ネコは人に媚びないから高貴だとか言われる
といっても、ネコ自身にそんな気持ちがあるわけではなく、ネコはただやりたいようにやっているだけなのだが
ネコは、飼い主を飼い主と思っていない、ネコは飼い主の事を自動エサやり機ぐらいに思っている
こんな事を言う人も居る
が
同じ事を言っても、ネコ好きの人が言った場合と、ネコ嫌いの人が言った場合では、その意味は大きく異なる
ネコ好きの人にとっては、『飼い主を飼い主とも思わない』所がたまらなく可愛い
こんな事を書くと、なんだか意味ありげだが、実は本編にはまったく関係無かったりする(おい)
プレゼント
「何時も、思うんだけど、なんで君はルリ君みたいなキツイ女性を選んだんだい?」
ネルガル会長アカツキナガレ、今日もルリになにか言われたらしい
アキトの店を手伝っているルリは、ネルガルの正社員という訳ではないが『友達のオモイカネが心配』という事で、ネルガルに協力している
「そういうアカツキは、何でエリナさんを?」
「・・・多分、君がルリ君を選んだのと一緒だ・・・」
「だったら解るだろ」
「・・・確かに(苦笑)」
なんだかんだと、奥さんの尻にひかれている男二人
もっとも、嫌がってるという訳でもなく、まんざらでもないようだが
自分の奥さんへのクリスマスプレゼントを買いに来た男二人
本当は、1人でルリへのクリスマスプレゼントを選ぶつもりだったのだが、なにせ、女性へのプレゼントなどした事が無いアキトとしては、ルリが何を喜んでくれる物か解らない
色々と悩んでいる時に、救いの手?を差し伸べてきたアカツキ
「女性へのプレゼントの事なら、僕に任せてくまれたまえ」
なにせ、『元大関スケコマシ』の異名を持つアカツキナガレである
アカツキなら女性が喜びそうなプレゼントを・・とアキトは考えてしまったのだが・・・
アキトは、肝心な事を忘れていた事で後悔する事になる
それは、自分とアカツキの、『財力の違い』という物
そして、アカツキという男は良い者なのか悪者なのか解らない男だという事を
高価な宝石を、惜しげもなく買えてしまうアカツキと、数万円の宝石を買う事にすら躊躇してしまう自分
なんだか、自分が惨めになってくる
アカツキはそんなアキトを見て、にやりとほくそ笑む
哀れむように天を仰ぎ
「ルリ君も可愛そうだねえ、彼女程の女性なら、もっと高価なプレゼントを買える男だって捕まえられただろうに・・・」
「うっ(汗)」
アキトにとって、言われて嫌な事の一つ
しかしまあ、『愛情』というものは複雑な物で、『自分よりもルリに相応しい男』なんていくらでも居る、そっちの方がルリは幸せになれると思いながらも、それでも、ルリが自分以外の男の・・と考えるだけでも嫌なものなのである
だからこそ、そんな事を言われる事が『余計に』嫌なのだが
「どっ、どうせ俺は甲斐性なしだよ・・・」
「ネルガルのボソンジャンプ研究に協力してくれるなら、それなりのお礼を渡しても良いんだけどねえ、テンカワ君は頑固だから」
にやりとするアカツキ、またその話かとうんざりするアキト
「言ったろ、俺はもう係わり合いになる気持ちなんて無いって」
「でも、自分の最愛の人にプレゼントをするのも困る程なんだろ、強がりもいい加減にしたらどうだい」
「・・・・」
確かに、それを言われると辛いが
実をいうと、テンカワ家は貧乏という訳でもない、夫のアキトの収入はともかく妻のルリの方が中々の高収入だからだ
だが、だからこそルリへは自分の収入からプレゼントを渡したい、それがアキトのせめてもの意地でもある
・・・これぐらいにしておくか、テンカワ君相手にあまり押し過ぎるのは逆効果って、ユリカ君よりもルリ君を選んだ事で実証済みだし・・・
アカツキは、そろそろ頭を切り替える事にしたらしい
ネルガルの会長として、アキトのジャンパーとしての能力は魅力的ではあるが、下手にアキトの感情をこじらすのも得策ではない、チャンスはまだまだいくらでも有る
「所で、テンカワ君は何時ごろからルリ君と付き合い始めたんだい?、ルリ君を『女性』として意識し始めたのは何時ごろから?(にやり)」
「それは・・・その(汗)」
それもまた、アキトが言われたくない言葉の一つ
あえて答えるなら、『アキト自身にも解らない』と答える事しか出来ない
「もし、ナデシコに乗ってる頃から付き合い始めたっていうなら、僕は君への見方を変えざるえないねえ、君と出合ったばかりの頃の彼女はまだ11歳だろ」
「そっ、そんな訳ないだろ、あの時はまだ妹みたいに思ってただけで(汗)」
といいつつ、アキトの額に一筋の汗
アキト自身いくらなんでも・・・とは思うが、今にして思うと言い切る自信が無いのだ
『今のルリを通じて』過去のルリを見ている為にそう見えているのだが、そうとも言い切れない理由も有る
なにせ、アキトがルリと・・・おっと、これ以上はテンカワアキト氏の名誉の為に言うべきではないだろう(にやり)
ともかく、ナデシコに居る時から、ルリとアキトは一緒に居る事も多かったのだが、それはあくまで『妹のような存在』としてであって・・・
だが、アカツキはそんなアキトの葛藤を見逃さなかったらしい、頭を切り替えたばかりだが、せっかくのチャンスを逃す事も無い
「そうか、君はそんな時から・・・光源氏計画って奴かい、もし、それをルリ君が聞いたらどう思うかな?(にや)」
「ちょっ、一寸待てぇ、俺は別にそんなっ!!」
「君がどう思っていたかなんて関係ないさ『ルリ君が』どう思うかが問題だからね(にやり)」」
「うっ・・・・(汗)」
「そんな男は、ルリ君に嫌われても仕方ないかもねえ(にやり)」
『ルリ嫌われるかもしれない』アキトの最大の弱点
ここで、『違う』と言い切れれば話は簡単だが、言い切れない事で話はややこしくなる
結局、なんだかんだとアカツキに『脅迫』されたような形でネルガルに協力する羽目になるアキト
ちなみにルリは、その後その話を聞かされた時、
・・・『光源氏計画?』べつにそれでも構わなかったんですけど・・・
とあっさりと答えている、結局はアキトの取り越し苦労
もっとも、『結果的に』その事でこの後起こる火星の後継者のジャンパー誘拐から逃れる事が出来たのであるから、世の中何が幸いするか解らないのだが、それはまた別の話
「私にそんな事解るわけないんですが」
じと目でユキナを睨むルリ
「よくそんなんでアキトさんゲット出来たわねえ」
呆れたようにユキナ
ジュンを巡ってユリカと勝負中(とユキナが一方的に思っている)のユキナ
男の人が喜びそうなプレゼントが解らないかとルリに相談しに来たのだ
「どうせ私は、無愛想でつまらない女ですよ」
「そうなのよねえ、だからその無愛想でつまらなくて性格の悪いルリが、なんであれだけ激しいアキトさんの争奪戦の勝者になれたのか知りたかったんだけど」
ユキナは言いたい事を言う
ユキナもルリも、言いたい事をそのまま言うタイプではあるが、ユキナは動、ルリは静、二人は合いそうで合わないし、合わなそうで合う
「こうなったら、『私自身がプレゼント』とかいってジュンちゃんに迫ってみようかな」
「・・・・・・・・・なに考えてるんですか、あなたは・・・」
更に呆れたようにルリ
「何、ルリはやった事ないの?」
「ありませんっ!!(赤)」
「そっか〜、ルリって容姿『だけ』は良いからてっきりそうやったのかと(にやり)」
「だけっは余計です、だけは」
実は、アキトが惹かれたのは、ルリの容姿よりもむしろ性格の方であるが
こういうことは、本人の方が気づかなかったりするものである
ルリの自分の性格のへの自己評価は、ユキナの言った通り、『無愛想でつまらなくて性格が悪い』
ついでに容姿へは、『背も低いし胸も平均より小さいし』
ユキナとしては、そんなルリをからかうのは結構楽しい
ルリのアキトへの想いに気づかなかった頃は、ルリの冷静さにほぼ完敗していたのだが、それに気づいてからは、ほぼ五分五分の勝負が出来るようになった
負けず嫌いのユキナとしては、今までの負けを取り返したい気持ちもあるのかもしれない、相手の弱点を突くのは戦いの基本である
「あれ、「だけ」は余計って事は・・・ルリだって本当はやった事あるんじゃないの?(にやり)」
「ありません!!(赤)」
実際にルリはそんな事はした事は無い
・・・やろうと思った事はありましたけど(赤)・・・
・・・かえってアキトさんに嫌われそうな気がして、怖くて出来なかった・・・
・・・今にして思えば、やってても良かったかも、そうすれば優柔不断なアキトさんに、やきもきさせられることもなく・・・
これが、ルリの本音である
「いっそ、クリスマスプレゼントにやってみれば?、アキトさん喜ぶかもよ(にやり)」
「既に夫婦になっているのに、今更そんな事やって何の意味があるんですか?、大体、そんな事しなくてたって毎晩・・・あっ(赤)」
「ほうほう、やっぱりお盛んだねえ、お二人は、その辺りのことじ〜〜〜〜くりと聞きたいんだけど(にやり)」
「あっ、アオイさんへのクリスマスプレゼントの話は、どうしたんですか?(赤)」
なんとか話を逸らそうとするルリ
「ん〜〜〜、ルリにそんな事聞いても参考になりそうにないし、あたしはそっちの方是非聞きたいなあ〜〜〜(にやり)」
「ユキナさん、性格悪いですよ、そんなんじゃアオイさんに嫌われてもしりませんよ」
「うっ(汗)」
ルリの苦し紛れの一撃がクリティカルヒット、戦いは膠着状態へと
・・・・・とりあえず、今回は痛みわけと言う事にしたらしい
「でも、男の人へのプレゼントなら、ミナトさんにでも相談すれば良かったんじゃ?」
「いやね、それがミナトさんって、男の人からプレゼント贈られる一方で、自分の方からって事ないんだって・・・だから、こういう時は今一参考にならないのよミナトさんの言う事って」
「・・・なるほど」
納得してしまうルリ
ルリとて、ミナトのように男からプレゼントを貰える立場になれても不思議はないが、その前にアキトと結婚してしまった
ユキナも、その容姿と性格は高校の男子には中々の人気だ、ただ、ユキナの恋人は、『若くしてアマリリスの艦長を務めるエリート』という事になっていて、そんな相手では勝ち目が無いと諦めている男も多い
勘違いしている『読者』も多いようだが、『読者の視点』と『登場人物の視点』は別物である
『読者の視点』からでは、アオイジュンというのは情けないへたれ男と見られているかもしれないが、『登場人物からの視点』で考えれば、特にアオイジュンという男の内情まで詳しく知る筈の無い、ユキナの通っている学校の生徒達からの視点で見れば、『若くして中佐の地位まで上り詰めたエリート』である
本当なら、この手の説明を本文の中でするのは下策なのだが、時々、混同しているように見うけられる方もいらっしゃるので、念の為
「ところで、最初の話に戻るけどルリはアキトさんへのクリスマスプレゼントはどうするの?」
「それは・・その・・・」
ルリもアキトが何を喜んでくれるのか解らなくて悩んでいる
・・・あの冴えない旦那?、だったらあんまり高価なものは贈らない方が良いですよ、男って奥さんの収入が自分よりも多いとへこむ奴も多いですから・・・
サブロウタに言われた、そんな言葉が気にかかる
『冴えない』は余計だとは思って、おもわずムッとしてしまったが、自分だってアキトの事を『冴えない男』『たんなる馬鹿』と見ていた時期もあったので、なにも言えなかった
実は今でもルリのアキトを見る目は左程変わっていないのかもしれない、ただ、『好きか嫌いか』が変わっただけで
・・・結構多いんですよね、妻の収入の方が多い事に夫の自尊心が耐えられなくなって、不仲になる夫婦・・・
アキトと一緒に、ワイドショーをみていて、そんな台詞にお互い気まずくなった事もある
・・・俺とルリちゃんじゃ、釣り合い取れないから・・・
アキトが最後まで気にしていた事もそれだった
・・・下手に高価なプレゼントなんてすると、気にして無茶しそうな人なんですよね・・アキトさんは・・・
悩むルリ、といって『無愛想でつまらない女』である自分には、気の利いたプレゼントなど思いつかない
そんな悩めるルリへユキナの一言
「いっそのこと、いつもと違うプレイをさせてあげるのはどう?(にやり)」
「だから、その話題からは離れてくださいっ!!(真っ赤)」
「これって、CC・・・」
アキトが指輪をルリにプレゼントした後、ルリから渡されたプレゼント
「はい、アキトさんのご両親の形見のペンダントのCC無くなっちゃったじゃないですか、それで、せめて代わりの物でもと」
ルリが悩み抜いて出した答え
「それに火星でアキトさんが助かったのも、それのお陰ですし、もし、また何かあった時、アキトさんを守ってくれるんじゃないかって」
「そっか、・・・凄く嬉しいよ・・・」
ルリの気持ちが本当に嬉いアキト
「でも、ネルガルの方で何か言われなかった?」
「いえ、アカツキさんに頼んだら、案外あっけなく」
アカツキは、この時既にアキト達の周りにたちこめる不穏な空気に、なんとなく気づいていたのかもしれない、確信とまではいっていないにしろ
結果的に、アキトにCCを渡しておいた事は正解だったのだが、それはまだ後の話、今は・・・
「もし、アキトさんがまた女性に追いかけも回されても、ジャンプして逃げる事も出来ますよ、それがあれば」
悪戯っぽく笑うルリ
「いっ、いやだからアレは(汗っ)」
「アキトさんのピンチっていうと、何故か女性絡みの事が真っ先に浮かぶのは何故なんでしょう・・・」
「俺は、ルリだけだってば〜〜〜(汗っ)」
ルリは別に怒ってはいない、ただ、アキトをからかっているだけである
アキトにとって、こういうやりとりは少し困るが、それでも、嬉しい
人形のようだった少女が、人間味のある女性へと成長し、自分の妻として自分に笑いかけてきてくれる
『平和な日常』それが、お互いがお互いへの本当のプレゼントなのだろう
だからこそ、それが脅かされた時は・・・
その後、火星の後継者の反乱があり、ルリもその戦いに駆り出される事になってしまう
「火星の後継者は、戦いを有利に進める為にジャンパーを狙っている」
そんな事を言われたのでは、ルリはアキトを守る為に戦わざるえない
「ジャンパーの君なら、いざという時ルリ君を守ってあげる事もできるかもしれないよ、相手はとても危険で性質の悪い相手だ」
そしてアキトもまた
後書き
実は、これって、『瑠璃とルリ』へ続く話だったりします
瑠璃とアキトが逆行する前に、『お互いがお互いを守る為に戦った』お話の導入部
でも、今の状態じゃ続けるのは難しいだろうなあ(遠い目)
こういう時は短編読み切りにするべきなんだろうけど、他にネタが思い浮かばなかったもんで・・・_| ̄|○
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