艦長に諦めて貰う為に、テンカワさんのベットで一緒に寝た私
でも、それが思わぬ方向へと
機動戦艦ナデシコ再構成
The fiance of a guinea pig
第3話
「おはようございます、テンカワさん」
「・・・・おはよう・・・・・・」
ルリに比べると、元気の無いアキトの声
「どうしたんです?、眠れなかったんですか?」
「・・・・・うん・・」
「はあ、それはすいませんでした、オモイカネ、今回の映像は撮っていてくれましたね」
OK
そして、昨晩の映像を再生し始める
「う〜ん、これだと・・」
難しい顔になるルリ
「どうしたの、ルリちゃん?」
「・・・・・これじゃ、一寸不味いかも知れませんね、テンカワさん、すいませんがもう一晩私と寝てください」
「えっ、なんで?(汗っ)」
そこに映し出された映像は、ルリの横で明らかに緊張して、『眠れない』アキトの姿
「テンカワさんが、普通に寝ててくれれば・・・いえ、寝たふりでも良かったんですけど・・・しててくれれば問題は無かったんですが・・これじゃあ、いかにもって感じで、艦長を騙せないかも知れませんし」
「ううっ、でも・・・・」
「諦めて下さい、火星に行く為です」
「・・・・・はい・・・(T_T)」
『火星』
その言葉を聞くとどうしても断れないアキト・・・
ユリカは悩んでいた・・・・・ルリの部屋の前で・・
「・・・・・」
何かの間違い・・
そう思いたい気持ちと、はっきりと『婚約者』だと言われたショック
もう一度はっきりと確かめたい
でも・・・
苦悩するユリカ
そんな中で、ルリの部屋の扉が開く、
「あっ、アキト・・・・って、えっ(汗)」
そこでユリカの見たものは
目の下にくまを作り、御疲れ気味のアキトと・・・・・・やけに血色の良さそうなルリ
いや、実はルリはいつも通りなのだが
一瞬の内に、イケナイ想像に辿りついてしまったユリカにはそう見えたのだ
「ゆっ、ユリカっ(汗っ)」
いきなりユリカと合ってしまった事で焦るアキト
「・・アキト・・・まさか・・・・そんな・・・」
涙目になるユリカ
「ルリちゃんと・・・・最後の一線まで・・・」
もう・・耐えきれない・・・・
「いや〜〜、アキトのロリコンっ、変態っアキトの馬鹿〜〜〜〜〜〜〜〜〜(T_T)」
絶叫しながら、走り去っていく
そして・・なに事かと集まってくるクルー達・・
この辺りは女性の部屋割なので、当然女性が多い
「何?何が有ったの?・・って、あっ」
そこには、ルリの部屋から出て来ようとするアキトが
「いっ、いやっ、あのっ、え〜と(汗っ)」
ルリが、仕方ないと言う表情で、告げる
「ばれてしまったみたいですね、テンカワさん」
テンカワ・アキトは11歳の少女と婚約している・・
噂はあっという間にナデシコ艦内に広がった
アキトは当然ロリコン扱いである
アキトは言うと
「あははははははははは、そうさ、どうせ俺は11歳の少女と婚約してるさ・・・なんとでも言え・・あはははははははは」
開き直ったと言うか、現実逃避と言うか・・・・
ルリは相変わらず変わらない
ネルガルの社内規定に関しては・・・
「実は、テンカワさんとルリさんは、ナデシコに乗船する以前からの知り合いでして、」
等と誤魔化すプロス
どうも、上の方から色々と言い含められているらしい
最早、ルリとアキトは公認の仲になりかけていた
とは言え、納得しきれない人も居る
ミスマル・ユリカである
ブリッジに居れば当然、ルリと顔をあわせる事になる以上、意識しないのは中々難しい
その日の夕方辺りの事・・・一縷の望みをかけて、もう一度ルリに尋ねてみるユリカ
何時もの明るさとは対照的に、くら〜〜いオーラを纏いながら・・・・
「ねえ・・ルリちゃん・・・」
「なんです?」
「ルリちゃん・・本当にアキトの事が好きなの?、アキトはルリちゃんの事が好きなの?」
「はあ、『婚約者』ですよ、私とテンカワさんは」
「うう(T_T)・・・・・」
ある程度の覚悟はしていたとは言え、即答されてさらに暗く落ちこむユリカ・・
だが、ユリカは気が付いて居ない
『婚約者』と言っただけで、『好き』とも『嫌い』とも言っていない事に・・・
「艦長、あんまり落ちこんでるとクルーの士気にも関わります、しっかりしてください」
「だって・・・」
ルリに言われたのでは逆効果と言うモノだろう
「・・・・仕方が無いです、艦長が少しは元気になるお話をしてあげます」
「えっ」
ルリには何か思う所が有ったらしい
(艦長・・・こうまで落ちこむんじゃ路線を変更した方が良いかもしれませんね)
「後5年有るってわかってます?」
「5年って?」
「私は11歳、私とアキトさんが結婚出来る歳になるまで、5年弱・・・それだけ有れば結構人って心変わりしますよ」
「ぁっ・・」
「ちなみに、アキトさんの好みはしっかりとした女性だそうです、艦長が艦長としてしっかりすれば、まだ芽はあるかもしれませんね」
「そっか、まだチャンスは有るんだっ」
急に明るくなるユリカ
「あれっ、でも何でルリちゃんがそんな事言ってくれるの?」
ユリカもおかしいと思ったのだろう、ルリの態度に
普通なら自分の恋敵に塩を送るようなマネはしない
「テンカワさんの為です」
「アキトの?」
「パイロットは艦長の命令で出撃します、それなのに艦長が何時までも落ち込んでいたらどうするんです?、それに間違った命令は即、死に繋がるんですよ」
「テンカワさんのようなパイロットだけじゃ有りません、このナデシコって言う戦艦に対してもです」
「あっ・・・」
「仮にも艦長と名が付くなら、そのくらいの心構えは教わってる筈です、」
「はい」
反省して俯いてしまうユリカ
「わかって貰えれば良いです、テンカワさんの気持ちも命も艦長次第だって事は忘れないで下さい」
「ルリちゃん・・厳しい・・・でも・・ありがとう・」
「いえ、私の為でも有りますから・・」
「・・・・・・ルリちゃん・・本当にアキトの事が好きなんだね・・・」
「えっ(赤)」
今の話の何処が、自分がアキトの事が好きなのかに繋がらないルリ
「だって・・・普通ならユリカにそんな事は言わない・・でも、ルリちゃんは『アキトの為に』言ってくれたんだから・・」
「いえ・・そういう訳では・・・」
ルリとしてはあくまで『自分の為』なのだが
「ううん、ルリちゃんの気持ちは良く解った、ユリカ・・・・負けてるなあ・・・・今は・・・・」
「いえ、あの(汗)」
ユリカは勝手に勘違いしている
「でも、今はルリちゃんに負けてるけど、アキトの事は諦めない、だから、ルリちゃんとユリカはライバルだね」
何時もの笑顔でルリに対して宣戦布告をするユリカ
「言っておきますけど、艦長がテンカワさん追いかけて艦長としての仕事がいい加減になるなら、テンカワさんは渡せませんよ」
「解ってる、ルリちゃんだって大好きなアキトの事を危険にさらすような事したく無いもんね」
(・・・・・まあ、思わぬ展開になりましたけど、艦長がしっかりしてくれるのなら良しとしますか)
さて、本当なら、ルリとアキトは今晩も一緒に寝る予定だったのですが、
どうもユリカもマトモに艦長やって貰えそうである
これで、ルリとアキトは一緒に寝る必要も無くなった・・・・・筈だったのだが・・・
アキトをブリッジに呼び出し告げるユリカ
「艦長命令です、アキトとルリちゃんは一緒の部屋で暮らすように」
「えっ、なんで?(汗っ)」
「ルリちゃん、さっきはありがとう、ルリちゃんに塩を送ってもらったから、今度はユリカからルリちゃんに塩を送っておくね」
「はあ(苦笑)」
「ユリカはアキトの事諦めた訳じゃ無いけど、今はルリちゃんに敵わない・・・でも、必ずしっかりとした艦長になってみせるっ」
なにやら、めらめらと燃えているユリカ
「だからルリちゃん、その時までアキトの事よろしくね♪」
結局、その夜もルリとアキトは一緒に寝ることに・・・
よく考えてみれば、一緒に住んでいても、一緒に寝る必要が無い事にアキトが気が付いたのは、翌朝の事だったりする
気付けよ(苦笑)
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後書き
このSS色々と挑戦してみたい事があるんですよ
例えば、ユリカの恋敵がメグミのように、周りが見えなくなってアキトを追い掛け回すようなタイプじゃなくて、冷静なままのルリだったらユリカはどんな風に変わるかとか
ルリをユリカ化させずにルリをルリのままでルリ×アキトに出来ないかとか
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