・・・・・・・・・前回の私、テンカワさんに『好きです』って言ったも同然なんですね、良く考えてみれば(赤)

あの・・・

前回のラストの隊長さんの話からです・・・今回は


機動戦艦ナデシコ再構成

The fiance of a guinea pig

第21話


「奴らの習性、今まで生き残ってきたお前達なら解っている筈だな?」

拳銃を天井に向け自分達を取り囲む集団のリーダー格らしき男をにらみつける隊長

「やっ、やめろっ、馬鹿っ、そんな事をしたらっ!!」

慌てるコロニーの生き残りの一同

「木星トカゲ、この火星を襲った奴らは、銃・・火薬の反応には特に敏感だ、ここで撃てば奴らを招き寄せる事になる・・どうする?、俺達の話を聞くか?」

ここまで生き残ってきた彼らには、木星トカゲの恐ろしさが心に刻み付けられている、ならば、「説得」よりも「脅迫」の方が効果が高い筈

瞬時にそう判断した隊長だが、「賭け」である事には代わりは無い

「脅迫」は失敗すれば、説得に失敗した時以上の反発を招く

自分だけの問題ではなく、失敗すれば部下の命すら危険な状況で、内心をよぎる不安感は相当なもの

 

だが、こんな時にこそ何時も思い出す、戦死した上官の言葉がある

 

・・・・・・・・・指揮官って言うのは、『やせ我慢』が出来なきゃ駄目だ・・・・・


 


 

イネスは味方になるといってくれた

だが、ルリは、『ネルガルの社員』でもあるイネスを信じきる事が出来なかった

少し考えさせて欲しい・・・

それがルリの返答

そして、イネスもいなくなり、今はアキトと二人きり

気まずい・・・・

今のルリの心境を一言で表すとそうなる

「あの・・・テンカワさん、私」

そして、気まずさを感じているのはアキトも同じ

「なっ、なにかな?」

「いっ、いえ、なんでも・・・」

さっきからこの調子で、話が進まない

ルリもアキトもこのままじゃいけない事は解ってはいる

解ってはいるのだが

 

 

それでも、ルリは何とか意を決してアキトに尋ねる

ルリにはどうしても言っておかなければならない事がある

「・・・・私にも、チャンスくらいはありますよね・・・・今は無理でも・・」

アキトはどう答えて良いものかわからない

「・・・・・私の事、同情なんかで選ばないでください・・・・・でも、今すぐは無理でも・・私がもっと成長して・・・もし、テンカワさんが私の事を好きになってくれたら・・・その時は・・・・」

ルリは『今の』自分はアキトに好きになってもらう資格は無いと思っている

年齢の事もあるが、それ以上に「自分の心」が

だが、アキトは既に、『今の』ルリへの気持ちを自覚しつつある

アキトの沈黙に対し、話を続けるルリ

「・・・今の私がテンカワさんに相応しくないぐらい解ってます・・・もし艦長の事が本当に好きなら・・・選んであげてください艦長の事・・・艦長は・・ユリカさんはテンカワさんの為にあんなに頑張っているんですから・・・・私の事なんて気にせずに・・」

そう言われてしまうと、やはりユリカの事が気になるアキト

だが、悲しそうにユリカの話をするルリを見ていると、逆にルリへの愛おしさも増してきてしまう

おもわず、抱きしめてしまいそうな程に

だが、それはかえってルリを傷つけるような気がして踏みとどまるアキト

「今のルリ」に惹かれている自分自身への不信感もある

そして、今まで以上に真剣な表情になるルリ

「解ってます、テンカワさん優しいから、私が『ネルガルのモルモット』である内はユリカさんの事選べない・・だから」

「私は、ネルガルと戦います、私が『ネルガルのモルモット』のままならユリカさんを選べるような人じゃないから、だから、もう私をモルモット扱いなんてさせない」

ルリの心の中では、アキトが好きなのはユリカ・・・・

そして、アキトがユリカを選べない理由は・・アキトが自分を守ろうとしてくれているから

「ルリちゃん、何を言って・・・・」

「今度は私の番なんです、『ルリちゃんが本当に好きになった人と結ばれて欲しい』・・・テンカワさんは言ってくれました、その為に私なんかと婚約して・・・ロリコン扱いされて白い目で見られて・・・・・だから・・」

「今度は私から言わせてください、「テンカワさんも本当に好きになった人と結ばれて欲しい」って、それでやっと私はユリカさんと同じスタートラインに立てるから」

ルリはもう、アキトと最初に出会った頃の諦めることすら出来ない少女ではなくなっていた

 


 


「はあ・・・・・」

ブリッジでため息をついてるユリカと

「艦長どうしたんです?ため息なんてついて」

話しかけるメグミ

今ブリッジに居るのはユリカとメグミの二人きり

「やっぱり勝ち目は無いのかなって思って」

ユリカのその言葉に急に不安げな表情になるメグミ

「ナデシコは勝てないんですか?」

『地球まで戻る事が出来て初めて勝利』

ユリカ自身がそう言ったのだ

『勝てない』と言う事は、『地球に戻れない』と言う事

しまったと思い慌てるユリカ

ナデシコは『戦艦』で、自分はその艦長、『戦艦の艦長』がただ『勝ち目が無い』と言えばそれをどんな意味にとられるか

「あっ、メグミさんごめんなさいっ、『勝ち目が無い』のは、『ユリカがルリちゃんに勝てないかも』って事で、『ナデシコが勝てない』って事じゃないから(汗っ)」

慌てるユリカの態度をみて、思わず吹き出してしまうメグミ

「余裕ですね、艦長、こんな時にでもテンカワさんの事ですか」

「ううっ、こんなんじゃルリちゃんとアキトに艦長失格って言われちゃうよぉぉ・・・・」

ユリカにとって、『艦長失格=アキトに嫌われる』であってかなり深刻な悩みである

「艦長、人が良すぎるんですよ、ルリちゃんとテンカワさんの仲の後押しをしてる時すらあるし」

「だって、ルリちゃんだってユリカにチャンスをくれたんだから、それぐらいは出来ないと勝てない・・・・」

 

実際に、ユリカがアキトとルリの仲の後押しをする度に、ルリの心の中では

『自分よりユリカの方がアキトに相応しい』という思いが強くなっていった

そして、『自分もユリカのようにアキトに相応しくなりたい』という思いも

もし、ルリがモルモットのままなら、アキトがルリを守る為には選択肢は一つしかない

たとえ、アキトの気持ちがユリカに向いていたにしても、アキトはルリを選ばざるえない

だが、今のルリは自分がモルモットである事を否定しようとしている

アキトに相応しい自分でありたいが為に

そして、それはユリカにチャンスを産む事でもある

ユリカのこれまでのやせ我慢はけっして無駄ではなかったのだ

 

ユリカが本当にルリと勝負が出来るようになるのはこれから後の事となる

 

 


 


「あんたの所の隊長、無茶苦茶だな」

なんとか、説得?がこうをそうしコロニーの生き残りの人達と話しているパーティーのメンバー達

「滅茶苦茶に見えるけど、あれでも考えてる人なんです」

部下としては、ここで隊長の悪口は言えない

もっとも、他に方法があったのか?

疑心暗鬼に陥った相手に、普通の説得が通用するのか?

と言われれば、困るが

「ともかく、こうやって食料を別けてもらえたのはありがたいが」

そんな事を言ってくれる相手もいる

「でも、軍の携行食料なんて、不味いものと相場が決まってるんですけどね」

「食えるだけマシだ」

中には吐き捨てるような言葉を紡ぐ相手も居る

自分達が完全に信用されている訳では無い以上、こちらも警戒を怠る訳にも行かない

そして、だからこそ、少しでも打ち解ける為の努力もしなければならない

「うちの隊長の得意技って知ってます?」

こっそりと、コロニーの生き残りの人達に、しゃべりかける部下達

「得意技?」

少しは興味を持ってくれたようだ

「形式上、一見命令を守ってる振りをしつつ、ちゃっかりと命令違反をする事なんですよ、上司なんてのは、どうせ現場の苦労なんてわからんからって」

「・・・・・ぷっ」

思わず吹き出してしまう面々

「何処も一緒なんだな(苦笑)」

「ええ、何処も一緒です(笑)」

その事で、妙な親近感を感じたらしい

「でも、それだと上には結構睨まれたりしてるんじゃないのか?」

「してるでしょうね、なにせ形式上は命令を守ってますから文句も言えないし、でも、実質的には命令違反、しょっちゅう上官に苦虫を噛み潰したような顔をさせてます」

「しかし、そんなんで良く今まで隊長が勤まったな」

「隊長は、なんだかんだと言ってもそれなりの『結果』を出してきましたから・・・それに」

「それに?」

「あの人には、妙な『幸運』があるんです、自分達もそれで助かった事がありますから、どうです?隊長の幸運に賭けてみる気はありません?」

 

次の話へ

The fiance of〜トップ// b83yrの部屋// トップ2


後書き

いやまあ、b83yrのSSである以上は、最終的にはルリ×アキトなんですが

たとえ、最終的な結果が解っていても、そこまでの過程を楽しんでもらえれば嬉しいなと



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送