機動戦艦ナデシコ 本当の気持ち




その日、連合宇宙軍最年少艦長、電子の妖精ホシノ・ルリは、なかなか寝つけなかった。

「…はあ」

ため息が出てしまう。

「…どうして、帰ってきてくれないんですか」

無理な事だとはわかっていた。
軍によって全ての責任を負わされて特A級戦犯とされ追われる事になったのだから。

そして彼は優しすぎたから。
私達の事を思っての事だと言うのも解っていた。しかし…

「アキトさん…」

それは、大切な家族に向けての言葉だったのだろうか。それとも・・・





その日、ルリは忙しかった。

ネルガル製機動戦艦ナデシコBの艦長として火星の後継者の残党狩りに奔走し、

半アイドル的な存在としてさまざまな番組などに駆り出されて、

かなり疲れ切っていたはずなのに。

それでも寝つけなかった。

それには理由があった。

それは、火星の後継者の残党狩りをしていたときの事だった


… … …

「艦長、本当、今日は敵の数が多いですね」

オペレーターのハーリーことマキビ・ハリがそう言う。

「ええ、これは気を付けないといけませんね」


正直言って、かなりきつかった。

それもそのはずだった。今回は数が多い上に強力な電子防御を備えていたのだから。
ルリの事を良く思わない一部の軍人がナデシコのハッキングデータを流したのだ。

今回はタカスギ・サブロウタ率いるスーパーエステ部隊に加え、
元ナデシコパイロットのスバル・リョーコも参加していた。

パイロットの力量としてはこちらに分があったのだが、敵は数でそれを補っていた。

その上ハッキングも期待できないとなれば、かなりキツイ戦いだった。

「こちらタカスギ機!弾切れだ!」

「サブ!ならどついて倒しやがれ!」

「敵グラビティブラスト発射!フィールド出力63%にまで低下!」

…といった分の悪い通信を受けながらルリは何とか状況を打開する方法を考えていた。

「艦長!後方にボソン反応増大!戦艦サイズです!」

その時、絶望的な雰囲気が、艦を支配した…。そしてルリは…

「………アキトさん………」

「グラビティブラスト、来ます!」





ちゅどどどどどどどぉぉぉぉぉぉぉん


爆音が響いた。しかし、予想していた衝撃はこなかった。

「「「・・・え?」」」

「敵機動兵器45%消滅…?」

ハーリーの驚いた感じの声が響く。
その戦艦はナデシコの前に進んできた。そしてその船は・・・。

「…ユーチャリス…」

そう、それは少し感じが変わっていたものの、その姿は確かにユーチャリスだった。

「…アキト…さん…」

ルリは驚きながらその姿を見つめていた。

そして、ナデシコBとユーチャリスが揃った今、その2艦は無敵だった。

ユーチャリスはジャンプで敵を翻弄しつつ機動兵器を殲滅し、機動兵器の居なくなった艦隊は
ナデシコBとユーチャリスの敵ではなかった。




そして・・・

その2隻の戦艦は、向き合って対峙していた。

「アキトさん、帰ってきては、くれないんですか」

「…俺には帰る資格はないし、帰る気もない」

「帰る気が無いんじゃなくて、帰れないって思ってるだけなんじゃないんですか!?」

「…」

「皆、あなたの帰りを待っているんですよ!私も、ユリカさんも、皆も!」

「…もう、皆に迷惑をかけたくないんだよ」

「迷惑だなんて、誰も思ってません!」

「…それでも、俺は帰れない。だから、俺の事は忘れて、皆は皆の、
ルリちゃんはルリちゃんの幸せを見つけてくれ。それじゃ。」

「そ…そんなの「ユーチャリス、ジャンプしました」…」

そして、そこには、ナデシコCしかいなくなった。

「…艦長…」

「そんなの…アキトさんの事忘れるなんて、出来るわけないです。
アキトさんが居ないのに幸せなんて…あるわけ…ないじゃないですか…」





… … …

「私は…アキトさんの犠牲の上の幸せなんて…欲しくないです」

思い返したルリは、悲しみの混じった声で、そう呟いた。

そして…

「…アキトさん…あなたが帰って来ないんなら…こちらから捕まえに行きます」

ルリは、自分の決意を、

「そうです、帰って来なかったら、追っかけるまでです」

そしてあの時の言葉を、ここに居ないアキトに向かって、言った。

「アキトさん…あなたは大切な人だから!」

それが、一人の女性としての想いということにはまだ気付かずに。




始めての短編、後書き

こんにちは、スケィスです。

こんな事で良いのかと皆様お思いでしょうが、

作者である私の力不足です。すみません。

何とはなしにこんな感じになりました。

これは、今考えている連載の少し前の話として考えてみました。

色々とご都合主義なので、深く細かい突っ込みは止めてください。

まあ、これなら短編として、なりませんか?

さて、これから連載で考えている方を少し、やらねばならないので。それでは。

・・・ホントに短いな、これ。

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b83yrの感想

う〜ん、このぐらいの短さだと、ちと感想書きにくいですね

ちなみに、『ご都合主義』の問題なんですが、実はご都合主義その物が悪い訳じゃありません

『そのご都合主義が話を面白くしてくれるかどうか?』が一番の問題です

二次創作にしろ、オリジナル作品にしろ、ご都合主義が皆無なんて作品は、まずありませんから

話を面白くするご都合主義は大目に見て貰える、話をつまらなくするご都合主義は厳しくみられる

結局は、作者の使い方次第って事ですね

では、ご都合主義をどう使えば話を面白くしてくれるか?、なんですが

私の方が教えて貰いたいぐらいだったりして(苦笑)


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