ナデシコは無事に地球に戻ってこれました

クルーにはしばらく休暇が与えられます

でも、私には帰る所はありません・・・


機動戦艦ナデシコ再構成

The fiance of a guinea pig

第29話


帰る所が無いといってもルリは別に悲しんでいる訳でもない

ただ、事実を淡々と述べているだけの話

自分をネルガルへ売って平気でいられるような、義理の保護者の元に帰っても仕方ない

対してナデシコには友達のオモイカネもいる、休暇よりも仕事をしていた方がまだ楽しいぐらいなのだ、ルリにとっては

が・・・・

「なんで私はこんな所で艦長やミナトさんの玩具になってるんでしょう・・・(汗)」

・・・メグミさん、ミナトさん、ルリちゃん、帰ったらユリカと一緒にショッピング行こう♪・・・

ユリカは自分の言った事をしっかりと覚えていた

で、ひっぱり出されてしまったルリ、今は試着室で着せ替え人形にされている

ちなみに、ユリカはメグミも誘ったのだが

『表向きは』昔の仕事仲間との先約があると断られた

実は本当の理由は、『ルリとユリカの修羅場』を恐れたからだがユリカが気づく訳もない

メグミとしては二人が何時爆発するか恐ろしくて仕方ないのだ

・・・アキト君に良いとこ見せたいでしょ・・・・

ユリカに見えないようにルリに耳打ちするミナト

「えっ、あっ、あの(赤)」

そんなミナトと対照的に、ただ、ショッピングを楽しみたいだけのユリカ

『ルリちゃんかわいい〜』だのなんだのとキャーキャー騒いでいる

ルリをかわいくすると言う事は、恋敵に塩を送ると言う事なのだが・・・・

・・・・・・・まったく気づいていないらしい・・・ユリカらしいと言えばユリカらしいというか・・・・

ただ、ルリはまだ11歳でしかも他の同年代の子供と平均身長と比べても背は低い

そんなルリに似合ってかわいいとなると、どうしても・・・・

要は、『歳相応の子供の服』となってしまう訳で・・・

・・・・こんなので、テンカワさんに良い所なんて見せられるんでしょうか・・・・

不安を拭えないルリ

・・・・・あっ、まさか・・・・

ふと、思いつく

・・・・ユリカさん、私が『子供』だって事を強調する服をわざと選んで、テンカワさんに・・・・

疑いの気持ちが湧き上がって来てしまったルリは、『もっと、大人っぽい服ないんですか?』と訊ねてみる

・・が

「うん、そうだね、ルリちゃんだったらそっちも似合うかも」

満面の笑顔で別の服を探しにいくユリカ、どう見てもそんな裏がありそうには見えない

・・・・・・・・そんな訳ないですね、艦長はああいう人なんだから・・はあ、自己嫌悪・・・・

どうも、テンカワさんの事が絡むと冷静な判断力を失いそうになる

などと、悩んでいるルリに別の服を持ってくるユリカ、今度は・・・

「あの、胸がスースーするんですけど(赤)」

まあ・・・・子供だし・・・ねえ(苦笑)・・・・

・・・わざとやってるんじゃないでしょうね、この人は(怒)・・・

ユリカに悪気の無い事は解っているが、ついそんな考えになってしまうのである


 


「ルリちゃん、少しは外の世界を見た方が良いよなあ・・・・今日は、ミナトさん達と出かけてるけど・・・・」

ルリは、あまり外出をした事が無いと聞いている

保護者気分半分でルリの心配をするアキト

ちなみに、残り半分は・・・・・・・アキト的にはあまり認めたくない気持ちである

ルリの年齢が上がれは、認めても良い気持ちではあるが、今はまだ・・・

「今度、どっかに誘ってみようか、でも、何処が・・・」

悩むアキト

普通なら子供を連れて行く場所・・・・なんだか、ルリちゃんは喜んでくれないような気がする

女性をデートに誘うような場所・・・・・・・ルリちゃんは、まだ11歳だぞ、おい(汗)

そんな事を想像してしまう・・しかも、ルリが嬉しそうに笑ってくれている姿を想像して嬉しくなってしまい、少々自己嫌悪に陥ってしまうアキト

「はあ、ルリちゃんがせめて15〜6歳ぐらいだったら・・・・」

「くそっ、アカツキの馬鹿やろう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

どうにも出来ないアキトはアカツキに八つ当たり

もっとも、その数年後

「何言ってるんだい、僕がルリ君を紹介してあげたからこそ、君はルリ君と今みたいな関係になれたんじゃないか、僕としては、そこまで君たちの仲・・・名目上はともかく実質まで、そこまでの仲になるなんて、予想してなかったけどね(にやり)」

「いっ、いや、だからそれは(汗)」

などと、からかわれてしまうようになるのではあるが


 


アカツキは戻って来たナデシコの報告を聞いて、ほくそ笑んでいた

「同情だろうがなんだろうが、テンカワ君の性格ならルリ君を見捨てられる筈がない、やっぱり、思った通りになったね(にやり)」

流石のアカツキも、アキトの心の中の本当の苦悩までは見抜けなかったようだが

「しかし、テンカワ君も大変そうだ、まったく、最初の選択を間違えると後で響くこと響くこと、僕も気をつけないとね」

ナデシコ艦内で、「ロリ○ン」扱いされて困っているテンカワアキトの報告を聞いているのは楽しい

「ネルガルの方で、余計な助け舟を出しておかなくて良かったよ、こんなに面白いモノを見せて貰えるんだから」

ネルガルの会長ともなれば、普段は面白くもない書類に追われている

たまには、こんな事があっても良い

「まさか、コレを見越して、彼をナデシコに乗せたんじゃないでしょうね?」

じと目でアカツキを見るエリナ

「まさか、コレはあくまでも副産物、でも、ユリカ君がテンカワ君の幼馴染だったとはねえ、世間は広いようで狭いというか・・・・」

「社内恋愛は、仕事に差し支えるから禁止の筈ですが」

「仕事さえしっかりとやってくれるなら、多少の事は目を瞑るさ♪」

大企業の会長とは思えない、アカツキの軽い口調

「ただし、『ちゃんとやってくれるなら』ばね、ネルガルだって慈善事業やってるんじゃないんだから、こっちに損害を与えるような人間ならばとっとと解雇する、決まってるだろ」

やはり、アカツキは軽いようでも『会長職』に付く男である

「でも、テンカワアキトをホシノルリ・・・11歳の少女と婚約させるような企業の会長がそんな事言っても説得力ないですが」

エリナの突っ込みは厳しい

「彼は例外、ネルガルの利益がかかってるからね、珍しいよ、巨大企業の全面バックアップのあるカップルなんて(笑)」

「カップルって・・・・・・・・」

・・・・保護者と被保護者にしか、見えませんけど・・・・

その言葉を、心の中にしまうエリナ

久しぶりに会ったテンカワアキトは、悩んでやつれているようにみえた

それはそうだろう、自分の意思に反して婚約させられ、しかも、その相手は11歳

更にその事がばれてしまい、クルーからはロリコン扱い・・・・

・・・彼は、ホシノルリの事をどう思っているのか、下手をすれば疫病神ぐらいに思ってしまっているかも・・・・

「人の心の中」は、中々解らないモノ

ましてや、エリナは、報告書を通じてしかナデシコでの二人の事を知らない、そう思うのも無理は無いのかもしれない

・・・ホシノルリに、テンカワアキトの子供を産ませる・・・・・このままじゃ、上手く行かないんじゃ?

・・・・・会長の目的が、『本当に』それなら、心配だけど・・・・・

「会長、目的は、本当に二人の子供なんですか?」

もし、二人の子供が本当に目的なら、場合によっては、自分も動いた方が良いのかもしれないと判断したエリナ

「最初から、言ってるじゃないか、ジャンパーとIFS強化体質の人間の間に生まれた子供が欲しいって」

と言いつつ、目を逸らすアカツキ

・・・これ以上、問い詰めても本当の事は話して貰えそうにない・・・

そう判断したエリナ

・・・・・どうなるか解らないけど、直接テンカワアキトに話を聞いておいた方が良いのかも、今後の保険の為にも・・・・・


 


「それで、なんの御用件ですか?」

訊ねて来たエリナに、あまり良い顔をしないアキト

それはそうだろう、ルリをモルモット扱いするネルガルにアキトはあまり良い感情を持っていない

だが、その『不機嫌そうな顔』は、エリナにはどうみえるか?

・・・やっぱり、ホシノルリとの無理矢理の婚約には怒ってるようね・・・

アキトは確かにその事で怒ってはいるだろうが・・・・・エリナが想像している『怒り』とは『怒りの内容が違う』訳で

「単刀直入に聞いてみたいんだけど、ホシノルリとの仲はどう? うまくやってる?」

「いっ、いやっ、それは(汗っ)」

上手くやっていけてるかどうか?には、はっきり言って自信がない、というか、どうして良いのか解らなくなっている

「もしかして、喧嘩でもしてるの?」

二人の仲を、『ネルガルの社員として』心配しているエリナには、そう見えてしまう

「いっ、いや、喧嘩なんてしてないっ、喧嘩なんてしてないっす、ただ・・・あの・・・」

「どうしたの?」

「ルリちゃんが、俺の事どう思っているのかは・・・・」

エリナからしてみれば、ルリがアキトをどう思っているかなど、関係がない

「あの娘があなたの事をどう思っていようと関係ない筈だけど、だって、元々、ネルガルとしては、『二人の間の子供』だけが目的、あなただって『火星に行く事が目的』の筈でしょう、それは、あの娘だって解ってる」

その言い分にカチンときてしまうアキト

「いい加減にしてくださいよ・・・・・・・・」

一気に顔色が変わり、心の奥底から溢れ出してくるような怒気を含みながらも、静かな口調でエリナを睨みつけるアキト

だが、エリナは奇麗事ばかりの仕事をして来た訳ではない、その程度の事なら慣れている・・・・が

ここで怒りに我を忘れたアキトは、とんでもない事を口走ってしまう

「俺とルリちゃんの子供はネルガルなんかに渡さないっ、絶対にっ!!」

「へっ」

思わぬアキトの言葉にエリナが驚く

『ネルガルの社員』的には、『子供をネルガルには渡さない』とアキトが言い切った事の方が問題の筈なのだが、一瞬の内に別の問題の方で頭がいっぱいになってしまったエリナ

「あっ、あの、まさかと思うけど・・・(汗)」

「あなた、まさか・・・・・・・・・(さらに汗)」

「もう、妊娠させちゃったの、11歳のホシノルリを・・・・・(滝汗)」

「へっ」

今度は、アキトが我にかえる

「いっ、いやっ、流石にそれは無い、無いから(汗)」

アキトは、焦りまくっている

「それは・・良かったけど、でも・・・・・(汗)」

「あなたの態度みてると、本気であの娘の事愛してるみたいに見えるんだけど・・・まさか・・・・・・ねえ・・・・・11歳相手に・・・あ・・・・・あはははははは(汗)」

口は笑っているが、目は笑っていない

『見てはいけないモノをみてしまったという目』で、アキトを見ているエリナ

「あっ、私、これから会議があるから、そろそろいかなくちゃ、じゃあ(汗)」

「あっ、あのっ、一寸(汗っ)」

アキトを避けるように何処かへ行ってしまうエリナ、一人ぽつんと残されるアキト

「・・・・・・えーと、俺・・・・・もしかして、とんでもない事言っちゃった?(滝汗)」

早足で去っていくエリナの後姿を眺めながらこの後の事を想像し、一人後悔するアキトであった・・・・・・・・・・

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後書き

いや、だってねえ、11歳の少女に本気で恋愛感情持ってしまったら、エリナみたいな反応されても、別におかしくないし(苦笑)


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