テンカワさん、私と一緒に寝る事が無いって朝になって気が付いたみたいです

えっ、私は気が付かなかったのか?

いえ、暖かかった物でつい・・・

どっちにしろ、ベットは一つしかないんで、そうするしかないんですけど

でも、もう止めた方が良いですね

テンカワさん、なんだか疲れきってますから


機動戦艦ナデシコ再構成

The fiance of a guinea pig

第4話


「ルリちゃん、おはよう〜♪」

「おはようございます」

何時もユリカの明るい挨拶がブリッジに響く

メグミやミナトには、どうもユリカの考えが解らない

ここ数日で、ユリカのアキトに対する感情や、ルリとアキトの婚約の事はナデシコ内では知らぬものが無い程の話になっている

そして、婚約の事を知った昨日は、1日中、くら〜いオーラを纏っていたのだ、ユリカは

所が、一夜明けてみれば何時もの元気さを取り戻し・・・

それどころか、恋敵であるルリと明るく挨拶を交わしあってすらいる

ブリッジで、二人を良く見るミナトやメグミにとっては、特に「・・・?」である

 

「あの、艦長御願いが有るんですが」

「ん、なにルリちゃん?」

「私の部屋か、テンカワさんの部屋にベッドをもう一つ運んでもらいたいんです、今のままだと私とテンカワさんが一緒のベットに寝てる状態で」

「えっ・・(汗っ)」

ユリカの頭に一瞬、不安ががよぎる

「んっ、わかったねルリちゃん、後で誰かに頼んでおくから」

それでも、多少引きつりながらも、快く引き受ける

だが・・

むしろ,納得出来ないのは、ブリッジで聞き耳を立てていた女性クルー二人

「ちょ、一寸ルリルリ、それってどう言う事なの?(汗)」

「そっ、そうよ、一緒に寝てるって?(汗)」

ルリに詰め寄る二人

「はあ、そのままの意味ですけど、ベッドが一つしかない物ですから」

「まさか・・・アキト君・・(汗)」

「ねっ、ねえルリちゃん、アキトさんに変な事なんてされてないよね?(汗)」

「変な事?」

「ほっ、ほら、あの・・あれ・・あの・・(赤)」

「ああ、そう言う事ですか、大丈夫ですよ、テンカワさんは私に手を出したりしてませんし・・・・・私なら別に構わないんですけど」

しれっと答えるルリ

『構わない』

この言葉の意味を取り違える二人

『婚約者のアキトになら、構わない』

そんな意味にとってしまったのだろう

「だっ、ダメよ、ルリちゃん、貴方にはまだ早すぎるわっ」

「そっ、そうよ、ルリルリ、もっと自分を大切にしてっ」

ルリにしてみれば、自分を大切にした結果である

「はい、そこまで〜、ルリちゃん困ってるし」

ユリカが止めに入ってみるが

「・・・1番わからないのが艦長なのよね・・」

とミナト

「・・艦長、アキトさんの事諦めたんですか?」

メグミが疑問をぶつけてくる

「んっ、諦めてないよ」

明るく答えるユリカ

ルリは・・と見てみると、特に怒っている様子も無いようだ

「だったらなんで?」

二人とも益々混乱してしまう

「ルリちゃんユリカにもまだチャンスが有るって言ってくれたの、後5年有るって・・」

そして、昨日の事を話し始めるユリカ

「・・・・・今、アキトの事1番考えてるのはルリちゃんだもん・・・今のままじゃユリカはルリちゃんにかなわない・・アキトの事を追っ掛けてるだけじゃ・・・もっと、しっかりしないと」

11歳の少女に諭されているようでは、確かに「もっとしっかりしないと駄目」である

「・・・そんな事が有ったんだ・・・でも、二人とも凄いなあ、私だったら絶対そんな事出来ない・・」

話を聞いて感心するメグミ

「だって、アキトの為だもん、ねっ、ルリちゃん」

「はあ(・・・・なんか、勝手に勘違いされてますけど・・まあ、結果が良ければ・(苦笑))」

 


 


さて、噂のアキトなのだが、現在苦悩中である

「俺って・・・・まさか・・・・(汗)」

実は、『一緒に住んでいても、一緒に寝る必要が無い』事に気が付かなかった自分を疑っていたりする

「・・・内心望んで・・・違う、違う〜〜〜」

ほとんど徹夜で、2日目の為、色々と混乱しているらしい・・・

「俺は・・・俺は〜〜〜〜」

アキトには、『ロ×コ×扱い』される覚悟は出来ているが、『本当にロ×コン』になるつもりはなかったりする・・

心配するな、君は一寸ばかり混乱してただけで、×リコンって訳じゃ無いから

・・・・・・多分ね(苦笑)

 


 


さて、ブリッジでは・・

「馬鹿な事ばかりやってるんじゃないわよ、貴方達」

ムネタケ副提督の怒号が響く

「まったく、これから重大な発表が有るって言うのに」

「重大発表?」

ルリやアキトは最初から知っている内容では有るが、この艦の中では艦長のユリカにすら知らされて居ない

ナデシコの目的・・・火星

そして、プロスの説明が艦内放送で流れ・・

 


 


自分の部屋で、艦内放送を見たアキトの目は、有る二人を凝視している

フクベジンと、ムネタケサダアキ

火星で、ユートピアコロニーにチューリップを落とした張本人達

アキトの目に宿っているモノは・・・・憎悪

 

「テンカワさん?」

突然、コミュニケから、ルリからの通信が入る

「あっ、ああ、どうしたのルリちゃん」

アキトも正気に戻るが、ルリは見てしまった

アキトの『憎悪』のこもった目を

初めて、アキトに対して『怖さ』を感じるルリ

「どうしたんです、そんな顔して?」

「いや、なんでも無いよ」

「それなら・・・良いんですけど・・」

「ルリちゃんの方は何か用が有るんじゃなかったの?」

「フクベ提督が、お話が有るそうです至急ブリッジへ来てもらえませんか?」

「あいつが?」

そして、また、ルリに「怖い」と思わせたあの目・・・

 


 


アキトがブリッジへ来るまでに、約5分ほど

それまでに、気になった事を調べてみる

テンカワ・アキト

火星出身

幼少に両親を事故で亡くす

たが、アキトの両親の死には、あまりにも疑わしい事が多すぎる

そして、火星でコックを目指すも、2195年に木星トカゲの襲撃

フクベジン指揮下での、第1次火星会戦でのユートピアコロニーの壊滅

そして、今はどうなっているか解らないアキトの故郷火星・・・

「この人は・・なんで・・・」

まるで、不幸を積み重ねてきたかのような人生

ルリは初めてアキトの経歴を知る事になる

今までは、興味が無かったのだ

『ジャンパーであり、自分との間の子供のデータをネルガルが欲しがっている相手』

それが、ルリの知っていたアキトの全て・・

「なんで・・・私の事なんて心配出来るんだろう・・・・」

そして、自分のような『子供』との婚約を受け入れたのも、生きているかどうかも解らない、火星の人達の為・・

「自分の為に」婚約を受け入れた私とは対照的な人・・・

 


 


「テンカワアキト、来ました」

ブリッジに来たアキトは、嫌悪感の混じった目でフクベ提督達を睨みつける

「・・君は、火星のユートピアコロニーの生き残りなんだそうだね」

「それが何か?」

「火星の人達を助ける為に協力して欲しい」

「貴方方にですか、ユートピアコロニーの生き残りが第1次火星会戦の英雄に?」

 

 

「・・・やはり、憎んでいるのかね、私達を」

「当然でしょう、地球では英雄かもしれない・・でも・・・あの時、一つのコロニーが壊滅した」

「なっ、何よ、それがどうしたって言うのよ、あの時他にどうすれば良かったていうのっ」

ムネタケが騒ぎ立てる

「・・・解ってますよ、あの時他にどうしようも無かった事は・・敵との戦力差を考えれば、早いか遅いかの違いでしかなかったかもしれない事も・・」

「だったら」

「それでも、俺には貴方達を許す事が出来ない、憎む事を止める事が出来ない・・間違っている事も、筋違いである事が解っていてもです」

「くっ」

言葉につまるムネタケ

「だが、火星の人達を助ける為になら、協力して貰えるかね?」

今度はフクベ提督が、尋ねてくる

「当然です、俺は火星の人達を助けたい」

アキトにとっては、自分の憎悪よりも、火星の方が大切・・

そして、そんなアキトの事をこっそりと覗き見していて、少し安心するルリ

テンカワさんには、あんな目は似合わない

憎しみで動いてなんて欲しくない

ルリは、本当にそう思ったのだ

 


 


そして、その日の昼食時、アキトとルリは、

 

「さっきのテンカワさん、怖かったですよ・・」

ルリにそう言われて、ショックを受けるアキト

「ごっ、ごめん,ルリちゃん、ルリちゃんを怖がらせる気なんて無かったんだけど(汗)」

「許しません、だから、テンカワさんに罰を用意しました」

「罰って(汗)」

「罰として、今日からは別々に寝てもらいます」

「えっ」

「別々のベッドで寝れるように、艦長に頼んで置いたんです、これで、テンカワさんもゆっくり寝られますよ」

「そういう事か・・」

少しほっとするアキト

「でも、別々に寝る事が罰だなんて、なんだか本当の婚約者同士みたいですね」

悪戯っぽく笑うルリ

「いっ、いや(赤)」

普段は見せないルリの笑顔は、アキトにとってとても魅力的に見えた

 

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後書き

ちなみに、この話ではムネタケの反乱はなくて、別の展開にしようと思ってたりします

ユリカの性格なんですが、ユリカっぽくないと思う人も居るでしょうが、あえて、『自制出来るユリカ』にしてみました

冷静なルリVS自制出来るユリカ、のアキト争奪戦が書きたいモノでして(笑)



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