「テンカワ君、君は火星へ行きたがっていたよね」

「ああ、だけど・・・」

「訓練の成果があんまり良くないから、でも、有る条件次第で火星行きのメンバーに加えても良いんだけどね」

「条件?」

「そう、ある女性との婚約、はっきりと言えばジャンパーである君に遺伝子提供者になって欲しい、君とその女性との間の子供のデータが欲しいんだ」

「・・・・・・・・・・・相変わらず、人の気持ちを考えない企業だな、ネルガルって言うのは」

嫌悪感の混じった表情で、ネルガル会長、アカツキ・ナガレを睨みつける、テンカワ・アキト

「だが、俺が承知しなければ、火星には行けないんだろ?」

悔しさの混じった表情

「話が早いね、テンカワ君は、では紹介するよ、星野ルリ君だ」

 


 

機動戦艦ナデシコ再構成

The fiance of a guinea pig

プロローグ


 

「初めまして、ホシノルリ・11才です」

「・・・・・」

自己紹介をする目の前の少女を見て絶句するアキト

どう見ても、小学生ぐらいの少女・・・・・むしろ、年齢から考えれば小柄でもっと低年齢と思われても不思議は無いかもしれない

「どうしたんです?」

だが、歳に似合わない妙に落ちついた態度が不思議な雰囲気を作り出している

「まあ、彼女が君の婚約者って事だから、仲良くしてくれたまえ(ニヤリ)」

意地悪そうな笑顔

「・・・・・アカツキ、貴様、こんな、小さな子に・・・・」

激怒するアキト・・・・・・だが

「断れば、火星行きは無しだ」

「・・・・・・くっ」

悔しそうに黙ってしまう

ルリはそんな二人の様子を特に感慨もない様子で眺めていた

 


話は半年程前に遡る

 

アカツキ・ナガレ

ネルガルの会長職に付き、金持ちの割には庶民の味が好きである

ふとみつけた『雪谷食堂』に立ち寄り・・・

そこで、木星トカゲの襲撃に震えていた、アキトに出会う

それだけなら、別にどうという事も無かったのだが、ふと、耳にした会話の中に有った『火星』という言葉

妙に気になって、アキトの身の上に興味を持つ

そこで聞いた話は・・・・

どうも、アキトは火星から地球まで、何らかの方法で一瞬にして移動しているらしいと言う事

普通の人にとっては絵空事かもしれないが、ネルガルの会長アカツキに取っては違う意味を持っていた

木星トカゲ達の超遠距離移動

ネルガルが莫大な資金を投入し、研究しているモノ・・

「これは、掘り出し物かもしれない、失敗だったとしてもたいして損害が出る訳じゃ無いし」

一人ほくそえむアカツキ

そして、アカツキはアキトをスカウトする

結果は、予想以上

CC(チューリップ・クリスタルと命名)がジャンプのトリガーである事等、色々な事がアキトの協力により解明される

そして、今のアキトは、自分が一度行った事の有る場所、強くイメージの出来る場所へなら、かなり思い通りにジャンプ出来る用になっていた

流石に戦艦一隻を火星まで跳ばす事までは、まだ無理だが

とは言え、アキト以外はジャンプに成功しては居ない

何故アキトだけがジャンプに成功するのか?

色々な仮説が立てられ、その中の一つ『火星出身だからではないか?』

地球から火星への移動はこの時代でも数ヶ月を要するために地球に存在する『火星出身者』はそれほど多くは無い

そんな中、火星に残された貴重なデータを収拾する為にスキャパレリプロジェクトが進められていく

元々、データ収拾だけが目的だった計画に、もし、生き残りが居ればの話では有るが

『ジャンパーになれる可能性の有る人達』=『火星出身者』の救出が加わり

その事を知ったアキトは火星行きを強く志願する

とは言え、戦艦一隻で火星に行くという、とても危険な・・・・・無謀とも言える計画である

ネルガルとしては、貴重な実験材料でもあるアキトを失いたくは無い

もっとも、ジャンパーであるアキトなら、自分だけなら一瞬にして地球に戻ってこられるのだが、アキトはそれが出来る性格では無いのだ

そこで、アカツキはある計略を立てる

アキトがもっとも嫌いそうな計画・・・

ネルガルの科学者達が提案した、アカツキ自身も内心嫌っている計画・・・・

マシンチャイルドとジャンパーの交配

ジャンパーとIFS強化体質の間で子供を作れば、ジャンパーの能力を持ったIFS強化体質の人間が作れるかも知れない・・・・・

 


「・・・・星野さんは本当に構わないの?」

ルリと二人きりになったアキトが尋ねる

「構いませんよ、それから、星野さんではなく『ルリ』で構いません、そっちの方がなれてますから」

本当に、『構わない』という感じのルリ

「え〜と、じゃあルリちゃん・・・で良いかな、・・・・・でも、一度も有った事の無い俺とかってに『婚約者』でなんて決められて・・・本当に良いの?、悲しいとか辛いとか嫌だとか思わないの?」

なにか、目の前の少女を見ると,言い様の無い不安のような物を感じてくるアキト

「『婚約者』と言っても,遺伝子の提供者ってだけの話ですし・・・・・それに、所詮私はモルモットみたいなモノですから、『嫌だ』と言っても強制されるだけです」

淡々と答える

 

この子は・・・・・・・

なんだろう、この子は・・・・・・・

諦めてる?・・・・・・・

違う、この子は・・・・・・・・

アキトの内心で複雑な思いがよぎる

 

「それに、もしテンカワさんが断ったとしてもまた別の相手とくっ付けられるだけですから同じ事です」

淡々と答えるルリ

 

この子は・・・・・

諦めてすら居ない・・・・・

諦める事すら出来ない・・・・・・

それが目の前の少女に持った印象・・・

 

「ルリちゃんは、好きな人と一緒になりたいとか思わないの?」

「そもそも人を好きになる事が良く解りませんし、私が誰かを好きになっても無意味です」

本当にそう思っているのだろう、諦めすらしないで

 

この子を放っては置けない・・・何時か、この子は壊れてしまう

アキトには何故かそう思えた

だから・・・・

 

「ルリちゃん、約束をしないか?」

「約束ですか?」

「俺はネルガルを騙す為にルリちゃんの婚約者として振舞う、でも、もしルリちゃんに本当に好きな人が出来たら俺に言って欲しいんだ、その時は本当に好きになった人と結ばれて欲しい・・・」

 

次の話へ

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後書き

プロローグです

ルリって、自分の意思に関係なく自分が結ばれる相手を決められてもおかしくない人生送ってるんですよね

養父母からネルガルに売られているぐらいですから

その辺りを前面に出した話を書いて見たくなったんです

でも、悲劇やダークにする気はなかったりするのがb83yrの捻くれた所だったり(笑)

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