「あの・・・・・・・テンカワさんって幼女趣味とかあるんですか?」

「へっ?」

いきなりルリにとんでもない事を言われてしまうアキト

「それとも、光源氏計画でもやろうと?」

「あっ、あの、なんでそういう事に?(汗)」

アキトには、そんな気持ちは皆無である

何故、アキトがルリと暮らそうと思ったのかと言えば、『プロスペクターに頼まれた』からである

・・・テンカワさん、ルリさんを引き取ってはくれませんか?・・・

プロスに頼まれたアキトは、最初は渋っていた

しかし、プロスに

「彼らをスカウトした私自身が言うのもなんですが・・・・ナデシコのクルー達は、『性格に問題があっても腕は一流』というメンバーを集めました、ナデシコの運用ならばそれでも良いかもしれませんが、これからルリさんが一般の人に混じってごく普通の生活を送って行く為には、彼らに預けるのは心配が多すぎるのです」

「その点、テンカワさんは比較的常識人で・・・言いにくいのですが、大変苦労もしてます、むしろ、そういう方に預けた方が、ルリさんの情緒教育の為には良いかもしれないと」

「ルリさんは、あのまま成長しても、将来ロクな事にならないような気がするんです、だから、なんとか引き受けてくれませんか?、ルリさんの将来の為にも」

「確かに、テンカワさんの預ける事で、ルリさんは苦労するかもしれない、でも、『若い時の苦労は買ってでもしておけ』って諺もあるぐらいですし」

結局、プロスの熱意に負けてしまったアキトは、ルリを引き取る事になったのだが

 

「まあ、本当にそういう趣味や狙いがあったとしても、素直に答える訳がないですね、もし、そういう目で私を見ているなら・・・」

アキトは、ルリがなにか牽制の台詞をいう物だと思い身構える

「別に、私はかまいませんから」

「へっ」

意外な事を言われて、マヌケな声を上げてしまうアキト

「もし、テンカワさんにそういう趣味があるなら、私が下手に抵抗しても、どうにもなりませんから、だったら、最初から抵抗しない方がよっぼど自分の身を守れる可能性がありますし・・・まあ、そういう気が無いなら私にとってもありがたいので、出来ればそっちの方が嬉しいのですが」

「なっ、無いってそんな気持ちは(汗っ)」

頭をブルブルと激しく振って否定するアキト

「いいです別に、テンカワさんの本心は言葉ではなく、これからの生活で解るでしょうから」

ルリとしては、別に、テンカワアキトを疑ったりしてこんな事を言っている訳ではない、といって、信頼している訳でもない

これから、共同生活をしていく為には、言うべき事は先に言っておいた方が良いかな、ぐらいの考えである

それで、アキトがルリを嫌うようになったとしても、別にかまいはしない、嫌われる事など慣れている

等という『過去』は間違いなくあった、そう、『過去』は・・・


Responsibility


実は、プロスがアキトにルリを預けた本当の理由は、『ネルガルにアキトを縛り付けておく為』である

アキトの性格なら、そういう大義名分があれば断れないと思ったのだ

しかし・・・数年後のある日

「テンカワさんの性欲処理ぐらいは、私がしてあげても良いですけど」

いきなりとんでもない事を言い出すルリに、盛大にひっくりかえるアキト

「るっ、るっ、るっ、ルリちゃん、何言ってっ、そんな事出来る訳無いでしょっ(汗っ)」

「はあ、そうですか」

特に、感慨も無いという風に答えるルリ

その後、特に何かあるという訳でもなく・・・・・

とは言え、アキトの心中は穏やかでは無くなった

今まで特に何かあると言う訳でも無く、普通に2人で暮らして来た

・・・やっぱり、この子は普通の子と違うな・・・

と感じる事も多かったが、幼女趣味がある訳でも光源氏計画をやろうとしている訳でもないアキトとしては、それ以上の事も無く、それでも気づいてみれば、ルリも少女から『女』へと変わっていくぐらいの歳で・・・・・・

アキトとて男、以前なら、冗談として受け流す事が出きた台詞も、冗談として受け流す事は、最早出来なかった

「ルリちゃん、一体・・・・・なんであんな事を・・・・」

・・・・・・・(赤)

「って、駄目だろうがっ、俺はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ(赤)」

つい、良からぬ想像をしてしまう、アキト

「でも、もし・・・・・・・俺がOKしてたら、ルリちゃんどうする気だったんだろ・・・たんに人をからかってる冗談かなんかだと思うんだけど・・・・・・・でも、もし・・・・・・・・・」

「今度言われたら、冗談でOKしてみるかな・・・・」

・・・・・・・・・(赤)

「って、だから駄目だぁぁぁぁぁぁ(赤)」

「あの、テンカワさん、何を叫んでいるんでしょうか?」

となりの部屋の壁ごしにルリに言われて、ハッとするアキト

「ごっ、ごめんっ、ルリちゃん五月蝿かったっ(汗っ)」

「もしかして、テンカワさん、欲求不満なんですか?」

「えっ(赤)、いっ、いや、そうじゃなくて」

「ちょっと、待っていてください、そっちに行きますから」

「えっ」

『何か』への期待と不安で、硬直してしまうアキト

どのくらい時間がたっただろう?、アキトには一瞬であるようにも、何時間も経ったようにも感じられる

コンコンと、ドアをノックする音

「テンカワさん、入りますよ」

「はっ、はいっ」

つい答えてしまい、しまったっ、内心思うアキトだがもう遅い、と同時に、期待してしまってもいる

そんなアキトの気持ちとはうらはらに

「テンカワさん、疲れているんじゃないですか?、これでも飲んで落ち着いてください」

アキトに差し出される、ホットミルク

「あっ、あの、これって?」

「ホットミルクには、多少は精紳を落ち着ける効果もあるそうなので」

普段と、同じように表情をあまり変えずに話すルリ

「あっ、ありがとう、五月蝿くしてごめん」

あやまると同時に、良からぬ想像をしてしまった自分が恥ずかしくなってくるアキト

「いえ、こちらも同居させてもらっている立場ですし、・・・もし、何か悩みでもあるなら、私に聞かせてもらえませんか?、力になれるかどうかは解りませんけど」

「いっ、いや、大丈夫、大丈夫だからっ(赤)」

アキトの悩みは、今、目の前にいるルリがもたらしたモノ、相談など出来るはずもない

「ですが・・・・・・今回のように悩みを抱えたままで、また騒がれたら、私の安眠にもさしさわりますし」

痛い所をつかれる

「それは・・・その・・・・」

しどろもどろになるアキトに、ルリは、顔をぐっと近づけ

「テンカワさん、本当に悩みはないんですか?」

アキトの目の前にルリの顔、手を伸ばせばすぐに抱きしめられる距離

アキトの悩みは、ルリのそういう態度であり、ルリの存在そのものである

こんな態度を取られてしまえば、ますます、悩みは大きくなってしまうわけで・・・

・・・・さっ、誘われているのかっ、俺はっ?、据え膳食わぬは男の恥じって・・・いっ、いやっ、でも、ルリちゃんにその気なんかっ

・・・・・『テンカワさんの性欲処理ぐらいは私が』・・・・

・・・・でも、ルリちゃんが言ってた事って、いいのか?、本当にいいのか?、ルリちゃんが言った事って・・・

最早、頭がくらくらして、まともに判断が出来ない

・・・・性欲処理ぐらい・・・性欲処理ぐらい・・・性欲処理・・・・・・ちょっと、まてっ

ふと、正気に戻るアキト

「だっ、駄目だっ、そんな理由じゃっ!!」

いままで、無言で悩んでいたアキトが急に大声を出し、びっくりするルリ

がっしりと、ルリの肩をつかみ

「ルリちゃんっ、駄目だっ、もっと自分を大切にしないとっ」

等と言い出すが、ルリには、アキトが何を言いたいのかさっぱり解らない

まあ、アキトの脳内で勝手に悩み、勝手に結果を出してしまったのだから、当たり前だが

「その・・・あの・・・・・・なんだ・・その・・・・・・・『性欲処理』だなんて、そんな・・・・・・(赤)」

「性欲処理?、ああ、そうですか」

アキトの態度に合点がいったルリ

「テンカワさん、私の事を抱きたいんですか?」

「違うぅぅぅぅ、そうじゃなくてっ、好きでもない男相手に、そんな事言ったら駄目だって言うのっ」

「私、テンカワさんの事好きですけど」

「だから、好きでもない・・・・・・・・えっ?(赤)」

ルリにあっさりと切り返されてしまい、途惑う

「聞こえませんでした?、私はテンカワさんの事好きだって言ったんですけど」

何時ものように、冷静に自分の意思をあっさりと伝えるルリ、とはいえ、だからこそ、かえってアキト的には悩んでしまう

・・・・・・・ルリちゃん、なんでこんな冷静に?、やっぱおれの事からかって・・・・でも、普段のルリちゃんの事考えたら、こういう態度でもおかしくないのか?・・・・・

ますます、混乱してしまうアキト

「だっ、だからその、ほら、そういうことは、その・・・そうだ、愛、愛する者同士でやらないと、ほら(汗っ)」

なんとか答えるが

「あの、一つ質問があるんですけど、好きと愛してるってどう違うんでしょうか?」

「えっ・・・・・・・・いや、それは・・・その・・・・」

答えられないアキト

「私は別にかまいませんし、後はテンカワさんさえ私の事を嫌いでなければ、問題は無い筈です」

「いっ、いやっ、だからっ(汗っ)」

「テンカワさんは、私の事嫌いですか?、それなら無理強いはしませんが」

「そっ、そんな事無いっ、そんな事ないからっ(汗っ)」

「でしたら、問題は無いのでは?」

「いっ、いや、それはそう・・・だけど・・・・・だからって・・・」

「あっ、もしかしたら、テンカワさんって女性が処女であるかどうかに拘る方だとか?、心配いりません、私はテンカワさんが初めてですから」

「はっ、初めてって(赤)」

「そうですね、一つだけ希望があるとすれば、私も初めてで経験が無いので、出来ればテンカワさんにリードしてもらえた方がありがたいかなと」

「もし、テンカワさんが独占欲の強い方だというなら、テンカワさんが浮気でもしない限りは、私も浮気なんてしませんし」

『抱かない理由』の堀が一つずつ、一つずつと埋められていってしまうアキト

そして・・・

「あぁぁぁ、もう、解ったっ、解ったからっ、でも、後悔しても責任なんてとらないからなっ!!」

半分切れぎみで、ついに言ってしまったアキト

もっとも、アキトの性格で『責任を取らない』なんて事が出来る訳が無いのである

そんなアキトの手をとり、両手でやさしく握り

「では、お願いします」

無表情なのに、どこか嬉しそうに微笑んでいるようにも見える顔でアキトを見上げるルリ

「・・・・・・・(赤)」

・・・・・・・あれ?、どうしたんだ、俺は?

そんなルリの顔を見ていると、半分切れかけて、やけくそだった筈、いっその事、そこまで言えばルリちゃんも怖がって諦めてくれるかも? と思って言った事であったことなど、一気に何処かに吹っ飛び・・・・・・・・・

そして、数年後・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

・・・・思いっきり、責任とってるよ、俺(苦笑)

産婦人科の待合室、最初の子供が産まれるのを、今か、今かと待ちわびているアキト

・・・あの時、誘惑に負けといてよかった(苦笑)・・・・もし、誘惑に負けてなかったら、後悔してたのは、きっと、俺の方・・・・

今になれば、つくづくそう思う

いまだに、好きと愛してるの違いを、言葉で説明することは出来ないが、それでも、今、自分は『妻を愛している』事は、間違いなく解る

なにせ、責任をとるのが嬉しいのだから

以前、

『コのつく避妊具に穴を空けて、子供を作り責任をとってもらう』

という、普通ならば女の方がやる事を、アキトがやりかけた事すらあったのだ、流石に、嫌われる事が怖くてやらなかったが(苦笑)

アキトとしては、散々苦悩したというのに、そんな時に、あっさりと

「アキトさん、子供欲しいですか?」

「へっ?、でも、結婚もしてないのに」

「でしたら、結婚しますか?」

「よしっ、結婚しようっ」

その間、30秒足らず

最初、あれだけ渋ったアキトとは、最早別人である(苦笑)

そして、分娩室のドアが開き・・・・・・・ 


後書き

『The fiance of a guinea pig』の方での中々ルリとアキトをくっ付けられないんで、『私の気分転換の為だけに』『読者の事なんて、一切無視して』行き当たりばったりで書いてたSS

コンセプトは、『なんでもいいから、ともかくルリとアキトをくっつける』だという

基本的には、『過程』をやっていく方が好きなんですが、たまには、こういう形の気分転換も、してみたくなるんですよ(笑)

短編は、行き当たりばったりで書く事も多いな、ここの所は

次の話へ進む

短編の部屋// b83yrの部屋// トップ2


SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送