最初、テンカワさんとの婚約が決められた時、私は何も思わなかった

どうせ、養父母に売られた程度の身

その養父母だって、研究所の職員

ネルガルがやっている事のカモフラージュの為の養父母

酷い目にあってた訳じゃ無いけど・・・あそこには何も有りはしなかった

ネルガルがやった、私に対する一番酷い扱いは・・・・・・・・

テンカワさんを私の遺伝子提供者の相手として選んだ事かもしれない

モルモットである事に徹する事が出来れば・・私は苦しまないで済んだのに

でも・・・・


機動戦艦ナデシコ再構成

The fiance of a guinea pig

第14話


最近、沈みがちのルリ

もっとも、ルリのそんな変化に気がつくのは、アキト、ユリカ、ミナトぐらいしか居ない

アキトも心配して、色々と話かけるのだがルリは

「いえ、なんでもないですテンカワさんは気にしないで下さい」

と、どこか悲しそうな顔で答えるだけ

ユリカが話しかけても同じような反応

アキトとユリカの2人こそが、ルリの苦悩の一部である以上、仕方の無い事でもあるが

それでも、ルリは自分の仕事はそつ無くこなして、特に問題は起きていない

 

そして、火星へ後三日となった日

「ねえ、ルリルリなにか悩み事でも有るの?」

「ミナトさん・・・いえ、なんでも無いんです・・・」

だが、とても『なんでも無い』ようには見えない

「艦長もアキト君も心配してるわよ、悩みが有るなら打ち明けてくれるだけでも少しは楽になるから」

自分がネルガルのモルモットである事など、とても打ち明ける事が出来るような内容ではない

 


 


「んっ、どうしたんだルリ?」

シミュレーターで一人訓練中のリョーコの元を尋ねたルリ

珍しい来客に、リョーコも怪訝な顔

実はルリはしばらくパイロット達を観察していて、一番口が堅そうに思えたリョーコと2人きりで話せるチャンスを伺っていたのだ

 

「あの・・・正直に言ってください、テンカワさんのパイロットとしての力量ってどのくらいの物ですか?」

「あいつの腕か、そうだな・・・俺と模擬戦をやって十戦中、6勝3敗1引き分け、6勝って言うのは俺の方」

「・・・そうですか、そのくらいの力量で、これからの戦いは大丈夫だと思いますか?」

心配そうなルリ

「言っておくけど、どれ程の力があったって死ぬときは死ぬのが戦場だぞ、俺だってヒカルだってイズミだって」

「・・・・解かってます・・・でも・・・・」

「よっぽどテンカワの事が心配なんだな、」

「・・・・・・・」

「俺たちも死にたくは無いから出来るだけテンカワの事守るようにするさ、パイロットが一人減れば負担もそれだけ増えるしな」

「はい、ありがとうございます」

少し嬉しそうに答える

「だからルリはオペレーターとして、自分のやるべき事をやる、それが一番テンカワの為になる」

「はい」

「所で、以前テンカワに聞いた事をもう一度聞くけど・・・・お前とテンカワって訳有りなのか?」

「あの・・それは・・・」

「まっ、どっちだって良いさ、少なくとも今のルリがテンカワの事を本当に心配してる事だけは解かったからな」

「あの・・テンカワさんは幼女趣味とか有る訳じゃ無いですから・・その事だけは勘違いしないであげてください、それと今の話しは秘密にしていてください、お願いします」

ぺこりと頭を下げ、それだけ言うと、その場から立ち去る

そんな後姿を眺めながらリョーコ

「・・・・・あいつら、やっぱり訳有りなのか・・・」

 


 


そんな事もあり、リョーコに呼び出されたアキト

「なあテンカワ、ルリの事はどう思ってるんだ?」

「ルリちゃんの事?(汗)」

「今回はちゃんと答えろよ」

そして、ルリとの話しをし始める・・

「・・・・ルリちゃんがそんな事を・・・」

「ああ、お前等にはお前等の都合や訳があるのかもしれんが、少なくとも今のルリはテンカワの事を本気で心配してる」

「・・・・ルリちゃんには幸せになってもらいたいと思ってる・・・」

アキトはそれを答える事がやっと

「幸せになってもらいたい?、お前が幸せにするんじゃないのか?、婚約までしてるんだろ?」

「それは・・・・」

「やっぱり、訳有りなのか・・でもな、今のルリはお前の事本気で好きになってるぞ、俺は色恋沙汰には疎いけどそのくらいは解かる」

「ルリちゃんが?」

驚くアキト

「気がついてなかったのか?」

呆れるようにリョーコ

「ルリの奴がお前には幼女趣味は無いって言ってたし今のルリをそういう対象として見れないのは解かる・・けどな、ルリの気持ちがそうだって事ぐらいは解かってやれよ・・・・・・・・ってお前(汗)」

「なに、真っ赤になってるんだよ、お前・・・・まさか(汗)」

「本当にルリの事が・・・・・もしかして、訳有りとそういう趣味の両方?(汗)」

「えっ(汗)、いっ、いや、あの(汗)」

アキトも、否定しようとするのだが、否定の言葉で喉から出てこない

 

どっ、どうしたんだ俺は(汗)

あっ、相手は11歳だぞ俺にはそんな趣味は無い筈だ(滝汗)

 

苦悩しているアキトをみて、少々引き気味のリョーコ

「まっ、まあなんだ、犯罪さえ犯さなければとやかく言う気は無いし・・・・・ルリの奴は、お前にはそういう趣味は無いって信じてるんだから、ちゃんと我慢しろよ(汗)」

そのまま、そそくさと逃げるように立ち去ってしまうリョーコ

「がっ、我慢って(汗)」

まあ、その後アキトはルリに手を付けても犯罪にならない歳まで実際に我慢する事になるのだが、その事はとりあえずおいておいて

自分の事を振り返って見るアキト

 

「私に好きな人が出来たら」

ルリのその言葉で何故か不機嫌になった自分

そして、今回の事

「俺・・・まさか本当に(滝汗)」

 

「ルリの奴はお前にはそういう趣味は無いと信じてる」

そして、リョーコに言われた事

 

「おっ、俺にはそんな趣味は・・大体、そんな趣味が有るって思われたらルリちゃんに嫌われ・・・・って(汗)」

「うっ、うわっ、俺は一体何を考えてるんだ、違う、違うはずだ〜〜〜〜〜〜(滝汗)」

 

アキトが『11歳の少女』ではなく、『ホシノルリ』に惹かれていた事に気が付くのはまだ先の事となる

 


 


ルリはルリで、今だに苦悩している

元々、アキトとの婚約もルリの意思には関係の無い事

そもそも、今まで『自分の意思』なんて物があっただろうか?

自分の両親が誰かも解からず、IFS強化体質の遺伝子操作を受け・・・

遺伝子操作を断ると言う選択肢など初めから除外、いや、考えてすら貰えなかった

今まで自分の意思を無視し続けてきたネルガル

だが、それでも何も思いはしなかった、自分の事ですらどうでも良かったから

 

そして今

自分の意思は無視されていたアキトとの婚約

本当にアキトの事が好きになってしまった自分

『守りたい物』、『失いたくない物』が出来てしまった自分

でも・・・

今までネルガルがやってきた事を考えれば、今度は自分の意思に反してアキトと引き離される事も、優秀なモルモットとしてより多くのジャンパーとの交配を望まれる事も・・・・

むろん、ネルガルがそこまでの無茶をするとは限らない

アキトを遺伝子提供者として選んでも、『婚約』という建前をとって居る事を考えれば、アキトがはっきりとルリを選んでくれれば、ネルガルもやりにくいかもしれない・・・・でも・・・

「・・・テンカワさんには・・・話せない・・・あの人は、そんな事を聞いてしまえば、『同情』で私を選ぶかも知れないから・・・テンカワさんには、本当に好きになった人を選んで欲しいから・・・」

そして、アキトが本当に好きになってくれる人がホシノルリであって欲しいから・・・

 

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後書き

今回は、リョーコがアキトに恋愛感情を持たなかった場合を

そもそも、TVの本編でアキトに好意を持ってたからと言って、話の流れの違う再構成物のSSでまで無条件にアキトに好意を持つのは変だと思ってるんですよ、完全にギャグの作品ならともかく

人を好きになるには、なるだけの理由や流れって物が有るだろうと

で、リョーコって熱血な部分とバイロットとしてのプロに徹する部分が両立出来るキャラだって言うのがb83yrのイメージなんです

でないとライオンズシックルの隊長なんて出来ないだろうし

リョーコがアキトに恋愛感情を持たなければ、もしかしたらこんな事も出来たかも知れないとか思ってるんですが

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