クロッカスには生存者は居ませんでした

クルー達は、チューリップに飲みこまれた影響なのか、見ない方が良いような状態になっていたそうです

ですが、落胆している暇はありません

ナデシコは、オリンポス山のコロニーに向かわなければならないからです

そして、少しでも多くのコロニーを探索する為には、死者しか居ない場所は流すしかない

少しでも、生きている人を見つける可能性を高める為には

ユートピアコロニーに向かった捜索隊の事だって迎えに行かなければならない

やはり、今のナデシコにとって一番の敵は『時間』なのかもしれません


機動戦艦ナデシコ再構成

The fiance of a guinea pig

第19話


アキトとルリの部屋を尋ねてきたイネス

どうも、なにか聞いておきたい事が有るらしい

 

 

「ふ〜ん、テンカワさんの息子さんなんだ」

「知っているんですか?俺の両親の事」

アキトは身を乗りだし、真剣な表情になる

「なんか不思議ね、あなたには初めて会ったって気がしないわ」

イネスはアキトの質問に答える事なく、いきなり顔を近づけしげしげと見つめる

「なっ、なにを(赤)」

すこし慌てるアキトにたいし

「あっ、ごめんなさい、あなたの可愛いフィアンセが怖い顔してるわね」

悪戯っぽく笑い、自分達と向かい側に座っているルリに目を向ける

「そっ、そんな事ありません(赤)」

自分はそんな顔をしていたのかと慌てるルリ

ルリ自身すら気がついていないが、実際はそれほど怖い顔をしていた訳では無い

アキトに『近づきすぎる』イネスに対して、あまり良い感情を抱かなかったのは事実だが、ほんの少し顔に出てしまっただけで、まずほとんどの人は気がつかない変化だろう

実はイネスも、ルリの微妙な表情に気がついていた訳ではない

ようするに、かまをかけられたのである

そして、アキトとルリを交互に見比べて見るイネス

アキトは、ルリに対しなんと言って良いかわからないという顔

 

・・・ふ〜ん、なるほど・・・

 

イネスが二人と話をしているのはようするに好奇心である

11歳の少女と婚約したと言うアキトの事に興味を持ったのだ

そして、艦長のユリカの「目標としている女性」である11歳の少女の事にも

実は、それだけではないのだが

 

「でも、こうやって可愛いフィアンセに嫉妬してもらえると少し嬉しいんじゃないの?、あなたの事好きだからこそそんな風に思ってもらえる訳だし」

「そっ、それは(赤)」

そう言われると、正直「嬉しさ」を感じても居る事に気がつくアキト

だが

11歳のルリが好きだなんて事を認めてしまえば、ルリに嫌われるかも知れない

アキトの心の中には、その怖さがある

そして、どうしても浮かんでしまうユリカの泣き顔

 

そして、イネスの言葉とアキトの態度をみたルリの心中は

 

・・・・私が嫉妬していて嬉しがってる?・・・

・・・じゃあ、テンカワさんも、私の事(赤)・・・・・

 

嬉しさがこみ上げてくるが、すぐに考え直す

 

・・・・・私は、「ネルガルが決めた婚約者」で、テンカワさんの「恋人」じゃない・・・

・・・・テンカワさんに相応しい人は・・・・

・・・・・きっと、からかわれた事で困っているだけ・・・・

 

「イネスさん、からかうのは止めてください、それよりテンカワさんのご両親の話はどうなっているんです?」

内面の葛藤を表に出さないように気をつけ、不機嫌そうな口調でイネスを問い詰めるルリ

その様子を見て、少しがっくりとしてしまうアキトだが、やはり自分の両親の事も気になる

 

・・・なるほど、確かにしっかりしてるわね・・

イネスはそう思うが、今のルリにはギリギリの痩せ我慢

 

「じゃあ、話すわアキト君のご両親がネルガルの研究者だった事は知ってるわね?、その時少しだけ面識があるの」

「はい」

真剣な表情で話を聞き始めるアキト

もしかしたら、両親の死の真相に少しは迫れるかもしれないのだ

 

「でも、良くこの艦に乗る気になれたわね、あなたも薄々は気がついているんじゃないの?」

「何をですか?」

表情が厳しくなるアキト

「あなたのご両親の死にはネルガルが絡んでいるかもしれないこと、それに」

「この艦には、あの二人が乗っている、ユートピアコロニーにチューリップを落とした張本人達が」

「解かってます、でも・・・・・・・火星に来るには・・・他に方法が無かった・・・・このナデシコに乗るしか・・・・」

悔しそうに歯噛みするアキト

そして、そのアキトの様子を見ているルリは辛くなってくる

テンカワさんは、「他に方法が無かった」からルリの遺伝子提供者となる事を引きうけた

もし、艦長がいなかったらテンカワさんはもっと苦しんでいた

ルリにはそんな気がして仕方が無い

そして、今のルリには自分との事がアキトの負担になっているような気がして仕方が無いのだ

だが、自分の存在もアキトの支えとなっている事にはルリは気がつかない

アキトを支えて居るのは、ユリカとルリの二人が居ればこそなのだが、二人とも自覚は無い

 

「なるほど、あなたも色々思う事が有る訳だ」

「・・・・・」

無言のまま、俯き悔しそうに身体を震わせているアキト

「テンカワさん・・・」

そんなアキトに本当に心配そうに話かけるルリ

「あっ、ごめんルリちゃん、俺は大丈夫だから」

弱々しい笑顔を向けルリに心配をかけまいとするアキト

ルリはなんと言って良いのか解からない

・・・こんな時艦長なら、なんて言うんだろう・・・

なにも出来ない自分が悔しい

今まで、『兵器の一部、道具、モルモット』として学んで来た事など、こんな時にはなんの役にもたちはしない

 

もっとも、そんな風に悩む事が出来る事がルリが『人間』である証拠

そして、アキトはルリの『人間らしさ』にこそ

 

そんな二人を見てイネスは思う

 

・・・なるほど、確かにお似合いかもしれないわね、この二人は・・・

・・・ホシノルリの歳を考えなければだけれども(苦笑)・・・・

・・さて、本題に入りますか・・

 

「話は変るけど、マキビハリって知ってる?、ホシノルリの遺伝子提供者として最初に考えられていた相手なんだけど」

 


 


「電子ロックか・・いくつ目だ・・」

ユートピアコロニーの地下を探索している一行だが、今だ生きている電子ロックの為に行く手を阻まれる事も多い

 

それでも、地下には、もしかしたら生存者が居るかも知れない痕跡がいくつか見つかった

今だ生存者が見つかった訳では無いが、やはり痕跡だけでも見つかる事と見つからない事では士気が違ってくる

そんな状況下

「あれっ」

部下の一人がふと気がつく

「どうした?」

「いえ、何か聞こえてきません?」

全員静かになり、耳を澄ます

・・・おぎゃあ

「・・・?」

・・・おぎゃあ、・・・おぎゃあ・・

「赤ん坊っ!!」

「おいっ、どっちの方からだっ!!」

「しっ、黙って!!」

おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ

「向うだっ、」


 


エリナが、火星出身者の誘拐に気がついたのは、ナデシコが火星に出航した直後の事

そして、ナデシコが火星に行きかえって来るまでの間に、ネルガルシークレットサービスは運良くある情報を手にいれる

木連と裏で繋がりのある幾つかの企業の情報

そして、木連と木連と繋がりのある企業とが多くの人達を実験台にして、得たデータの一つ

 

『高出力のディストーションフィールドがあれば、普通の人でもジャンプに耐えられるかもしれない』

 

もし、この事をナデシコに伝える事が出来ていたなら・・・・・・

 

次の話へ

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後書き

は〜り〜君名前だけ登場・・って

そこで何をいじけている?

「だって、どうせ『テンカワ・ルリのファンサイト』でのボクの扱いなんて予想出来るし・・・・うう、どうせ虐められるんだ(T_T)」

心配するな、確かにルリ×は〜り〜は絶対無いがは〜り〜君を虐めるような事も無いから

「本当ですか?」<疑いの目

最近は、思う事があって虐めで笑いを取るような事は出来るだけ避ける事にしてる

じ〜〜〜〜〜<疑いの視線

本当だぞ、「虐めギャグ」って言うのは虐める方の魅力も奪っていくし、ルリには〜り〜君ごときを虐めさせると、ルリの魅力まで奪う事になるでしょ

「あの、それってどう言う?『ごとき』って(汗)」

は〜り〜君が不幸になるのは全然構わないが、その為にルリの魅力を奪うのは嫌だって事

というかだな『は〜り〜君、君には虐める程の価値すら無いぞっ』って事だな、うん

「それはそれで、酷いような・・・・(汗)」

冗談だって、この話は出来るだけ原作のキャラのイメージを保ちたいから、本編でのは〜り〜君は別に虐められてなんていないでしょ?

「はい」

まあ、『弟どまり』だけどね(笑)

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