機動戦艦ナデシコ 希望の翼 プロローグ




ちゅどぉぉぉぉぉぉん




火星の後継者最後の戦艦が沈んだ…。

そして、そこには半壊したユーチャリスそしてブラックサレナがあった。

「ふう…これで…終わりか…。」

テンカワ・アキトは半壊したブラックサレナ+の中でそうつぶやいた。

「ベータ、他に反応はあるか?」

<いいえ、火星及び周辺宙域に戦艦、機動兵器の反応はありません。今ので最後です。>

ユーチャリス改、ブラックサレナ+のAI、オモイカネβがそう答える。

「そう…か。これで復讐も、終わりか…。」

<マスター、これから先はどうします?>

「そうだな…ラピスとのリンクも切ったし…やる事は終わったな。」

アキトは何とも言えない気持ちになってつぶやいた。

<マスター、そういえばもうすぐルリさんの誕生日では?。>

「ん…そうだっけ…プレゼントか…そうだな…あれにしよう」

<マスター、早くしないとナデシコが来ますよ?>

「ああ、わかった。ハッチを開けてくれ。」

<了解>




−ユーチャリス改格納庫−

「さて…バッタは全部使い切ったしな…これはアカツキに頼むか…」

<マスタ〜、はやく〜>

「わかったよ。」


−ユーチャリス改ブリッジ−

「さあ、行くぞベータ…」

ユーチャリス改オペレート兼艦長席でアキトは言う。

ガンマとのリンクにより、アキトはある程度のオペレートが出来た。

「イメージング…ネルガル隠しドック…ジャンプ。」

そしてユーチャリス改はボソンの光に包まれて、そこを後にした。






そして…


その僅か一分後…


ユーチャリス改のいた所から、およそ2000mほどのところにナデシコBが、光と共に現れた。


―ナデシコB―

「ハーリー君、周囲の状況は?」

艦長のホシノ・ルリ、つまり私が言った。

「はっはい、周囲に敵影無し…!?」

ハーリー君事マキビ・ハリ君は驚きの声で報告しました。

「おかしいですね?情報では確かにここなんですが…」

「説明しましょう!」

「要点だけを手短かにお願いします。」

「…わかったわ」

「まず、この場所に火星の後継者の残党が集まっていたのはまず間違い無いわ。

 しかし、私達が来たときにはいなかった。となると、考えられるのは2つ

 他の場所へ移動したか、もしくは私達とは別の誰かが倒したか・・・

 まず、他の場所へ移動した場合。

 あれだけの部隊が移動したのなら何かしらセンサーにひっかかるはずだし、

 この辺りに稼動中のチューリップは無い…それに、そこまでのジャンプ能力は持ってない。

 この事から考えてこの案は却下ね。

 後は何者かが私達が到着する前に相手を倒していた場合。

 この場合はこのナデシコよりも早くこの場所に到達し、残党を全滅した上で、

 我々が来る前に撤退した、と言うわけだし。軍は動いてないし

 クリムゾンやネルガルの場合、撤退の必要は無い。むしろ残って広告すると思うわ。

 その上これだけ迅速に目標を達成し、私達にも気付かれないようにこの場を去る為には

 ボソンジャンプを使うしかない。そしてチューリップの無いこの宙域で

 ジャンプできるのはA級ジャンパーのみ。B級では遠くまでのジャンプは無理。

 そしてこれだけの力を持ったジャンパーとなると…」

イネスの問いにルリが答える

「つまり、アキトさんが先に倒したって事ですか?」

「…おそらくはね」

イネスさんはもっとしゃべりたかったようですが、これ以上しゃべられたらたまったものではありません。

「艦長、敵がいないなら帰りませんか?王子さんももういないようだし」

副長のタカスギ・サブロウタさんが、そう言いかけてきた。

「そうですね。では、これよりナデシコBは帰還します。じゃあイネスさんお願いします」

「はいはい。・・・けっこうきついんだけどね。戻ったら本格的な説明をするからね?」

「…それはハーリー君にお願いします」

「ひどいですよ艦長〜」




そして、ナデシコBもその宙域から消えた。




−ネルガル隠しドック−

アキトが帰ったドックではアカツキが出迎えた。

「いやあ〜おかえり。無事で何よりだよ。にしてもこりゃヒドイね」

アカツキは半壊したユーチャリス改を見るなりそういった

「アカツキ…すまんが修理を頼む」

アキトは素っ気無く答える。

「おいおい、復讐も終わったのに何をする気だい?」

「復讐が終わった。俺は消える。prince of darknessはもう必要無い。

 でもルリちゃんは追ってくるだろう。逃げても諦めないだろうしな。

 なら、決着を付けてから消えた方が良いだろう。」

「…もう、戻らないんだね…」

「…ああ」

「…わかった。けど2時間ほどかかるからその間に他をまわってくれ」

「すまないなアカツキ。ありがとう」

そしてアキトがいなくなった後、

「情け無いな…ネルガルの会長が、友達一人助けられないなんて…でもテンカワ君…君は…」




−エリナの部屋−

ヴン

<エリナ>

いきなりコミュニケからアキトの顔が出た

「ひゃっ…あ、アキト君!」

<今まですまなかった。ありがとう。ラピスを頼む>

「え…ちょ、ちょっと!」

だが、すでにアキトは通信を切っていた。

「アキト君・・・」




−地球軍総司令室−

そこに、ボソンの光に包まれ「彼」が現れた。

「久しぶりだね、アキト君」

「ええ、久しぶりです。ミスマル小父さん」

「君の事だ、何か用があってきたのだろう」

「ええ、別れの挨拶と…ユリカにこれを」

それは、ユリカとアキトの婚約指輪だった。

そしてしばし見詰め合う

「…わかった。ユリカには私から言っておこう。すまない、アキト君」

「ありがとうございます。それではさようなら、ミスマル小父さん…」

その後一言伝言を頼みアキトは消えた。

そして、彼が去った後、地球軍総司令ミスマル・コウイチロウは

もう一度、かつて娘の夫になるはずだった青年に、「すまない」と告げた…








そして・・・


「・・・修理は終わったよ・・・でも」

「アカツキ…すまないが俺は考えを変える気は無い」

「どうしてだい!?君は…」

「加害者か被害者かなんて関係無い。俺は人を殺しすぎた。何の罪も無い人達をな…」

「っ・・・」

「アカツキ、ルリちゃんに伝言を頼む。それと…」

「…さて、そろそろ行くよ。」

「………本当に、本当に君はそれでいいのかい!?」

「…もう、誰にも迷惑はかけたくないんだよ。じゃあ、さよならだアカツキ」

そう言うなり、アキトはユーチャリス改の中へと消えた。

そして、そのすぐ後、その剣のようなフォルムの船は、光と共にいなくなった。

アカツキはコミュニケでプロスペクターに連絡をとった。

「プロス君、ルリ君が帰り次第連絡を入れてくれ」

<分かりました。>




「で、私になんのようですか?アカツキさん」

ネルガル会長室に入るなり、私はそう尋ねた。

「…テンカワ君に関する事。」

「!!」

驚きました。それは私が今一番知ろうとしていた事でしたから。

「アキトさんがどうかしたんですか!?」

「昨日テンカワ君が来てね、これを君にってさ。

 テンカワ君からの誕生日プレゼントだよ」

それは、青い宝石のようなものが付いたペンダントでした。

「…この石は…」

「そ、CCだよ。もしもの時に役に立つだろうってね」

「それで、アキトさんは?どうしてアキトさんは帰ってこないんですか?

 火星の後継者はいなくなったのに」

そして気になっていた事を尋ねる。

「…その事で、テンカワ君から伝言がある。」

「…何ですか?」

アキトさんからの伝言…?

「『もう亡霊は消える。でも君は追いかけてくるだろう。だから始まりと終わりの場所で決着を付けよう』
彼は改良型であるのユーチャリス改と強化型のブラックサレナ+に乗っていったよ。」

決着…勝たなければ、アキトさんは帰ってくる事はない。たぶん、そう言う事でしょう。

「1ヶ月後…ですか」

「そ。あとの事は僕にも分からない。ネルガルの会長として出来ない事もあるからね。」

「始まりと終わりの場所…となると、やはりあの場所でしょうね」

「だろうね。で、どうするんだい?と、言っても決まってるか」

「はい。アキトさんを追います。諦めるなんて出来るわけ無いじゃないですか」

… … …

−病院−

コウイチロウはユリカに会いに来ていた。

「…ユリカ」

「?なあにお父様」

「…アキト君が私を訪ねてきたよ」

「アキトが!?」

「…アキト君は私にこれを渡していったよ」

コウイチロウはあの時アキトに渡されたものをユリカの前に置いた。

「!」

ユリカはそれを見て絶句した

「アキト君は本当に悲しい瞳をしていたよ。

 そんな彼を止めることは私には出来なかった。すまない…。

 「幸せに生きてくれ」アキト君からの伝言だ。彼は…もう、戻らないだろう。」

「そんな…アキト…」

そして、コウイチロウが去ったあと…

「…ゴメンね…アキト…ゴメンね…」

ユリカの目から涙の筋が流れる。

その手にはユリカとアキトとの婚約指輪があった。

そしてそれは心を映すように悲しげに輝いていた。

 … … …


そして………

始まりと終わりの場所…火星極冠遺跡上空で、二隻の戦艦が対峙していた。

言うまでも無くユーチャリス改とナデシコBである。




−ナデシコB−

<決着を、着けよう>

漆黒のマントとバイザーに身を包んだアキトさんが言う。

「何が何でも、帰ってきてもらいます。」

私はナデシコの艦長席で答える。

<良いだろう。出来ればな>

そして、戦いが始まった。

しかし、このとき私は気付いていなかった。アキトさんの本当の目的に…


そして…

「エステバリス隊の皆さんは発進して下さい。それとハーリー君、

 ユーチャリス改に向けてグラビティブラスト発射。フィールドを弱める程度でかまいません。」

「りょ、了解」

そしてユーチャリス改に向けてグラビティブラストを発射した


−ユーチャリス改−

<ナデシコB、グラビティブラスト発射準備>

ベータがそう報告する

「よし、やるぞ。タイミングが重要だ…」

そして黒い帯がナデシコBから放たれた

「今だ!」


−ナデシコB−

「ユーチャリス改、フィールド消失!グラビティブラスト直撃します!」

ハーリー君の声がブリッジに響いた。

そして壁のないグラビティブラストは、ユーチャリス改のブリッジすれすれを直撃。

いくら弱めていたといえ戦艦のグラビティブラストに耐えられるはずが無く

ユーチャリス改はかなりのダメージを受けました。

そしてユーチャリス改から通信が入った。

「ア…アキトさん!?…何で…!?」

<ごめんねルリちゃん。でも、こうでもしないと、ルリちゃんは諦めないと思ってね…>

「そんな…<ヴーッヴーッ>何!?」

その時、遺跡が光り始めた。

そう、ボソンを表す七色の光に…

その光は、2つあった戦艦の一つ、ユーチャリス改を包んでいった。

<遺跡、活性化。原因不明。ユーチャリス改、イメージ不能。遺跡からイメージ介入。ジャンプ先不明。>

オモイカネが状況を表す。そしてそれを理解するのに私は少し時間がかかった。

ジャンプ先不明。ランダムジャンプ。どこに行くかも、いつに行くかも解らない。つまり―――

「アキトさん!?」

<どうやら、お別れみたいだね。さよなら、ルリちゃん>

そしてユーチャリス改は消えて行く。光と共に。

「だめです!アキトさん!」

しかしその叫びは、ユーチャリス改のいなくなった空域に虚しく響いただけだった。

「そ…そんな…アキトさん…!」

その時、ブリッジに異変が起こった。私の胸元から光が溢れた。

今、目の前でユーチャリス改が消えたのと同じ光が。

そこにあったのは、アキトさんからとアカツキさんに渡されたあのCCのペンダントだった

そして私はその光に包まれていく…

「…アキトさん…」

その時私はひたすらアキトさんの所へと祈った。







そしてルリも、ボソンの光と共に消えていった…。



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後書きぱーと零(長っ!)

作者(以下作)「さてさて二人は何処に跳んだのか!?」

ルリ(以下ル)「何してんですか作者さん」

作「何って…次回予告。」

ル「次回って…この先決めていたんですか!?」

作「んな大げさに言わなくても…」

ル「だってあなたは考えが多すぎて決められないで困るタイプじゃないですか!」

作「そ、そんな事…いや、あるかも(汗)」

ル「まあ、良いです。
b83yrさんのところに出すと言う事はこのお話では私はアキトさんと結ばれるでしょうから」

作「は、はい…」

ル「今回の事ですが、ユリカさんかわいそうじゃありませんか?こんな終わり方は。」

作「それを言われると…」

ル「ユリカさんも大切な人ですから、これは悲しいです。」

作「すみません。」

ル「大体あなたはアンチ・ユリカではないはずでは?」

作「仕方なかったんです。何か、決定的な事が泣ければアキト君は諦めきれなかったでしょうから。」

ル「そうかもしれませんけど…」

作「そこは許して。」

ル「…解りました。なら、そろそろ元々の話に戻りましょう。」

作「はい。次回「機動戦艦ナデシコ 希望の翼 第1話 「再会」」

ル「期待しないで待っててくださいね。」

作「…(泣)」


b83yrの感想

ユリカの扱いですか、これは私も悩みますね

下手に、手を付けずにさらっと流してしまう事や出番自体をなくす事も、一つの手ではあるでしょう

下手な出し方をすると、かえって反感を買いかねないのがユリカのキャラなんで

プロローグの時点で言えるは、これくらいですかね、物語の導入部で感想付けるのって、結構難しいんですよ、これが

私の感想で読者の人達に、変な先入観与える事になるのも、嫌ですし

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