さて、私とテンカワさんは『婚約者』として振舞う事になりました
テンカワさん、別に気にしなくて良いのに・・・
むしろ、テンカワさんの方に迷惑な話だと思うんですけど、私みたいな歳の『子供』と将来を決められたんじゃ
テンカワさんに好きな人が居るなら、別にその方と付き合っても構いませんよ
ようは、『遺伝子提供者』になってもらえさえすれば良いんでから
むしろ、私のような子供に本気で恋愛感情を持てるようならかえって嫌かもしれませんね
もっとも、テンカワさんにそっち方面の趣味が有ったとしても、私には拒む権利は与えられては居ないんですけど
さて、第1話です
機動戦艦ナデシコ再構成
The fiance of a guinea pig
第1話
「会長、複雑な顔してるわね」
アカツキに話しかける、会長秘書、エリナ・キンジョウ・ウォン
「彼の事?」
「・・・・・・敵わないな、エリナ君には」
苦笑いしながら、返答をする
「あんな条件を出せば、火星行きを諦めてくれるかと思ったんだけどね、テンカワ君はよっぽと火星に行きたいらしい・・・貴重なジャンパーを余分な危険には晒したくないんだけど」
「ふ〜ん、本当にそれだけ?」
「どう言う意味かな、エリナ君?」
「会長、彼の事かなり気に入ってるでしょ、貴方の事、『ネルガルの会長』としてじゃなく、『アカツキ・ナガレ』としてしか見ない所なんかを特に」
「僕は、『ネルガルの会長』だよ」
苦笑いしながら答えるアカツキ
「それだけじゃ無いわよ、訓練の為に、わざわざ一流のスタッフを付けて鍛えているのは何故かしら?訓練の成果が良くないとか言ってるけどそりゃあのレベルの教官達から見ればの話、実際は相当の腕になってるでしょ、彼」
「それも貴重なジャンパーを失いたく無いからさ、それに、新兵としてなら相当の腕かも知れないけど、やっぱり、プロス君辺りが見つけてきた人材には敵わないよ、」
「じゃあ、最後に聞くけど、ホシノルリの婚約者として、彼を選んだ訳は?ネルガルには二人の遺伝子データは、相当有るし、二人に黙ったままで二人の遺伝子を受け継ぐ人間をこっそりと作ることだって出来るのに」
「それは、最初に言った筈だよ、テンカワ君に火星行きを諦めてもらうためさ、失敗だったけどね」
「ふ〜ん、その割には『失敗』って顔はしてないわよ、会長」
「どう言う意味かな?」
「ネルガルの科学者達の、
『『試験管で作られた』モノと、『ホシノルリ自身が産んだ』子供の差を調べたい』
なんて、意見を考えれば、どっちに転んでも良いようにしたって考える事もできるけど・・・・・」
「出来るけど?」
「あなた、何か別の思惑が有る様に思えるんだけど、どう?」
「まあ,ネルガルのような巨大な企業の会長ともなれば、色々な思惑が有るものさ、まだ秘密だけどね」
ミスマル・ユリカ
統合的戦略シュミレーションで無敗を誇る逸材
美人でスタイルも良く、性格も明るい
・・・・・と書いていくと、素晴らしい人材のように思えるが・・・・・
「アキト♪、アキト♪、アキト♪、アキト♪、アキト♪、アキト♪、アキト♪、」
「あのなあ」
乗員名簿に、『テンカワ・アキト』を見つけて、この調子で有る・・・
ここは、ナデシコの艦内、
本編より数日早めにナデシコに着ていたユリカは、クルー達の訓練の為は少し早くナデシコを出航させていた
そして、クルー達の事を少しでも知っておこうと、乗員名簿を調べたまでは立派だったのだが・・・
エステのパイロットの欄に『アキト』の名前を見つけてしまったのが運の尽きというか・・
「でも、久しぶりだね、アキトは死んだって聞かされて・・私・・」
「・・・・・生きてるよ、ここにこうやって」
「でも、どうして教えてくれなかったの?地球に来てるって」
「色々と有ったんだよ・・・・・それに・・・十数年前に別れた幼馴染の家なんて、捜しようが無いだろ、俺はユリカは地球に居るって事しか知らないんだから」
「そっか、一言で地球って言っても広いもんね・・・・でも(ぽ)」
「・・・・・・・?」
「こうやって、再会出来たって事は、ユリカとアキトはやっぱり運命の赤い糸で結ばれてるんだね♪」
「・・・何故そうなるっ?(汗っ)・・・・」
子供の頃からそうだったのだが・
相変わらずユリカの思考回路が理解できないアキト
「大体、俺にはもう『婚約者』がいる、ユリカとの赤い糸なんて無いよ」
「えっ(汗っ)」
「この艦に乗ってるよ、訳有って誰かは言えないけど」
「・・・・・そ・・ん・・な・・アキトの・・・・」
「アキトの浮気モノ〜〜〜〜〜〜(T_T)」
そのまま、ダッシュで走りさってしまうユリカ
残されたアキトとしては、色々と文句の一つも言いたいのだが
「浮気モノって・・・俺浮気なんてした?(汗)」
とまあ、馬鹿な事をやっていたとしても、来る物は来る
木星トカゲの襲撃が
ついさっき、ダッシュして行ったユリカが駆け足で戻ってくる
向かう先は、ナデシコのブリッジ
「アキト、エステの格納庫へ直ぐに向かって、私はブリッジで指揮をとる」
「了解」
ユリカの毅然とした態度に少しだけユリカを見直すアキト
だが
「アキトの浮気に関しては、また後で話が有るからっ」
「おいっ(怒)」
余計な一言も忘れないで走り去っていく
とは言え、襲撃されているのに、一々そんな事にかまっている暇も無く、直ぐに格納庫へと向かい
「うっしゃ〜〜、燃えるシュチュエーションっ」
そこでは、やたらと暑苦しく燃える男がいた
ヤマダ・ジロウ
魂の名は、ダイゴウジ・ガイ
アキトと一緒に訓練を受けた事も有るが
はっきり言って、アキトはこの男が苦手であった
腕は確かなんだけどね、腕は(苦笑)
作戦その物は単純なモノ
アキトとガイ(こう呼ばないと五月蝿い)の2機のエステを囮にして、敵のバッタ達を引き付け、ナデシコのグラビティブラストで全滅させる
アキトにとっては訓練で何度も繰り返してきた事ではある
とは言え・・・
実戦と訓練では、大きく違ってくる
なんと言っても実戦にやり直しは無いのだ
緊張感、死への恐怖、その他諸々のマイナスの感情
それらを抑えこみながら、エステに乗りこみ・・・
「アイちゃん・・・火星のみんな・・・俺は・・どんな事をしてでも火星に行く、行って見せる」
・・・・・・エステバリス発進
そして、アキトの初めての実戦は成功しナデシコへの通信を入れる
だが・・・
問題なのは、そこから先だった・・・・・
「アキト、かえってきたら浮気の事で話が有るんだけど」
「おいっ」
「私って言う、恋人がいるのに『婚約者』が別にいるだなんて」
「誰が恋人だ、誰が」
「私とアキトは、運命が決めた恋人同士なのに」
「勝手に決めるな〜〜」
「でも・・きっとこれは、運命の恋人同士への試練なのね、より強く結ばれる為の」
「人の話を聞け〜〜〜〜〜〜」
「ねえ、この艦本当に大丈夫かな、艦長があんなので(汗)」
と通信手のメグミ
「さあ、でも結構面白くて良いんじゃない」
これは、操舵手のミナト
「・・・・ばかばっか・・」
とルリ
本編でなら、ここら辺りで終りだが、この話はThe fiance of a guinea pigなんでもう一寸続く
その日の夜
ルリはアキトの部屋を尋ねていた
「あれっ、ルリちゃんどうしたの?」
「テンカワさん、艦長の事はどうするんですか?」
別にとくに感慨は無いが、とりあえず聞いてみるルリ
「ユリカか・・・あいつはなあ」
呆れるように呟くアキト
「いっそ、艦長の事受け入れてあげたらどうです、私なら別に構わないですし」
「るっルリちゃん(汗っ)」
「別に意味無くそんな事言ってる訳じゃ無いですよ、艦長ってテンカワさんが逃げれば逃げる程追いかけてくるタイプみたいですし」
「うっ」
確かに、子供の頃のユリカはそうだった事を思い出すアキト
そして、再会しても『全く』変わっていない印象を持ったことも
「艦長って、今に仕事そっちのけでアキトさん追いかけて、大失敗起しそうな気もします、『艦長』の失敗はクルー・・・私も含めて・・の命にも関わってきます、私も別に死なずに済むなら死にたくは無いですから」
「・・・・確かに有り得る・・・けど・・」
「抵抗が有るんですか?、テンカワさんは」
「ああ」
「でも、この際ナデシコの皆さんの命を守る為に、犠牲になってください」
「犠牲って(汗)」
「火星に行く為に、私のような『子供』との婚約すら受け入れたテンカワさんらしくないです」
「うっ」
それを言われるとツライアキト
「それに、テンカワさんとユリカさんの仲なら、ネルガルも黙認しますよ、きっと」
「・・・?」
「ユリカさん、アキトさんと同じ火星出身ですから、お二人の間の子供の研究もしてみたいでしょうし」
「あっ」
言われた見ればそうだった事を思い出すアキト
「それとも、ユリカさんの事、本当に好きなんですか?、それならそれでなんの問題もありませんし」
「・・・・・・」
「私が本当に好きな人と結ばれて欲しいってテンカワさんが思っているのなら、テンカワさんも好きな人と結ばれるようにしないと不公平ですし」
「・・・・・」
「どうしたんです、テンカワさん?」
無口になってしまったアキトに尋ねてみるルリ
「・・・・・ルリちゃん、本当にそれで良いと思ってるの?」
とても悲しそうな瞳でルリを見つめるアキト
結局、その日の話はそれで途切れる・・・
それでも、アキトの悲しそうな瞳はルリの心の何処かに残る事になる・・・
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後書き
え〜と、
展開の早いルリ×アキトの御話を望んでる人には先に謝っときます
ごめんなさいm(__)m
この話、多分歩みがのろいです
なにせ、書きたい物が『一緒に居るうちに何時の間にかアキトに惹かれて行くルリ』なんで、どうしても『時間』が
『らぶらぶ好きのらぶらぶあれるぎ〜』の私に、そもそもそんな物が書けるかどうかが最大の疑問なんですけど(苦笑)
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