躾な質問で申し訳ありませんが、あなた何処かでお会いした事がありますか?」

「火星で隣に居た、テンカワ・アキトだけど」

「えっ、アキトっ」

急に表情が輝くユリカ

「そっか、アキトか〜〜、久しぶりだね、アキトは火星で死んだって聞かされて・・・・・良かった、アキトが生きていてくれて」

今度は、嬉しさに涙ぐみはじめる

思わぬ反応に内心驚くアキト

「それで、アキトはなんでナデシコに乗ったの?」

「あっ、ああ、コックとして雇われたんだ、火星から脱出してきた後地球で結婚して、」

『結婚』と言う言葉を聞けばユリカはどう出るか解からない

そう思い、緊張する

だが

「そっか、アキト結婚したんだ、それで相手は誰?」

またも拍子抜けさせられるアキト

「あっ、ああ、ここの食堂で一緒に勤めてる瑠璃って言う子」

「はじめまして、天河瑠璃です」

何時の間にかアキトの後ろに来ていた瑠璃が、ユリカに向かってぺこりとお辞儀をする

「はじめまして、ナデシコ艦長のミスマルユリカです」

ユリカも礼儀正しく返す

なんだか、拍子抜けしてしまうアキト

本当にユリカなのか?

そんな疑問すら湧き上がってくる

その後、瑠璃とユリカで色々と話して

そして、

「アキト、瑠璃さんの事大切にしてあげないと駄目だよ」

屈託の無い笑顔で言われる

「えっ、いっいや(赤)」

以前の自分の事を『王子様扱い』していた時よりも、何倍も魅力的に見えるユリカの笑顔

「じゃあ、ユリカはまだやる事があるから」

そのまま、食堂から去っていくユリカ

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

なんとも言えない気持ちでユリカを見送るアキト

「いてっ」

何時の間にかアキトの隣に来ていた瑠璃に二の腕をつねられはっとするアキト

「やっぱり、ナデシコに乗って正解でした」

少し怒った口調で瑠璃が話かけて来る

「あっ、あの瑠璃(汗)」

「アキトさん、ユリカさんの事「良いな」とか思いませんでした?」

「いっ、いや、そんな事は」

図星を刺され焦るアキト

「正直に言ってくれても良いですよ、私もそう思いましたから」

「えっ」

「もし、元の世界のユリカさんがあのユリカさんだったら、私に勝ち目なんてありませんでしたね」

 

ルリは以前アキトに聞いた事がある

アキトさんは別にユリカさんを嫌っていたようには見えなかったのに、どうしてユリカさんを選ばなかったんですか?と

その時のアキトの答えはこうだった

「ユリカは俺の事『王子様』と思ってるから・・・『王子様』になんてなれないよ、俺は・・」

そう、寂しそうに答えたアキト

その時、胸が締めつけられるような想いをした事を覚えている

アキトさんは、本当はユリカさんの事好きだったんだな・・・と

好きだからこそ、選べない事もあるんだと

 

その後、木星トカゲの襲撃からアキトが囮になってナデシコを守った時も、『王子様』ではなく

「アキト、ナデシコを守ってくれてありがとう」

だったユリカ

そして、その他の事はほぼ史実通りの展開を見せ

それでも、『アキトを追わない』ユリカは、火星の生き残りの人達をなんとか助けだし・・・

 

随分とユリカの事を見直した、アキトと瑠璃

 

が・・・・・・・・

 

瑠璃の思わぬ所で、思わぬ恋敵が育っていたのだった・・

 

ホシノルリという・・・

 

 


 


「生意気で嫌な子・・・」

それが、瑠璃がルリを最初に見た時の印象

自分の事なのにと思うかもしれないが、むしろ、『自分だからこそ』そう思う

「アキトさん・・・なんで私になんか優しくしてくれたんだろう・・・」

今の自分からみれば、つくづくそう思える

アキトさんは、本当に優しかった

酷い事を言った事なんて何回もある

それなのに、何時だってアキトさんは怒る訳でもなく、私に優しくしてくれた

オモイカネを助けてくれた時だって、アキトさんに頼むのは勇気が必要だった

今まで、散々馬鹿扱いしてきたアキトさんだったから

それでも、アキトさんは私を、そしてオモイカネを助けてくれた

 

あの頃のままの自分

ルリのアキトへの態度を見ていると、心配になる

「あの子・・アキトさんに嫌われないかな・・」

瑠璃にとってルリは、『過去の自分』

自分がアキトに嫌われると思うと、心が苦しくなる・・・

そして、それ以上に感じる事

ルリがアキトに言う言葉は、瑠璃がアキトに言う言葉に感じてしまう

昔の私は、何度、アキトさんを拒絶してしまっただろう

何度、アキトさんに酷い事を言ってしまっただろう

 


 


 

「ごめんなさい、アキトさん」

瑠璃とアキトの部屋で、2人きりの時、瑠璃から話を切りだす

本当にすまなそうな瑠璃

「えっ」

謝られる心当たりなど全くないアキトは不思議に思ってしまう

「え〜と、俺謝られる覚えがないんだけど?」

「あの子の事見てたら気が付いたんです、昔の私ってアキトさんに随分酷い事言ってたんだなって・・・・・」

「いっ、いや、別にそんな事気にしてないから、俺が馬鹿だったのは解かってるし、本当の事だし」

むしろ、アキトの方が瑠璃にすまなそうに返答をする

「・・・・なんで・・・アキトさんは私なんかに優しくしてくれたんですか?、」

瑠璃は思い切って聞いてみる

既に夫婦となっているとは言え、昔の自分=ルリを見ていると、自分がアキトに優しくしてもらえた理由がわからなくなってしまったのだ

「・・・・う〜ん、なんだか、ほっとけなかったからかなあ・・」

悩みつつ答えるアキト

「・・・同情・・・・・・・だったんですか?、私が可愛そうな子だからって・・・」

少し沈んでしまうルリ

同情なんかで選んで欲しくは無かった・・・そう言い切る事は出来ない

もし、アキトの気持ちが同情だったのだとしても、ルリはアキトを受け入れてしまっただろうと思う

でも

「違うよ、だって俺がルリちゃんの生い立ちを知ったの、結構後の事だったから」

「そう・・ですね・・」

ルリは思い出す

考えてみれば、ルリが自分の生い立ちを話す以前からアキトは優しかった

少しほっとして瑠璃は気付く

ようするにアキトが『優しい』のだと

昔の嫌な自分・・ホシノルリを嫌いにならないで居てくれた程

だからこそ、余計にこっちの世界のルリの事が

その優しいアキトに嫌われるかもしれない、『過去の自分』が気になる

「こっちの私は・・・アキトさんの事どう思っているんでしょう?なにか、嫌っているようにも見えるんですが」

「うっ(汗)」

アキトには、結構きつい一言

「なんか・・・ルリちゃんに嫌われてるかと思うと・・・・ショック大きいな・・・・」

瑠璃だけの世界なら、昔話として笑えるのかもしれないが、ここは瑠璃とルリが平行して存在している世界

なんだか、目の前の瑠璃にも嫌われるような錯覚に陥ってしまう

 

だが、今度はそのアキトの言葉にショックを受ける瑠璃

「ごめんなさい、私・・・・最初はアキトさんの事嫌いでした、でも・・・・」

今は、最愛の人

「それに、俺がルリちゃんに嫌われるって事は、瑠璃と一緒になれないかも知れないって事だしね、ここは過去なのか平行世界なのか解らないんだから」

「今度、私から聞いてみます、・・・あの子が・・・・昔の私がアキトさんを嫌ったままなんて、なんだか嫌ですし、アキトさんと一緒になれないなんて事になるのは絶対嫌ですから」

 

過去なのか平行世界なのか解からないこの世界

もし、元の世界に帰る事が出来たとしても、下手をすると歴史が変わっているかもしれない

その時、瑠璃とアキトが一緒に居られる保証は無い

だから、アキトには瑠璃からルリに言っておいてもらいたい事がある

 

それは・・・

 

「それじゃあ、・・瑠璃からルリちゃんには、絶対言っておいて欲しい事が有るんだ」

これ以上無いという程真剣な表情のアキト

「・・・・?」

「俺は絶対ロリコンじゃないっ!!」

 

・・・アキトも結構気にしていたらしい(苦笑)

 

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後書き

元は、『大塚りゅういちの隠れ家』内の、

1番星キャラクタートーナメント(8月12日〜19日)、特設支援用小説掲示板 

「苦悩」

に加筆したものです

試作品から連載にしてみました



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