機動戦艦ナデシコ劇場版-if-
『守られし約束』
『本当に行くの?』
「・・・思い出はまだ思い出になれてない。だから、これで完全に思い出にしないと・・・。
悲しいけど、そうしないと、あいつは生きていけないから・・・」
『・・・・・・・・・・・・・・・そう』
「■■■、そろそろ時間」
「・・・ゴメンね、ラピス。巻き込んじゃって」
「別に・・・。私はやりたいからやってるの。だから、あなたが気にすることじゃない」
「ありがとう────」
「■■■、抱きしめてくれるのは嬉しいけど、時間・・・」
「────そうだね、・・・・ユーチャリス発進」第二話【黒き鳥の羽ばたく時・・・】
「みなさん、こんにちわー」
「「「「こんにちわぁ〜」」」」
ヒサゴプランのマスコット的キャラクター、ヒサゴンが子供達に挨拶をする。
そのヒサゴンに子供達は元気良く、返事をしていた。
ここは、ヒサゴプランの中枢、ターミナルコロニーのアマテラスです。
「なんと!今日は、あの連合宇宙軍少佐、ナデシコB美少女艦長の、ホシノ・ルリさんが一緒に見学してくれる事になりましたー」
「よろしく」
ヒサゴンの横に居る、マユミお姉さんという方に紹介され、Vサインをしながら、挨拶します。
周りの子供達から、歓声と共に、拍手が送られる。
・・・私って結構、有名人だったんですね。
「・・・えぇーと、このチューリップを人が生身で通るとですね・・・」
いつの間にか説明が始まっていたこのツアー。
果たして、ハーリー君は上手くやってくれてるでしょうか?
そんな事を考えながら、適当に説明に耳を傾けていると・・・、
チラチラとマユミお姉さんから視線を感じました。
きっと、私の体の事を気にしているんでしょうが────
「私の事は気にしないでいいですよ」
少し、表情を緩め、そう言います。
すると、マユミお姉さんは言いにくそうに、説明を再開しました。
「えっとですね・・・、その人間のDNAを・・・・・・」
「改造しちゃうんですか?」
マユミお姉さんが言いにくそうにしていたことを子供がさらっと言いました。
「すっげー、少佐。本物の改造人間?」
「えぇ・・・」
子供はモノをはっきり言いますね。
まぁ、事実ですけど。
そんな事を言った、少年のお姉さんらしき少女が、その少年の頭をポカリと殴りました。
────その後、こうして列車みたいな車で、コロニー内を案内される私達。
子供達は、壁に描かれたマジンなどの絵を見ては驚いたりしています。
「うわぁ〜、すっげ〜」
子供にとっては楽しいでしょうが、お仕事をしにきた私はなにも楽しめないわけで・・・。
・・・こんな事をさせてくれるなんて、ここのコロニーのアズマ准将の助手っぽい人、
なかなかに人の嫌がる事をさせてくれますね・・・。
ま、ナデシコが追い返されなければいいです。
私が居なくとも、ハーリー君がここのコロニーのシステムにハッキングして、なにかしら情報を得てくれるでしょう。
─────ふと前を見る。
顔を大きなバイザーで隠した、マントをした人が、少し口元を緩ませながら、自分とすれ違うように通り過ぎた。
その瞬間─────
「・・・ホシノ・ルリさん、早くナデシコに戻らないと、死んじゃいますよ」
「───っ!?」
通り過ぎた人を追うように、振り返る。
だけどそこには、もうその人は居なかった・・・。
「少佐?」
「・・・いえ、なんでもありません」
・・・会ったことの無い筈の人・・・。
でもどこかで会った事がある気がする長い黒髪の女性。
先程の言葉が引っかかり、ずっとそれについて考えていると、・・・いつの間にやら目的地についていました。
そして─────
【OTIKA】
【OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA】
【OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA】
【OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA】
【OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA】
【OTIKA OTIKA OTIKA OTIKA】
コロニー中に表示されるOTIKAの文字。
この文字はコンピュータの文字。
これに対して、コロニーは大パニック。・・・つまり、誰も予期してなかった事態な訳で。
そこから思い浮かぶのは────
「ハーリー君、どじった?」
ピッ
『ぼ、僕じゃないです!アマテラスのコンピューター同士のケンカです!』
「ケンカ?」
涙目になりながらも、慌てて状況を報告しようとするハーリー君。
・・・そんなに泣いてばっかりいると、将来女の子にモテませんよ?
『そうなんです!そうなんですよ!
アマテラスには非公式なシステムが存在します。
今の騒ぎは、まるでそいつが自分の存在をみんなに教えているというか。単にケラケラ笑っているというか・・・・・・』
─────非公式なシステム??
そのシステムが、この正体不明のウインドウを出している??
ふと、【OTIKA】のウインドウを見る。
【OTIKA】の文字。これは暗号?それともそのシステムが伝えたいこと?
どのみち、どうにかして読める筈。
・・・【OTIKA】・・・【OTIKA】・・・【OTIKA】・・・?
・・・【AKITO】!?
─────アキト、アキト、アキト、アキト─────
今のコロニーの中と同じように、私の頭の中が【AKITO】で一杯になる。
『あ、艦長!どこ行くんですか?』
アキトの文字で頭の中が一杯になっていた私は、気付いた時にはナデシコに向かって、走リ出していた。
謎の機動兵器。謎のA級ジャンパー。このアキトの意味する文字。先程の女性の言葉。
なぜか分からないけど、なにかが起こる。
だから、すぐにナデシコに戻らないと─────
『艦長ォー、ちょっとまってください、艦長ォー!』
ウインドウのまま追いかけてくるハーリー君。
・・・器用な事しますね。
普段もこれだけ器用でいてくれるとありがたいんですけど────、って今はそれどころじゃありません。
『艦長、ちょっとまってください!どこ行くんですかぁ』
「ナデシコに戻ります!」
『へ?』
考えている暇はない、有るのは直感のみ。
そう、ナデシコに戻れば、何かが起こるから・・・。
いえ、戻って何が起きるか見届けないと、いけない。
どのみち、今は─────
「────敵が来ますよ!」
『えぇ!?』
────宇宙は、いつも漆黒。
このアマテラスというターミナルコロニーの宙域では、
そんな漆黒を埋め尽くすかのように、機動兵器がずらりと配置されている。
いつもはここまで、機動兵器を外で巡回させている訳ではない。
ヒサゴプランたる、未来へと続く画期的なシステム。
そのボソンジャンプ計画の中枢を担う、シラヒメなどのターミナルコロニーの、何者かによる、相次ぐテロ行為による破壊。
しかもいきなりの宇宙軍、しかもその中でも未だ勇名をはせているナデシコ訪問。
出そうと思えば、幾らでもその不安要素はある。
この巡回は、ここの副司令官である、シンジョウ・アリトモによる、即時命令によるものであった。
ここの司令官のアズマ准将は、能力は悪くは無く、軍の作戦指令としては優秀な方であろう。
だが、その性格、血の方が先に回り、頭が上手く回らない様な、どうも指令に向かぬところがある。
だが、シンジョウからすれば、アズマはただの無能に過ぎない。
なにより、力だけで正義を示す軍、いざという時、弱者を見捨て、のうのうと中途半端に生き延びる軍が気に入らなかった。
だから自分はあの「組織」に入ったのだ!
────力があるなら、その力を「本当の正義」のために使うべきなのだ。
例え、弱者を踏みにじって手に入れた力であろうとも────
この命令は彼になんの報告もしてはいないし、する必要もない。
なぜなら、シンジョウにとってアズマはもう用無しの何者にも過ぎない。
それに、彼には、心の奥底のどこかに確信に似たモノがあった。
────その予測されていたかのような、予想は見事に当たる形となった。
ビィー ビィー ビィー
「ボース粒子の増大反応!」
「来たか・・・。・・・総員、迎撃準備!なんとしても奴をここに通すな!!」
漆黒の宇宙に、黒き機動兵器が、ボソンの光を纏いながら現れる。
その機体はまるで鳥の格好のようでもあった。
ゴォォォォーー・・・
その機動兵器はバーニアを噴かせ、力を溜め込むかのように身構える。
ヒュッ
今、黒き鳥は羽を羽ばたかせた!
「撃てぇぇぇぇッ!!」
数多の戦艦による、幾多もの重力の波動。ミサイルの雨。
その全てが、黒き鳥を打ち落とすために飛んでいく。
だが、その黒き鳥は、まるでツバメの如く優雅にその雨を避け、尚且つ全くスピードを落とさずにまっすぐとコロニーへと向かっていく。
「撃て!何としても撃ち落すのだッ!!」
初撃よりも更に増す凶器の雨。
その雨は止まることを知らず、コロニー側は総力を挙げて、黒き鳥を撃ち落そうとやっきになる。
そんな迎撃に黒き鳥は、スピードを下げるどころか更にスピードを上げて、機動兵器には有り得ぬスピードで突進して行く。
「だ、駄目です!!謎の機動兵器、更に加速!!このままでは約五秒後に我が方の部隊と接触します!!」
「くっ!なんて奴だ!!」
迎撃側の攻撃などいざ知らず、黒き鳥は更に更にとスピードを上げ、遂にコロニー側の戦力と接触した!
ドッコーーーン
『ぐっ、グアアァァァっ!!』
『う、うあぁぁぁっ!?』
『う、うわぁぁぁ、ガッ!?ベギャっ!!』
『ヒッ!ヒィィィ!』
『く、来るんじゃねぇ!!ウガッ!?』
黒き鳥は軌道上にいる機動兵器を、次々と鉄屑へと変えていく。
そして、そんな黒き鳥に攻撃するものも、逃げようとするものまで破壊していく。
近づいていくものは、その頑丈なボディとディストーションフィールドによる体当たりで容赦なく潰され、
逃げようとする、または遠くにいる機動兵器は、両手に持ったハンドガンによって・・・。
一方的に統合軍の部隊は壊滅へと追いやられていく。
戦闘開始前に居たその大部隊は、今や、その数を半分近くを失っていた。
その速さは、約五分程の時間・・・。
その様は、正に─────
「あ、悪夢だ・・・」
───ナデシコ───
「ただいま」
少し懐かしい気分になっていた所為か、なんとなくブイサインをしながら、ブリッジに入る私。
そんな私を、誰も迎えてはくれず・・・。って、皆メインウインドウから目を離そうとしていません。
なにかあったんですかね??
「ハーリー君、どうかした?」
「あっ・・・、艦長・・・。・・・僕達、軍人って一体なんのために・・・」
ハーリー君はそう呟き、顔を俯かせてしまいました。
「一体、なにが・・・、!?」
私は、メインウインドウに目を移し、そこでとんでもない状況が目に入った・・・。
鮮やかな宇宙・・・。
その色は、機動兵器の残骸によって彩られていた・・・。
────酷い、一体どうしてこんな事を・・・。
でも、今は呆けてる場合じゃない。
「ナデシコは今すぐ、この宙域から離脱します」
「なっ────!?」
「ナデシコの近くに居る人達を今すぐ収容。のち避難としま────」
「艦長!!待ってください!それって、この宙域の人達を見殺しにするって事ですかっ!?」
私の言葉を遮って、ハーリー君が反論してきました。
・・・私だって、この決断はしたくない・・・。けど、ごめんね。今、私達がここで死ぬわけにはいかないの・・・。
『ハーリー。今、俺達だって生き残らないといけないんだ。この決断を下した艦長の気持ちを考えろ!』
「サブロウタさん・・・」
ブリッジでの話を聞いていたのか、格納庫に居るサブロウタさんが通信を繋げてきました。
そんなサブロウタさんと、私を、ハーリー君はなんともやりきれない顔をしながら見ていました。
・・・でも、私の気持ちなんかどうでもいい・・・。だけど、私達が出来るだけの事を今、ここの人達にしないといけない。
「助けられる人は、必ず助けます。生きている人が居たら、その人も助けます。
ここの宙域に居る、生きてる人達は必ず助けます。
助けながらこ宙域を離脱します。大変だとは思いますが、ナデシコなら大丈夫。
・・・だから、私達が今出来る精一杯の事をしましょう」
「艦長・・・。はい!!」
いい返事ですよ、ハーリー君。
・・・さて、こんな事をする人が何者か、なんて事は知りませんが、ここのシステムが【AKITO】を出した訳・・・。
なにか気になります・・・。一応、このコロニーのデータも貰っときましょう。
「ハーリー君、もう一回アマテラスにハッキング」
「────えっ?もう一回ですか?」
「そう。キーワードは、【AKITO】です」
「【AKITO】??」
ウィーーン
艦長席の椅子を前面に出し、ウインドウボールを展開します。
・・・このナデシコBの最大限の性能を、全て使って、助けられる人達を助け出します。
「かんちょう?アキトってなんですか?艦長〜。ちょっと、かんちょぉ〜・・・」
後ろからハーリー君の声が聞こえますが、今はそれどころじゃありません。
なんとか無事な人達を見つけて、救出しないと・・・。
「IFSフィードバックレベル10に移行」
「レーダー最大、このあたりの生存反応を捜査」
助けれるかな・・・、いえ、助けないといけません。
あなたなら、こんな状況でも、絶対そうしますよね。
絶対助け出してみせる、ってこっちの言ってることも聞く耳持たずで、
すぐにエステバリスで飛び出すんでしょうね。
ですよね?──────
「アキト・・・」
その名前を呟いた瞬間。
以前のナデシコを思い出して、・・・こんな状況なのに少し笑顔が浮かんだ気がした。
そう、今のこんな厳しい状況を忘れられるような、もう戻る事ができない筈の過去。美しい思い出。
そんな思い出の頃に、私は戻ってしまったのかもしれない─────。
<To be continued......>
あとがき
おひさしぶりでございます、フックです。(ペコリ)
いや、あれですね・・・。二ヶ月も経ってしまいましたね、いつの間にやら・・・。(汗)
さて!本題にチャッチャと入っちゃいましょ〜♪
・・・え?別に話を逸らそうなんて思ってませんよ?(そらし目)
えっとですね、今回はサレナの戦闘シーン入れてみたんですが・・・。
・・・はい、そうです。見ての通り、失敗です・・・。
それは、もう見事なまでに。完膚なきまでに。・・・酷い有様(ほろり)
えっ?失敗を載せるな。ですか?
・・・まぁ、次回で巻き返しますよ。・・・えぇ、きっと。(遠い目)
という訳で、一応次回もあります、戦闘シーン。
今回で全部まとめようかな?なんて思ってましたけど、長くなりそうですし、区切りも悪くなりそうなんで・・・、次回持ちきりです。(汗)
でわ、今回はこれにて〜・・・・。・・・次回ちゃんと一ヶ月以内には更新できるかな??(汗)
b83yrの感想
お話的には、まだ劇ナデの流れをなぞった導入部って感じですか
今の時点だと、まだなんともいい難いかも
随所に、気になる部分も導入されてるので、次に期待してます(にやり)
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